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2023年ジューンブライド

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リアクション

 ザカコ・グーメル(ざかこ・ぐーめる)は、アーデルハイト・ワルプルギス(あーでるはいと・わるぷるぎす)を誘った。
「アーデルさん。もし宜しかったら、自分と一緒に模擬結婚式を体験して頂けませんか」
「ほう、面白そうじゃのう」
 アーデルハイトは、すぐに了承した。アーデルハイトの立場や感情、過去の結婚の経験などから、断られるのではないかと不安に思っていたザカコは、すんなりOKが出て驚いたほどだった。

 模擬結婚式は、教会で行う、シンプルで落ち着いた結婚式のスタイルで行った。
 タキシード姿のザカコの隣では、アーデルハイトが純白のウェディングドレスを纏っている。ほんの少し舞え、ウェディングドレスを楽しそうに選ぶアーデルハイトの姿を思い出して、ザカコはつい口元を綻ばせる。
「思った通り、アーデルさんにはドレスが似合いますね。素敵ですよ」
「じゃろ?」
 アーデルハイトは、純粋に結婚式を楽しんでいるようで、ザカコも嬉しくなる。
 ザカコとアーデルハイトは、花道を二人並んで歩いていった。そして、誓いの言葉を交わすよう、神父に促される。
「私ザカコ・グーメルはアーデルハイト・ワルプルギスに永遠の愛を誓います。……模擬ですし、ここまでにしておきましょうか」
 そう言って、ザカコは、アーデルハイトに向き直った。
「ここまでで良いのかの?」
「自分の言葉は本心ですけど、アーデルさんに思ってない事を言わせたくはないですしね」
 ザカコはそう言って、アーデルハイトと二人並んで、花道を退席して行った。

 模擬結婚式を全て終えて、ザカコはアーデルハイトと一緒に帰宅をしていた。
「今日は本当に有り難う御座います。模擬でもアーデルさんの晴れ姿の隣に立てて、とても幸せでした」
「うむ、私も楽しかったぞ」
 ザカコの中には、いつか本当の結婚式ができたら……と言う気持ちもあった。けれど、それよりもアーデルハイトが幸せでいてくれるのが一番だ、という思いの方が強い。
「結婚は結魂とも書くらしいですね」
 ザカコは、そう言ってアーデルハイトに微笑みかけた。
「形式上の関係よりも、アーデルさんの魂を支えていけるような存在になりたいと自分は思っています」
「形より中身、というのも大切なことじゃの」
 アーデルハイトは、ザカコに笑い返す。
「これからも宜しくお願いしますね」
 ザカコとアーデルハイトは二人、楽しげに話しながら歩いて行ったのだった。