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リアクション
同時刻 ヴァイシャリー 某所
『ッ! チョコマカと動きやがってコラァ!』
ガネットに乗って水路上を疾走する“ヴルカーン”bis。
そのコクピットで吼える法二の声が共通通信帯域に響く。
朝霧 垂(あさぎり・しづり)の乗った禽竜を相手に戦う“ヴルカーン”bisは、先程から弾幕やミサイルを回避され続けていた。
持ち味である圧倒的な高機動力でミサイルを振り切りつつ、イーリャによって取りつけられたビームアサルトライフルで迎撃する禽竜。
『オイオイ、そんな無茶な機動じゃ身体が持たねェぞ?』
挑発するように問いかけながら、なおも大量のミサイルを発射する法二。
『ヘッ! この機体に乗る時の合言葉は『気合と根性』! この程度へでもないぜ!』
『そそ! それよりも自分の心配したら!』
気合いたっぷりに答える垂に続くようにして、サブパイロットのライゼ・エンブ(らいぜ・えんぶ)も叫ぶ!
二人が叫ぶと同時に禽竜はビームアサルトライフルを乱射。
すべてのミサイルを迎撃する。
そのまま乱射を継続する禽竜。
“ヴルカーン”bisの周辺――水面に向けての乱射により、禽竜は水飛沫を立てる。
広範囲に渡って立てられた水飛沫は、僚機である“ヴェレ”たちも含めて視界を塞ぐ。
『やってくれるじゃねェかッ!』
苛立たしげに毒づく法二。
それと同時、水飛沫がたった瞬間に追い付くほどの抜群の機動性で禽竜が“ヴルカーン”bisの背後を取る。
『ッ!』
法二が気付いた瞬間には、禽竜のコンバットナイフが投じられている。
咄嗟にクローでナイフを弾く“ヴルカーン”bis。
しかし、その隙を逃す禽竜ではない。
マニューバ全開で“ヴルカーン”bisの頭上まで急上昇するとともにビームアサルトライフルを乱射。
そのまま急降下しつつ、ビームアサルトライフルを放り捨てる。
空いた手で背負ってきたBBCのグリップを掴み、巨大な光刃を抜き放つ禽竜。
『くらえっ!』
振り抜かれた巨大な光刃は“ヴルカーン”bisの両腕を斬り飛ばした。
『まだだっ!』
更に“ヴルカーン”bisの両腕を斬り飛ばす禽竜。
『これで終わりだぁっ!』
そして“ヴルカーン”bisの正面に移動する禽竜。
禽竜はグリップの先を“ヴルカーン”bisに向けると、全エネルギーを最大出力で放つ。
超大出力のビームライフルのように放たれたエネルギーがほぼ零距離から“ヴルカーン”bisに迫る。
その時、僚機の“ヴェレ”三機が射線へと割り込み、“ヴルカーン”bisの庇う。
だが、咄嗟のことでまだ障壁が構成されきっていない上。
ライフルモードで使用されたBBCの一撃が強力過ぎたゆえ。
“ヴェレ”の障壁は破られ、そのまま直撃を許す。
薙ぎ払うようにして放たれた一撃は“ヴェレ”三機を大爆発させる。
ヴァイシャリーの地形や建造物をいくらか吹き飛ばしつつ収まったBBCの光条。
既に“ヴェレ”三機、そして“ヴルカーン”bisが大爆発を起こした後には何も残っていなかった。
『やった……ぜ』
ゆっくりと着陸する禽竜。
そのコクピットで垂は、やり遂げた者の表情で眠りについた。
そして、その表情はとても安らかであった。
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