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夏合宿、ざくざく

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夏合宿、ざくざく

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    ★    ★    ★

「ふはははははは、『冥王ハデスの闘衣』と『オリュンポス・オブ・セイヴァー』は空振りに終わったが、『オリュンポス入会届』と『古代オリュンポスの宝珠』はみごと誰かの手に渡ったか。たとえ嫌がっても、きっちりと持って帰ってもらうぞ。ははははははは……」
 とりあえず、半数のお宝はゲットしてもらえたようなので、ドクター・ハデスは御満悦です。
「兄さん、とりあえず『冥王ハデスの闘衣』は回収してきました」
「『オリュンポス・オブ・セイヴァー』とアルテミスも回収してきたよー」
 そこへ、余ったお宝を渋々回収しに行った高天原咲耶とデメテール・テスモポリスが戻ってきました。なぜか、二人ですっぽんぽんのアルテミス・カリストを運んできています。一応、人目があるので、リボンでグルグル巻きにしてはありますが、すっぽんぽんであることに変わりはありません。
「姿が見えないとは思っていたが、いったい、アルテミスはどうしたというのだ!?」
 さすがに、なぜすっぽんぽんなのか分からずに、ドクター・ハデスが聞きました。
「さあ、隠された趣味だったのかも……」
 困ったように、高天原咲耶が溜め息をつきました。

    ★    ★    ★

「あれ? 美羽ったらまだ戻ってきていないのか。困ったなあ、種モミマンは誰も拾ってくれなかったみたいだし」
 ドレスを脱がしたローゼンクライネをビニールプールの中に座らせて、お風呂ブラシでゴシゴシと洗いながら、コハク・ソーロッドが困った顔をしました。あ、一応、ちゃんとローゼンクライネにはスクール水着を着せてあります。おまけに、石鹸の泡だらけですので、何がなんだかよく分からない状態です。これなら、鼻血の海に沈む可能性は低くなります。
「しかたない。ちょっと回収してくるから、ローゼンクライネは、自分でちゃんと洗っていてね」
 その言葉に泡の塊がこくんとうなずいたのを確認すると、コハク・ソーロッドはポツンと大地から生えている種モミマンを回収にむかいました。
「それにしても、美羽ったら、今どこにいるんだろう……」


さてさて



「ここが、宝探し大会会場の一番端っこですうさ」
 ついに森の端の99番区画までやってきて、ティー・ティーが言いました。
「幽霊は出なかったですわね」
 ほっとしながらも、残念を装ってイコナ・ユア・クックブックが言いました。
「本体はどこに隠れちゃったのかなー」
 困ったようにテンコ・タレイアが言いましたが、あまり緊張感はありません。
「これでは、散楽の翁様に報告ができませんね」
 テンク・ウラニアも考え込まざるを得ません。
「きっと霧に隠れているのさ」
 だから探すだけ無駄じゃんと言いたげにスープ・ストーンが頭の後ろで腕を組みました。
「霧か、なんか引っ掛かるんだが……。とりあえず、キャンプへ戻ろう」
 源鉄心の提案で、一同はガイドさんたちの待つキャンプへ戻ることにしました。
 途中で、真っ白に燃え尽きている小鳥遊美羽を拾います。
「どうしたんだ、まさか幽霊の本物でも見たのか?」
「もっと悪い物だよぉ……」
 源鉄心の問いに、小鳥遊美羽がそう答えました。
 ひとまず一緒にキャンプへむかいます。ちょうど、森の中の93番区画にさしかかったときです。またもや、森に霧が立ちこめてきました。
「また出たの!?」
 小鳥遊美羽が身構えます。まるで、何かの鬱憤を幽霊に全てぶち当てようという勢いです。
「いいかげんに出て来てください、コウジン・メレ様。それとも、自分が誰だか、忘れてしまったのですか。あなたこそは、私たち十二天翔が内の三天の一人。いえ、カン・ゼ様に使える十二人の星辰の一人。コウジン・メレ様なのですよ」
 テンク・ウラニアが、真剣な面持ちで霧に呼びかけました。
「それは誰? 私は……俺たちは……ミスケオー……」
 女とも男とも、人とも物の怪ともつかない声が響きました。そして、霧の中に、いくつもの幽霊の姿が浮かびあがります。
「これって、イルミンスールの森に出た霧に似てない?」
 次々に、単なる幻ではなく、実体のコピーとも言える物を生み出していく霧を見て、小鳥遊美羽がつぶやきました。この霧は、かつて何度か遭遇したアストラルミストに似ています。
「イルミンスール?」
 何か聞き覚えがあるのか、幽霊が繰り返しました。
「霧をば祓いましょう。降鈴!」
 テンコ・タレイアが、鈴矛を取り出して掲げました。
「麗天をば召す者。臨とする。凛とする。鈴音の響きに祓われやー」
 鈴の音と共に広がる光条が、霧と幻を打ち払いました。
 戻る光の中に、結晶化した蛇に絡みつかれた娘が一人立っていました。
「転……」
 唇に薄く笑いを浮かべながら、娘が水に沈むようにして地面の中へと姿を消しました。
「逃がしたか!?」
 それきり気配が消えてしまったので、源鉄心が悔しそうに言います。
「やはり、コウジン・メレ様に見えました。ところで、さっき言いかけたイルミンスールの霧とはなんですか?」
 テンク・ウラニアが、小鳥遊美羽に訊ねました。
「ええっと、話すと長くなるし、いろいろとややこしいんだけど……。多分、イルミンスール魔法学校にある大図書室に行けばいろいろと資料とかあるかも」
 ちょっと説明するのが大変だと、小鳥遊美羽が大図書室に丸投げしました。
「では、いずれそこにも調べに参りましょうか」
 テンク・ウラニアが、テンコ・タレイアと顔を見合わせてからそう言いました。

