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第14章 下界、見渡して

 大好きなフリューネ・ロスヴァイセ(ふりゅーね・ろすう゛ぁいせ)を誘って、朝野 未沙(あさの・みさ)が訪れたのは、空京のダイビングスポットと呼ばれる場所。地球を見下ろせる場所だった。
「日本の街も、フェスティバル中の空京と同じくらい賑やかなのかしらね」
 風に吹かれながら、フリューネが言った。
 彼女の長い黒髪と、純白の羽根が優しい風に撫でられるように、揺れていて。
 未沙は、思わず目を細めた。
「絵になって素敵だな……」
 未沙のその言葉に、フリューネは「ん?」と軽く首を傾げた。
 その姿が、またとても綺麗で、素敵で……未沙は気持ちを抑えていられなくなる。
「あたし、フリューネさんと一緒になりたい」
 突如、未沙の口から出た言葉に、フリューネは驚きの表情を見せた。
「いつまでもお傍に置いて欲しい」
「え?」
 未沙はフリューネに近づいて、真剣な目で、彼女に語りかける。
「メイドとして、一人の女の子として、あたしのこと……愛してくれますか?」
「愛してって!?」
 フリューネは目を瞬かせながらそう言った後、笑みを浮かべた。
「メイドとしてならむしろお願いしたいくらいだわ」
 それから、僅かに悪戯気な目を見せる。
「でも、1人の女の子としてなら……未沙、キミが私だけを見てくれるなら、ね」
 フリューネは靡く髪を抑えながら、こう言葉を続ける。
「私、こう見えても独占欲強いから」
 未沙はフリューネと一緒の時は、彼女のことだけを見ている。
 フリューネも、未沙に親しみを感じていて、2人の間には確かな友情があった。
 だけれど、未沙がフリューネ以外の人にも興味を示していることは、フリューネの耳にもある程度入っているようだ。
 未沙のフリューネに示す愛情が、彼女だけへの恋愛感情なのか。それとも違うのか。
 フリューネにはまだ判断が出来なかった。
「うんわかってる。今更あたしに言われても困っちゃうよね」
 そう微笑んだ後、未沙はまた真剣な目で、フリューネの青い瞳を見つめる。
「でも、これだけは忘れないで欲しいな。あたしのフリューネさんを想う気持ちは、他の誰にも負けないよ!」
「……覚えておくわ」
 フリューネも真剣な目で未沙の想いを受け止めて、それからまた風に吹かれながら淡い笑みを浮かべる。
「いいところね、ここ。今日はありがとう」
「うん」
 未沙はフリューネの手を、掴まるようにとって、隣に立ち、一緒に地球を見下ろした。
 日本の街にも、愛が溢れているはずだ――。