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魂の研究者・序章~それぞれの岐路~

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魂の研究者・序章~それぞれの岐路~

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 第44章 襲撃の終わり

「クラン、ウアタハ! どんどん壊すでありますよ!」
 彼女も機晶姫だからだろう。蛇骨に捕われた朔や満月――護衛としてピノの近くに居たから真っ先に毒を受けて拘束された――とは違い、スカサハは比較的毒の影響が少なかった。
 この状態で、どう見ても100体を超えている人型機械に襲われたら大変なことになる。ハツネ達は何とかするから、機械達に対処するようにと朔に頼まれ、彼女は存分にサンダーハンマーを振るっていた。雷電属性を持つこのハンマーは人型達と相性が良く、1体1体確実に敵の数を減らしていく。
 数日前、デパートをめちゃくちゃにしたクランとウアタハも今日は止める理由が無い。2体とも存分に動き回り、人型機械を壊しまくっていた。ダリルもレストレーションソードを手に、機械達を行動不能に陥らせていく。
 ――その中で。
「……ん?」
 魔法と剣戟の音、金属音が飛び交う中で託は人型機械の1体の近くに突如現れた女性を見て戦いを止めないながらも眉を顰めた。腰の下あたりまであるストレートの黒髪を持つ女性は、カーテンを纏ったようなひらひらとした服を風にたなびかせながら人型機械に話しかける。人型が頷くと、機械達は一斉に放牧場から引き上げ始めた。
 女性はその直後、空気に溶けるように姿を消す。剣を降ろしたダリルが近付いてくる。
「……撤退か」
「そのようだねえ。それと、あの1体だけど……」
「ああ、あの中にだけ誰かが入っていたようだな。しかし、今現れたのは……」
 ダリルは宿泊施設の方を振り返った。
 黒髪女性は確かに、彼がフランスからここまで連れてきたリンと瓜二つだった。だが勿論、彼女ではありえない。
「姿を模した誰かか、それとも……別の場所から来た同一人物、か」

              ⇔

「ここは……ファーシーさん達の……?」
 その頃、盗難事件を追っていた面々は、テレポートを果たしたコクピットから降りて周囲を見回していた。そこは、窓が1つも無い、金属質な壁に囲まれた空間だった。広すぎる程に広い空間に、ルミーナは見覚えがあった。隼人やレンとメティス、エヴァルトも数年ぶりに訪れた場所に驚きと共に思い思いの表情を浮かべている。初めてこの空間に来たルークと出雲、佐那とエレナは施設の各所に近寄って設備等を確認している。
「間違いありません……ここは、巨大機晶姫が製造されていた地下施設です」
 俯きがちに、メティスが言う。
 この場所は、巨大機晶姫が巨大機晶姫として残されていた施設の最奥部だ。バラバラになった機体の欠片はどこへ行ったのか見当たらなく、その代わりに存在していたのは動く気配の無い人型機械と巨大な――そう、かなり巨大な、どちらかといえば扁平型の乗り物だった。コクピットの部分だけが、ぽっかりと開いている。
「……この乗り物は……それに、犯人は、何故この場所を……?」
 ルミーナは戸惑いながら、施設の高い天井を見上げる。
 機械作業をするのに適した場所として、犯人がたまたま見つけたのかもしれない。だが、彼女にはどうしてもそうは思えなかった。
 犯人は、元々この場所を知っていたのではないか――
 そんな気がして、仕方がなかった。

              ⇔

(……これは、危ないですね)
「……ハツネ、撤退です」
 自分達の不利を悟り、葛葉は一度撤退した方がいいと判断した。朔達から距離を取って踵を返す。ルカルカが姿を見せたのはその時だった。ドラゴンアーツで2人を攻撃したルカルカは、ゴッドスピードと超加速によって瞬時に肉薄してきて更に重い連撃を繰り出してくる。刀は抜いていなかったが、それでも葛葉とハツネが気を失うには十分だった。

 ――――

「…………!!」
 キマクにある隠れ家で、子供の清明を抱いていた保名はぴくりと耳を動かした。顔を上げ、どこかに向かって唸り声を上げる。
 そして、凶暴な敵意を剥き出しに、彼女はアジトを飛び出した。
 

担当マスターより

▼担当マスター

沢樹一海

▼マスターコメント

この度は、皆様素敵なリアクションをありがとうございました!
そして、リアクション公開が予告していた予定日を大幅に超えてしまい、大変申し訳ありませんでした。アクション締め切り早々に予定日が一気に伸びたのにも驚かれたでしょうし、それから何日経っても公開されないという事態を引き起こしてしまい、恐縮次第です。
プライベートで色々あったりもしましたが、執筆に取れる時間は以前よりも増えているのでこちらは私の力不足です。本当に申し訳ありませんでした。

後半の内容(というか今までひた隠しにしてきた未来設定)についてですが……。
中二! 中二です。とても中二です。自分の書いた設定を読み返す時に、「うああ何この中二ちょ、何これ」と半ば直視できない現象に陥ったりもしますが、冒険シナリオなんざ中二なしで運営できるか! という気もしますのでもうここは開き直ります。中二いいよね!
とはいっても、実際に「死亡者」が殆ど出ない世界――ひたすらに人口が増えていくだけの世界というのが本当にあったら、こういった事象が起きたりとかもっととんでもない事が起きるんじゃないかな、という気もします。現実世界ではありえないので、想像の域を超えることはできませんが。

また、“彼”の名前だけは今回伏せさせていただきました。名前を出さないまでもかなりバレバレレベルで執筆した(つもり)なのですが、初めてこのシリーズにご参加いただいた皆様にはやっぱり分かり難いかもしれません……。どうなんだろうか。

その他、内容に関しての説明、状況補足、雑感につきましては、また後日マスターページの方で公開させていただきます。これからのシナリオ展開の方法や人数についても色々考え中なので、その辺りも。どうしようかと頭を抱えているのは秘密です。内容についても、これどうなるんでしょうか(半分本気)。
色々と予測以外の事が起きていたり思いつきで予定した設定を変えてしまったりもしたので、マスターとしても「君達一体どうなるの」状態になってきています。まあいつもの事なのですが。

今回、個別コメントは招待関係が主となっております。
それでは、また次回、第1章(?)でお会いできましたら幸いです。