担当マスターより

▼担当マスター

篠崎砂美

▼マスターコメント

 遅くなりました。宝探しの結果をお届けします。
 いやあ、HDD周りが怪しくなってドライブ交換で一週間ほどロスし、その後酷い風邪で久々に倒れて、まだ医者がよいです。幸いなんとか仕上がりましたが、まだ絶不調であります。

 今回は絡みが少ないので全体的にあっさりしている感じです。
 また、わざと起承転で止めてるような書き方をしているので、ちょっと短く感じるかもしれません。が、実際には、いつものように大幅文字数オーバーしているわけですが。

 実際、今回のシナリオは、結果を楽しむと同時に発端を楽しむものとなっています。
 ガイド公開前に、お宝の位置と内容はリスト化して運営にも提出済みで、それは最終的にも一切変更していません。なので、完全に何が当たるかはアクションの指定次第だったわけですが、のべ人数が50人ほどだったので、ほぼ外れがなく全員に行き渡っています。外れた場合でも、分割できるタイプの物は、同じパートナー同士で分け合っていますね。全員で二箇所しか探さない場合は、一箇所目でお宝をゲットしても、残りのパートナーのために二箇所目にいっている場合があります。

 結構、NPCとのデート券とか、イコンでの覚醒使用権とか、いろいろアタリのような物は用意したのですが、意外とイコプラばかり当たったのはなぜなんでしょう……。

 手に入れた宝物は、ぶっちゃけ、休日シナリオへのネタ振りのような物ですね。なので、発端で止まったようなリアクションになっています。実質、このアイテムをどう使うという、参加者一人一人むけの個別ガイドを今回配布したに近いかもしれません。
 このへんは、休日シナリオが出たときにイコプラ大会を開くもよし、新たなP級四天王として暴れるもよし、チケットを手に飲食したりデートしたりもよしです。

 巫女さんたちの正体はもうバレバレですが、細かく設定を張っているので、今後、大きく展開するでしょう。
 ちなみに、散楽の翁という歴代継承制の陰陽師の下に、十二天翔として12人の剣の花嫁がいます。名称は結構変な名前になっていますが、前の方が十二天将の読みの一つをもじったもの、後ろの名前がムーサイの名前をもじったものとなっています。
 入れ替わりで、いろいろシナリオに関わってくる予定です。