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【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 前編

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【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 前編
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リアクション

■□■3■□■ 未来のヴぁいしゃりー

(まずお菓子は必須!
今のお金が使えないかもしれないから買い物するのに宝石も持って行こう。
あとヴァイシャリー湖が広くなったみたい。
釣りするかもしれないし釣り具もリュックに詰めよう!)
遠足気分で未来にやってきたレロシャン・カプティアティ(れろしゃん・かぷてぃあてぃ)は、
未来の自分に会って依頼を受ける。
未来のレロシャンは、宦官達に対抗して男装し、
言葉遣いや雰囲気もクールな男性的になり、
サングラスに黒スーツを纏い髪型はショートになっていた。
また、すぐに眠くなる事は無くなり知的になったが、かわりに閃きがイマイチになっていた。
未来レロシャンは、
湖の船を拠点に、
少数の仲間と啓蒙のビラ貼りなどのレジスタンス活動をして、
静香達と敵対しているが、
静香が昔のように戻ってくれると信じていて非暴力・対話主義を貫いている。
「シャンバラを元の状態に戻す為には、
まずは『ヴァイシャリー以外全部沈没』という
異常環境を元に戻すことだ。
そうなれば住み処を追われた人達も、ひとまずは落ち着くはずだ。
そのためにはヴァイシャリー湖の精 ヴぁいしゃりーに近づき、
何とか説き伏せる事が必要となる。
桜井静香やラズィーヤに目が行きがちだが、
最も厄介な能力を持っているのはあの地祇だからね。
それにパートナーを口説き落とせば桜井静香とも交渉し易くなるだろう。
将を射んとすれば……だ。
今の君の外見なら私と違い警戒されにくいだろうし、
今の私では思いつかない君の奇抜なアイディア、直感にも期待している。
頼みは君だけだ。
お願いだ、協力して欲しい」
(ええっと……。
 未来の私はなんだか賢そうです。
でも正直期待されても!
 あと説明長っ!)
こうして、未来のレロシャンの船で、現在のレロシャンは釣りを開始した。
その辺りの枝に釣り糸を付け、
手持ちのお菓子を結びつける。
「ヴぁいしゃりー釣りです!
 こんなんで勘弁してください、未来の私!」
開始して数秒で、現在のレロシャンはヴぁいしゃりーを釣り上げた。
「つ、ついお菓子につられてしまいましたわ。
 じゃたと合体したせいですわね……。
 わたくしとしたことが」
ハラペコキャラのジャタの森の精 じゃたと合体したせいで、
ヴぁいしゃりーもお菓子に弱くなったのだった。
「お菓子あげますから、シャンバラを元に戻してくれませんか?」
「嫌ですわ!」
「じゃあ、宝石もあげますから」
「……」
エメラルドとガーネットを見せられて、ヴぁいしゃりーは沈黙する。
宝石好きはお嬢様な性格のため、元からの性質であった。
「ま、まあ、静香様に取り次ぐぐらいでしたらよろしくてよ?」
「本当ですか?
 ありがとうございます!」
こうして、二人のレロシャンは、ヴぁいしゃりーとの接触を成功させた。

★☆★

桐生 円(きりゅう・まどか)は、ヴぁいしゃりーの町で未来の自分の話を聞いて回っていた。
「ねー、桐生円って今どんなことしてるのー?
たぶん背が高くてセクシーでモテモテな才女になってて、
かっこいい男の人と結婚してるとおもうんだけどしらない?」
しかし、円が近づくと、たいていの者はひれ伏したり、
窓を即、閉めたりして関わりたくない様子を見せる。
「んー反応が芳しくないな、
なに、なんでみんなボクを避けるの?
ボク何か悪いことしたっけ?」
円は、宮殿内に潜入し、丈夫な段ボールをかぶって移動していた。
「がさごそがさごそ。
 あっあんなところにヴァイシャリーくんが。
おーい」
「ふふふふふ、エメラルドとガーネットですわ……って、きゃああああああ!?」
円は、通路の真ん中を走ってきたヴぁいしゃりーを捕まえて、
思いっきりぐるんぐるん振り回す。
「ねーヴァイシャリーくん、なにしてるのー? なんかすごく偉そうだけど」
「な、何をなさいますの!?
 あなた、桐生円のくせに、生意気ですわよ!」
その時、銃声が響き渡った。
「報告ありがとうございます、
ですがあなた、わたくしを見下ろさないでくださいます?」
未来の円が、ゴブリンやオークの掃討作戦の報告をした部下の頭を撃ちぬいたのであった。
「あっ、円はあちらにいますわ!
 部下が話しかけるときは
円の頭より低い位置から話しかけるという決まりを守らなかったせいで、
 また殺されましたのね。
 ……じゃあ、こっちの円は?」
「お見苦しいものをお見せいたしました、ヴぁいしゃりー様」
未来の円は優雅に微笑を浮かべ、ヴぁいしゃりーに一礼する。
「あっ、ボク、外見が全く変わってない!
 身長も伸びてないし、胸も……。
 しかも、未来のボクはヴァイシャリーくんより地位が低くて礼儀正しくしてるみたい。
それはよくないよ!
 おかしいよ! 
ヴァイシャリーくんより地位が低いなんて間違ってる!
 よし一緒に校長の所にいって直談判してこよう、賃上げだ! ストライキだ!」
「きゃああああ、やめるのですわ、も、もう一人の円、止めなさい!」
ヴぁいしゃりーが現在の円にがくがくゆすられて悲鳴をあげる。
すると、ヴぁいしゃりーの持っていた宝石が地面に落ちる。
「ヴぁいしゃりー様、いったいどこでこのようなものを?」
未来の円の追及に、ヴぁいしゃりーは冷や汗をだらだら流す。
「し、知りませんわ!
 静香様に反対している勢力の者と取引なんてしてませんわ!」
「ふーん。裏切ったのかー」
現在の円は、宝石を拾い上げて言う。
「か、返しなさい!
 でも、わたくしは静香様のパートナーですわよ!
 あなたのような者とは格が違うのですわ!」
ヴぁいしゃりーは強硬な態度を続けるが、
未来の円は、貴族らしく、慇懃無礼に言う。
「では、こちらはお預かりいたしますね。
 ヴぁいしゃりー様、ゆっくりお話を聞かせていただきましょうか」
「わーい、ヴぁいしゃりーくんをゆするぞー」
「ちょ、円、がくがくするのはやめなさい!
 無礼ですわよ!!」
「だって、この時代のボクはヴぁいしゃりーくんより地位が低いけど、
 ボクは別の時代の円だから違うもーん。がくがくがくがく」
「ちょ、やめ、きゃああああああああ」
現在の円は、ヴぁいしゃりーを物理的にがくがくゆするのであった。