リアクション
第3ターン 一気に旗地点を目指さずに、その手前に留まった天音とブルーズを、セレアナが待ち構えていた。 「二対一ね……。まあ、やれるだけやるわ」 天音が自らの素早さを上げる横で、ブルーズが仕掛ける。 伸縮自在の如意棒を操り、至近距離に近づけさせずに攻撃を繰り出す。 セレアナは星印の剣を手に、それをいなした。 ブルーズが派手に如意棒を振り回してセレアナの目を自分に集中させているのは勿論、天音の攻撃に繋げる為だ。 セレアナの攻撃の瞬間を狙って、ブルーズは龍闘気を放って弾き返した。 セレアナは後ろに仰け反るも、すぐさまに体勢を整える。 二人の実力は、ほぼ伯仲していた。だが、ブルーズの後ろに潜み、機を窺っていた天音が、ポイントシフトを使って一気に、体勢を崩したセレアナの懐に飛び込む。 「くっ!」 セレアナは咄嗟に左手で、リターニングダガーを放った。 目の前に現れた天音へ、至近距離からのダガー。天音は躱しきれない。 傷を受けるも、既にセレアナの至近距離に入っている。天音は、続けて反応してくるセレアナの手に手刀を叩き込み、彼女の持つ剣を落とした。 すかさず、その剣を蹴り出して、拾わせないようにする。 「しまったっ……!」 まだ、攻撃の手段は残されていたが、勝負あったとセレアナは思った。 「ここから先には、通しません」 とは言え、目の前にいるのは、美羽、ベアトリーチェ、コハクの三人。三対一だ。 圧倒的不利ながらも、緋柱 陽子(ひばしら・ようこ)は覚悟を決める。自分の役目は防衛だ。 敵の攻撃をなるべく受けないよう、ブラックフェネクスに乗って上空から旗の防衛の為に中央に移動した陽子は、眼下の美羽達へ、クライオクラズムを撃つ。 美羽達は、上空の陽子を認識すると同時に、範囲魔法を撃たれた。 コハクがすかさず、女王の盾で美羽を護る。 「美羽さん!」 自らも勿論攻撃を受けつつ、叫びながらベアトリーチェは、すぐに意識を陽子に移した。 (回復は、まだ大丈夫……。それなら、先にできるだけ向こうの体力を削っておきませんと) ベアトリーチェはそう判断すると、眠りの竪琴を弾きながら、子守歌を歌う。 対象を特定しない眠りの魔法だが、美羽やコハクはあらかじめ、対策として、不寝番スキルを装備してあった。 「う……っ」 ふら、と意識が遠のきかけた陽子だったが、次の瞬間、美羽のショットガンで撃たれたゴム弾の攻撃を受け、目が覚める。 落下しかけるが、何とか持ち直した。 「隙だらけだよっ!」 美羽が笑う。 「……目を覚ましてくれて、礼を言います。朧さん、行ってください!」 陽子の指示に、ふわふわと周囲を漂っていたストレンジレイスが、白いビームを発射する。狙いは勿論、攻撃の要である美羽だ。 だが、美羽達は、コハクによる防御とベアトリーチェによる回復、と、担当が決められ、美羽による銃撃で陽子は、上空にいても攻撃を受ける。 【痛みを知らぬ我が躯】によって、ダメージは軽減されるが、回復の余裕も手段も無い。 (負ける……!) 範囲魔法で美羽達全体に攻撃をするも、回復をベアトリーチェに任せてひたすら銃撃して来る美羽の攻撃に、陽子は唇を噛んだ。 ロケット花火の鳴る音が、フィールドに響いた。 終了の合図だ。 音は近く、陽子は、はっと背後を見た。 「抜けられていた……?」 ニキータとリョージュが旗地点に到達した時、守備担当の者はなく、完全無防備の状態だった。 「ま、ここに割く余裕までは無かったんでしょうねえ」 人数的に仕方が無い。これで青チームの勝ちだ。 「はは、楽勝ー。んじゃ、貰いっと」 リョージュが旗を取った。旗を取ったら、合図の花火を鳴らすことになっている。 「よし、派手に行くか」 リョージュは、予備に用意してあった五本全てに火を付けた。 |
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