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【5周年記念】【かんたんイラストシナリオ】あの日の思い出

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【5周年記念】【かんたんイラストシナリオ】あの日の思い出
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リアクション

 
 ■ 某水着ブランド広告写真(未使用) ■


 セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)とパートナーのセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)は、某ブランドの水着モデルのバイトをしていた。
 本職のモデルでもアイドルでもないバイトの自分達をモデルに、ポスター等や野外広告全てに使用するというのだから、予算が無いのだろう新鋭ブランドとはいえ、思いきった話だ。
「セレン……カメラあっちよ。水着写らなかったら、広告にならないでしょう」
 カメラに背を向ける形で密着して来たセレンフィリティを咎めて、セレアナが、ちらりと撮影スタッフを見た。

 自由に動いて自由に撮る、というスタンスで、好きに過ごしていい、と指示されていた。
 始めの内は、セレンフィリティに無理やり付き合わされていることもあり、カメラを気にして緊張していたセレアナだが、
「セレアナ、緊張してるの? 可愛い」
「カメラなんて、無いものと思えばいいのよ」
と、セレンフィリティにからかわれたり優しくされたり、時に、カメラマンからカメラを奪い取って自ら撮影してきたり、と、奔放なセレンフィリティに振り回されている内に、どうでもよくなってきた。
 恥ずかしがって、もじもじしていたところで、何にもならない。
 次第に自らポーズを取るようにもなり、緊張が解けたセレアナの様子に、セレンフィリティも微笑む。

「いいじゃない、少しくらい……」
 少し、という範疇を越えているのは、まあ解っているけれど、自重する自分ではないことは、セレアナも解っているだろう。
 セレンフィリィティは、セレアナに足を絡めながら、する、とその身体を撫で回す。
 その手の性的な動きに、セレアナの身体がぴくんと震えた。
「もう……、真面目にやりましょう、セレン」
 これでは、水着の広告ではなく、グラビア撮影である。
 だが、セレアナが嫌がれば、セレンフィリティはその分燃え上がってしまうのだ。悪ふざけは止まらなかった。
 仕事中であることも半ば忘れて、自分達の愛する姿を見せ付けることの、何が悪いのか、という考えになってきている。
 何かを企んでいる顔をして、セレンフィリティはセレアナの頬を撫でた。
「い・や。
 いいじゃない、見せ付けてあげましょ」
 背後にシャッター音を聴きながら、セレンフィリティはセレアナに胸を押し付ける。
 一度振り返り、カメラに向かって笑ってみせてから、セレアナを抱きしめ、濃厚なキスをした。
「セレン……っ」
「黙って」
 熱い口付け。
 最初は抵抗しようとしたセレアナも、次第にそのキスに夢中になる。
 遠くでは、シャッター音が鳴りっぱなしだ。

 情熱的な口付けの後、セレアナは恨みがましくセレンフィリティを見た。
「衆人環視の中で、何てことを……」
 もう撮影スタッフの方を見れない。
「いいじゃない。あたしたちの愛の記録を撮ってもらうのも」
 そんなことを言って笑ったセレンフィリティに、セレアナは赤くなって俯いた。
「……私は、二人だけの思い出にしたいわ……」
「セレアナ……」
 きゅん、と自分の胸が鳴る音が聞こえるかと思った。
「セレアナ、可愛いっ……」
「もう、解っていないでしょう、セレン」
 恋人の新たな可愛い一面を見出しても、自分の行いを正す気はないのだろう。
 セレアナは、もう、諦めの境地だ。



 そんな撮影の時の写真が出来てきて、セレンフィリティ達のところに送られた。
 ポスターに使われたのは数枚だが、撮った物は全て送ってくれたのだ。
 その半分が、水着の広告には到底できない代物なのは、ご愛嬌。
 二人でそれらを眺めながら、
「あ、これ」
とセレンフィリティが一枚を手に取った。
「これが気に入ったわ」
「そうね。私も。セレンの表情が好きだわ」
 広告ポスターには使われなかったけれど、それが、二人のお気に入りの一枚となった。