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【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 後編

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【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 後編
【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 後編 【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 後編

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■□■8■□■ ソーセージ争奪戦・野球のバット乱舞

一方そのころ、ソーセージの埋まった泥沼では。

現在・メイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)は、
前回、まったく姿を見せていなかったが、
実は、情報収集のため地下活動をしていたのであった。
「今こそ、撲殺天使の出番ですぅ!」
現在・メイベルはゲリラ活動に赴いた。

★☆★

「私は、『パラミタ”撲殺天使”普及委員会』のメイベル・ポーター!
大宦官静香様に逆らう者は全員撲殺ですぅ!」
未来・メイベルは、
秘密結社の活動が認められ大宦官の側近になっていた。
未来の世界では、
「パラミタ撲殺天使」が公認され、治安維持部隊として結成、
メイベルはその部隊長なのである。
「野球のバット」は「撲殺天使」専用武器となり、
本来の「野球」の用途に使うことさえも禁止されることになっていた。
そのため、「野球のバット」を使用した「野球」は禁止スポーツに指定され、
発見され次第重犯罪者として処刑されることもある。
当然、野球のバット保持者であるメニエス・レイン(めにえす・れいん)は最重要指名手配犯であった。
「野球のバット」を使用した「野球」選手やファンは地下活動に走り
「野球」は反体制派組織の名前にも採用されている。
「撲殺天使」と「野球」との戦いが今日もどこかで繰り広げられているのである。
なお、「野球のバット」は「撲殺バット」と改名されており、「野球のバット」と呼ぶ者も重犯罪者とされる。
「撲殺天使をかっとばせ!」
「野球」メンバー達が、この機会にメイベルを倒そうと襲い掛かる。
「撲殺天使」のメンバーがメイベルが百合園出身のため女性限定なのに対し、
反体制組織「野球」は元々のスポーツも男性が多かったため、組織構成員も男性メインであった。
構成員は必ず「野球帽」と「野球のユニフォーム」を着用している。
未来・メイベルは、「野球」メンバーを数十人まとめて撲殺した。
「待つのですぅ!」
野球のバットと撲殺バットが激突する。
現在・メイベルが、未来・メイベルのバットを受け止めたのである。
「何故、撲殺天使の活動を邪魔をするのですかぁ?
鈍器を制するものは世界を制す。
正に今の私たちこそそれを体現しているのですよ」
「パラミタ撲殺天使は正義の味方でもなく悪の下僕でもなく、混沌の使徒。
独立不羈(ふき)、不偏不党こそ、その本質に叶うものだからですぅ」
現在・メイベルの目的は、野球のバットが自由に使えるようになることであって、
未来・静香の悪政や、ヴァイシャリー以外全部沈没には気をとめていないようであった。
「そ、その撲殺バットは……!?」
未来・メイベルは、現在・メイベルの野球のバットを見て驚く。

★☆★

話は少しさかのぼる。

水心子 緋雨(すいしんし・ひさめ)は、
ヴァイシャリー市内で未来の自分を探していた。

「つい最近、契約したばかりで全く知り合いがいないなので明確な目的がないのよね。
とりあえず未来の私を探して手伝おうかな〜っと。
私が私のままなら未来でもきっと武器造りに関わってるはずだから
『ワンオブウェポン』って口にしてる武器職人で探せばきっと見つかるわ。
『ワンオブウェポン』なんて言ってるの私くらいしかいないでしょうからね」
緋雨の目標は、使い手がいて初めて真価を発揮する武器『ワンオブウェポン』の作製であった。
はたして、未来・緋雨は、
レジスタンスに入って構成員の武器の製造やメンテナンスを行っていた。
特に、張角は武将だけあって緋雨の武器造りの趣旨に合っていたので進んで協力している。
(だけど、まだ、目標の『ワンオブウェポン』の域には到達してない……。
ただ光明はあるはず。
技術的な事以外に、
使い手の性格、持ち方、癖等を見抜く観察眼、
その特色を武器に反映させる為の経験、使い手に対しての想い、
使い手の信念、そういうものが『ワンオブウェポン』に繋がるはずよ)
未来・緋雨は、そのことを現在・緋雨に言葉ではなく、
行動で教えようとした。

「完成したわ、未来の私!」
「これこそが、メイベル・ポーターさんにふさわしい……」
「「ワンオブバット!!」」

★☆★

「この野球のバットは、水心子 緋雨(すいしんし・ひさめ)さんの魂が込められた、
ワンオブバット……。
この野球のバットで、私はこの世界を制するのですぅ!!」
「野球のバットと呼ぶものは重犯罪人ですぅ!」
二人のメイベルの死闘が繰り広げられる。

★☆★

(コレは悪夢なのでしょうか? 悪い冗談なのでしょうか?)
オレグ・スオイル(おれぐ・すおいる)は、
そう考えつつも未来を変えたいと行動していた。
(男の娘?
また訳のわからないモノが流行して……。
しかし、これはビジネスチャンスですね)
「さあ、今や撲殺天使に押収されて、希少品となった野球のバットです。
「野球」の皆さん、これで戦いに勝った暁には、
野球ができるようになりますよ」
「野球のバットだ!」
「5本くれ!」
「こっちは10本だ!」
オレグは、未来の世界で希少品となり、
撲殺天使にしか持つことを許されない野球のバットを販売し始めた。
「野球」メンバーは、こぞって野球のバットを購入しはじめる。
また、手ごろな武器のほしいレジスタンスも、
オレグから野球のバットを購入した。

★☆★

そこに、二人のメニエス・レイン(めにえす・れいん)が現れる。
現在・メニエスは、未来・メニエスに引きずられるようにしてやってきていた。
「自分が校長に渡してあげることで校長をあたしのものにあはははははは」
「ああ、もう、面倒くさいわね」
病んでいる未来・メニエスは、未来・静香にソーセージを渡すことを目的としており、
なりふりかまっていないのであった。
「ソーセージを!
ソーセージを手に入れるのよぉ!」
未来・メニエスは泥沼の中に突っ込んでいく。
現在・メニエスは、汚れるのが嫌なので、争奪戦を傍観する。
「あんたも来なさいよ!」
未来・メニエスは、騒動を傍観している現在・メニエスを見咎めて、胸倉をつかむ。
「汚い手で触るんじゃないわよ!」
泥を服につけられて、現在・メニエスはブチ切れて野球のバットで未来・メニエスを殴る。
「あああっ」
殴られた未来・メニエスは、気持ちよさそうな声を上げる。
「は!?」
現在・メニエスは、未来・メニエスの様子をいぶかしんで、
さらに数回殴る。
「あああ、いい!」
未来・メニエスはMになっていたのである。
現在・メニエスは、全身に鳥肌を立てる。
「キモいわああああああああああ」
現在・メニエスは、未来・メニエスを騒動の真ん中にかっ飛ばした。
たくさん人が集まってるところにぶっ飛ばされた
未来・メニエスは、踏まれまくったが、快感そうな声を上げていた。
「こんな気持ち悪い未来に居られないわ。あたしはもう帰るわ」
現在・メニエスは脱力しつつ、
その場を立ち去ろうとしていたが、
現在・メイベルがワンオブバットで後頭部を殴る。
「パラミタ撲殺天使、降臨!
混沌の使徒として、メニエスさん、あなたを撲殺しますぅ!」
「ぐはあああっ!?」
現在・メニエスはぶっ飛ばされて泥に沈んだ。