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そして、蒼空のフロンティアへ

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そして、蒼空のフロンティアへ
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扉のむこうへ



 見知らぬ迷路みたいな通路を歩いているうちに、鳴神裁たちとコア・ハーティオンたちがバッタリと出会いました。
「もしかして、ここが新世界なの?」
 なんだかつまんないと、周囲を見回しながらアリス・セカンドカラーが言いました。
「なんなの、あなたたちは!?」
 また変な一団が現れたと、高天原鈿女が天井を仰ぎました。
「ふっ、俺様たちは、ただいま絶賛、新世界探査中だ」
 凄いだろうと、三船甲斐が言いました。
「まあ、そういうことらしいので。あなたたちは?」
 猿渡剛利が、高天原鈿女たちに聞きました。
「私たちは……、ごめん、説明できないわ」
 コア・ハーティオンの言ってることを説明する苦労を考えて、高天原鈿女が説明を放棄しました。
「この奧のようだ」
 通路の左右の壁を埋め尽くしていた書架の間に忽然と現れたドアを前にして、コア・ハーティオンが言いました。
 ドアは、「KEEP OUT」と黄色いテープで封印されています。
 けれども、コア・ハーティオンは迷うことなくそれを剥がしてドアを開けました。
「ちょっと、ハーティオン」
 さすがに高天原鈿女が止めようとしましたが、それを無視してコア・ハーティオンはドアのむこうへと入っていきました。
「面白い、面白い!!」
 三船甲斐が、その後に続きます。
「しょうがない、入っちゃおー」
 ラブ・リトルの言葉と共に、その場にいた全員がドアの中に入りました。そして、ドアが閉まります。
 そこは、広い空間でした。なんとなく床は分かりますが、壁も、天井も分かりません。背後のドアと壁さえも、いつの間にか消えていました。
 そして、部屋の中央にあったのは、大図書室で一同がくぐってきた物よりもさらに大きな一冊の本でした。
『私の声が聞こえますか……』
 今度は、全員がその声を聞くことができました。
「ああ、聞こえる」
 コア・ハーティオンが、はっきりと答えました。
 すると、ゆっくりと本が開いていきました。
 先の本のように、ページには文字ではなく、ゆらいだ空間が広がっていました。どこか、青く澄んだ雲一つない空のような色です。
「どう見ても、どこかへ繋がるゲートだね。これはいい」
 三船甲斐が目を輝かせます。
「そのようだけど、どこへ繋がっているかは、まるで分からないわよ」
 高天原鈿女が警戒します。
「新世界、新世界♪」
 鳴神裁と物部九十九が、楽しげに声を揃えました。
「その保証はないわよ」
 きっぱりと、高天原鈿女が言いました。
「もっちろん」
 三船甲斐は、分かっていて楽しげです。
「この先に何があるのかは分からない。だが、私は行かねばならない! 誰かが助けを呼んでいるのだ! 行くぞ! 竜心咆哮! 龍心機ドラゴランダー! 星心招来! 星怪球バグベアード! 超龍星合体! キング・ドラゴハーティオン! 希望の心に照らされて 奇跡と共にここに見参!」
 決意を固めたコア・ハーティオンが、龍心機ドラゴランダー、星怪球バグベアードと共に合体しました。本来ならたりないはずのパーツが、天井とおぼしき方向から降ってきて、ちゃんとした合体を成功させます。
「すまない。事件を解決したら、きっと戻って……。えっ、皆、何をしているのだ?」
 よじよじとキング・ドラゴハーティオンのボディをよじ登ろうとしている仲間たちを見て、コア・ハーティオンが唖然としました。
「ちょっと、ハーティオン! あたしも一緒に行くわ! そっちの方が楽しそう……じゃなかった、誰かが助けを呼んでいるなら、このラブちゃんの協力も必要でしょ♪」
 離れるものですかと、ラブ・リトルが言いました。
「フィギュラハー! どう考えても、俺様もこっちだぜー! 暴れさせてもらうぜぇー!」
「仕方がない。つきあうとしよう……」
 すでに合体している龍心機ドラゴランダーと星怪球バグベアードは言うにおよばず、忍者超人オクトパスマンと馬超も異存ないようです。
「おとうさんだけを、行かせません」
 夢宮未来までもが、同行を希望します。
「あなたたちだけ行かせてもねえ。仕方ないから、あたしもつきあうわよ」
 やれやれという感じで、高天原鈿女が言いました。でも、言葉ほどに嫌ではなさそうです。
「ごにゃ〜ぽ☆ 僕たちも連れていってよ」
「新世界だあ☆」
 鳴神裁と物部九十九までもが、コア・ハーティオンにしがみついて言いました。
「本当に行くのかあ」
「だって面白そうじゃない」
 ちょっと不安気な猿渡剛利に、アリス・セカンドカラーが言いました。
「面白いに決まってるだろが」
 三船甲斐が、安請け合いしました。でも、誰もそれを否定するものはいません。
「皆、ありがとう。私は、素晴らしい仲間たちと友に恵まれた。ならば行こう、皆! あの蒼き空のむこうで、誰かが私たちの助けを待っている!」
 そう言うと、キング・ドラゴハーティオンは、胸部装甲の一部を開いて、みんながそこに乗れるようにしました。
「よっしゃー! そんじゃ、あの蒼空の果ての新世界(フロンティア)へ、新たなラブちゃんの伝説を求めて出発よ!」
「蒼空戦士ハーティオン! 参る!」
 そう元気よく叫ぶと、キング・ドラゴハーティオンは、仲間たちを乗せてゲートの中へと飛び込んでいきました。
 誰もいなくなった部屋が、静寂につつまれます。
 パタンと、本が閉じました。すると、その大きさがシュルシュルと小さくなり、この大図書室の深層に数ある本と見分けがつかない大きさにまで縮みました。
 部屋に、別の光が射します。ドアが開いて、パーラ・ラミの分身が入ってきたのです。
「ヨイショット」
 分身は、部屋の中に一冊だけあった本を持ちあげると、どこかへと持ち去っていきました。