波羅蜜多実業高等学校へ

葦原明倫館

校長室

空京大学へ

【裂空の弾丸――ホーティ盗賊団サイド――】綺麗な花には何がある?

リアクション公開中!

【裂空の弾丸――ホーティ盗賊団サイド――】綺麗な花には何がある?

リアクション

 はい、続きます。
「それでは美女コンテストを開催します。優勝商品はこちら! その美貌と歌声で高人気を誇る人魚です!」
 水槽に入った人魚、の少女が舞台に運び込まれる。
「それでは優勝目指して、その美しさを極めてください! では、エントリーNo1!
レキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)さん、ミア・マハ(みあ・まは)さんどうぞー!」
「なんでコンテストなのに同時参加が……」
「細かいことはいいのじゃ。今は優勝! それだけを狙っていくのじゃ!」
「んーでも水着になる必要はあったの?」
「美女コンテストといえば水着審査じゃろうて。わかっておらぬなぁ」
 コンテストの先陣を切ったのはレキとミア。その身をバスタオルに包んでいる。まるで何か秘策があるように。
「それではアピールタイム! どんどんアピっちゃってください」
「くっく、とくとその目に刻み込むとよいのじゃ!」
「ほんとに必要だったのかな、これ」
 バスタオルをばさっと取った二人は水着を着込んでいた。
 レキはセパレートタイプ、ミアは何故か持参したく黒ビキニ。
「さあ存分に味わうといい。スレンター+黒ビキニ+眼鏡というアンバランスな組み合わせからかもし出される魅力を!」
 どん、と仁王立ちで胸を張る。

―――わ、一生懸命さが伝わってきて可愛いですね
―――少し背伸びしすぎかしら?
―――小さい子……グッドだわ!

 審査員からはいい所、悪い所があげられるがそこまで悪い評価はなさそうだ。
「さあ次はレキの番じゃぞ」
「ポーズ、とかはわからないし。だったらいつもの自分をっ」
 その場で側転をした後、バク転に繋げ、更に床運動へと。
 急な動きから滑らかな動きを見事に演じきるレキの動きに審査員から拍手が送られる。

―――自分のよさをしっかりアピール、なにより元気でいいですね。
―――ただ美女コンテストのアピールと見ると少しだけ減点かしら。
―――いいわ! 滴る汗! ベリーグッド!

 自分らしさを存分に表現したレキにもまた賞賛の声が上がる。
「……何か、ちょっと危ない人がいるような」
「しゅーりょー! アピールタイムはここで終わりです。レキさん、ミアさん、ナイスファイトでした! では次の方、いってみましょう!」
「はーい! 桜月 舞香(さくらづき・まいか)でーす! どうぞみなさま、よろしくお願いします!」
 快活な挨拶、なのだがその衣装はかなり際どい黒のハイレグレオタード。
 足にはエナメルハイヒール、頭にはうさぎ耳をつけたセクシーバニーガール。
 たわわに実った二つの胸とすらりと伸びた美脚。インパクトは十分だ。
「このままアピール、行きますね?」
 【トワリングソード】を持ち出してバトントワリングを開始。
 ロール、マテリアルの技を数々こなした後、バトンを思い切り空へ投げる。
 エーリアル中は、飛び出した剣が空を斬り、美しい戦慄が聞こえる。
「もう一押し、行くよー!」
 エーリアル中に【メタモルブローチ】をかざして、メタモルフォーゼ。
 それまでの過激な衣装とは正反対に清楚なメイドがそこに現れる。
 変身終了と同時にバトンが舞香の手元へ。
「お帰りなさいませ、バトン様。なーんて、ね」
 最後の最後に特大のウィンクを一つ審査員席へ送る舞香。
 流れるようなパフォーマンスに審査員も感嘆の声を上げる。

―――お見事です。多彩さもさることながら一つ一つに魅力が詰っていました。
―――どこを一番にアピールしたいのか、ちょっと伝わりにくかったわね。
―――バニー! メイド! どちらも正義よ!

 様々な意見はあるものの会場をわかせたことは確かである。
「はい、舞香さんありがとうございましたー! でもまだまだ参ります。ネクストチャレンジャー! カモーン!」
「よーし! 気張っていくけんのう!」
 野太い声の主、清風 青白磁(せいふう・せいびゃくじ)の『メイドさん大行進』で会場が見違えるようにピカピカになる。
「次はぬしらじゃけん! 準備はええか!」
「押忍!」
 【指揮官のバッジ】と【純白のスーツ】でその存在を誇示し、『熱狂』『名声』で更に迫力を出す。
 更に『根回し』した『信頼の空賊』たちがどこからともなく姿を現す。
「さあきばって応援せえ!」
「押忍!」

「「騎沙良ー! 騎沙良ー! いったれー騎沙良ー!」」

 その応援に後押しされるように飛び出てきた【和みの歌姫】騎沙良 詩穂(きさら・しほ)
「みんな、はじめまして! わたし詩穂っていいます! よろしくね!」
 ざわざわと周りがざわめく。
 まだ『名声』で詩穂のことを知っている人がいるレベルだからそれも仕方がない。
 それをこれから、熱狂に変えていくのだ。
「それじゃ早速、歌わせて頂きます」
「さあ、青白磁様に負けていられませんわ。しっかりサポートさせて頂きます」
 ゆっくりと歌い始めた詩穂の後ろにはパートナーであるセルフィーナ・クロスフィールド(せるふぃーな・くろすふぃーるど)がサポートの準備を整えていた。
「バックコーラスと演奏はおまかせくださいまし」
 違和感がないように【愛と夢のコンパクト】で詩穂と同じくらいの外見になっているセルフィーナ。
 ゆったりとした歌声に合わせて、演奏とコーラスを丁寧に合わせていく。
 応援の方も曲調に合わせて小さく、ゆるやかに行われていた。
「……! ぬしら、そろそろじゃ! 気を抜くなよ!」
「感じます。詩穂様の鼓動、感情の流動を。徐々に、激しくなっていることを」
 二人の言うとおり、ゆったりと流れていた曲調がその顔を変えていく。
 息を潜めていた応援、演奏、コーラスにも熱が入ってくる。
 そして爆発する。
「一気にいくよー!」
 『熱狂』。
 そのスキルの名の通り会場が狂ったように熱を帯びていく。
 更に詩穂自身も演奏を開始。二人が奏でる楽器の音と声のハーモニーは抜群だ。
「今じゃけん! 渾身の応援を思いきり滾らせい!」
 呼応するように応援も限度一杯まで力強く。
 それに釣られるように会場は更にヒートアップしていく。
「これでラストー!」
 最後の〆の部分で詩穂が大きくジャンプ。
 そして着地と同時に全ての音がぴたっと止まる。
 しばらく、熱気だけが会場を包んでいたがやがて拍手と歓声が詩穂に向けられる。
「ありがとー! 最後まで聞いてくれて、ありがとー!」

―――素晴らしい。三位一体とは正にこのことでしょう。
―――すごいけれど、あの子一人の力だけではない部分もあるわね。
―――しーほっ! しーほっ! しーほっ!