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【アナザー北米戦役】大統領救出作戦

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【アナザー北米戦役】大統領救出作戦

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11 救出に向けて




 さて、【ドラグーン】に置いて先陣を担当しているのは裁のほかに、猿渡 剛利(さわたり・たけとし)とそのパートナーの三船 甲斐(みふね・かい)エメラダ・アンバーアイ(えめらだ・あんばーあい)。そして佐倉 薫(さくら・かおる)がいた。
 そして【獅子の牙】の先陣担当はエールヴァントやクローラ蓮華たちなのだが、【獅子の牙】の方はすでに解放された人々とともに先の方に進んでいたので、ここでは【ドラグーン】をメインに描写することにしよう。
 裁の方はパワードスーツを纏いながらも殺気寒波、ディテクトエビルなどで警戒しつつグレースとともに先へ先へと進んでいたのであるが、剛利たちも殺気看破や行動予測、ディテクトエビルなどを使い、裁同様に警戒をしながら進んでいた。
 そして、それらの警戒が功を奏して裁と剛利たちはほぼ同時にロビン・フッドの集団を発見する。
 ロビン・フッドは屋内であるために弓ではなく剣を持って襲いかかってきたのだが、グレースや裁はそれに対して肉弾戦で応戦する。
 一方の剛利は弾幕援護で後方からの支援をし、支援機を操縦していた甲斐も作戦の都合上支援機からおりて生身で突入し、ダェーヴァは魔術耐性が弱かったはずだという考えのもとにロビン・フッドにヒプノシスを施してみる。
 しかしロビン・フッドにヒプノシスが効いた様子は見られなかった。
 種を証してしまえばダェーヴァは「指令級」がそれぞれに生産施設を持っておりそこで様々な兵器を生産するのであるが、コープスであろうとそれ以外の怪物であろうと、これらの平気には疲労、空腹といった生命維持のために必要なデメリットが一切存在せず、そのために食餌をしたり休息をすることもない。したがって眠るという概念すら存在せずヒプノシスは効果を発揮しなかったのである。
 その一方でエメラダは機晶制御テンタクルにて触手を伸ばし、ロビン・フッドに攻撃をする。エメラダが伸ばした触手は何体かのロビン・フッドを貫いたが、まだ数が多く、敵を倒し切るには攻撃力が足りなかった。
「さて、大尉殿、こやつらは我らが引き受けよう、貴公は大統領の救出に専念してくれたまえ」
 そう言ったのは薫で、それを言われたのは未来からやってきたと自称する甲斐の祖父とされている三船 敬一(みふね・けいいち)大尉であった。
「わかった。ここは任せる。淋、コンスタンティヌス、行くぞ!」
 そして、敬一はパートナーの白河 淋(しらかわ・りん)コンスタンティヌス・ドラガセス(こんすたんてぃぬす・どらがせす)に声をかけると、グレースとともに更に奥へと進んでいった。
 また、敬一のもう一人のパートナーであるレギーナ・エアハルト(れぎーな・えあはると)は支援機に残りながら、対地攻撃をメインに戦車コープスや基地の外にいるロビン・フッドなどとの戦いを繰り広げていた。
 そして、敬一たちが基地の内部を進んでいると、突如として大人数の人影と接触する。
 敬一たちは銃を構え、相手の人影も武器を構えるのだが、相手の人影たちはローザマリア率いる【α分遣隊】。つまりローザマリアのパートナーである上杉 菊(うえすぎ・きく)、それからエシク・ジョーザ・ボルチェ(えしくじょーざ・ぼるちぇ)フィーグムンド・フォルネウス(ふぃーぐむんど・ふぉるねうす)。そして彼女たちとともに行動をしている米軍の特殊部隊ということがすぐに分かり、両者は安堵しつつ武器をおろしたのであった。
「別のルートから潜入した二つの舞台が鉢合わせるということは、これは大統領が近いようだね」
 そういうのはフィーグムンドで、それに同意したのはコンスタンティヌスであった。
「……であろうな。おそらくはこの先に、大統領は囚われているはずだ。【獅子の牙】のウィザードからの情報も、この奥を示している」
 そんなことを話していると、ちょうどその【獅子の牙】のメンバーたちも別のルートからこちらにやってきた。
 ルカルカ・ルーとそのパートナーであるカルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)夏侯 淵(かこう・えん)
 そしてルカルカを護衛しているシャウラ・エピゼシー(しゃうら・えぴぜしー)
 クローラにエールヴァント、そして蓮華と彼ら、彼女らのパートナーたちである。ちなみにクエスティーナは退路の確保やその他の支援のために後方にて待機しており、この場にはいなかった。
 また、同じように【ドラグーン】のリーダーでもあるトマスとそのパートナーである魯粛 子敬(ろしゅく・しけい)テノーリオ・メイベア(てのーりお・めいべあ)ミカエラ・ウォーレンシュタット(みかえら・うぉーれんしゅたっと)の四人も退路確保のために前線には出てきておらず、この場にはいない。
 彼らは視線を交わしてから、一様に頷く。その後で、ローザマリアが一同に提案した。
「大統領を直接救出する役目だけど、私達契約者ではなく、彼ら米軍特殊部隊の人たちにやってほしいの。これは、『アメリカの名誉』のためでもあるの。お願いできるかしら?」
「……なるほどな。それはよく分かる。俺としては同意しよう。ルー少佐、クライツァール大尉の言葉はもっともなことだと思うのだが、どうだろうか?」
 最初にそういったのは敬一だった。そしてさらに、ルカルカに問いかける。
「べつに、そこら辺にはこだわらないから大丈夫よ。ただ、大統領を救助したら、少しだけ時間欲しいかな? 大統領に演説をして欲しいの」
「それについては、是非もなしですね。それより、此処から先は迎撃も厳しくなるはずです。急いで大統領の救出に参りましょう」
 菊がそう言って、一同を促す。
 皆その言葉に従って、進軍を始める。
「……待たせたな。大統領の居場所が判明した。これから誘導する」
 タイミングよく、ダリルが大統領が監禁されている部屋を割り出した。
「了解。誘導よろしくね!」
 そして、契約者と米軍の混成部隊は基地の中を進んでいく。
「……近くになにかいるな」
 そう言ったのは殺気看破で警戒をしていたシャウラだった。
「では、私が行こう。Seal’sは援護を頼む」
 エシクはそう言うと、Seal’sの援護射撃を受けつつ角を曲がって飛び出す。そしてアクセルギアをつかって加速すると、七支刀型の光条兵器でレッド・キャップの群れを切り払う。
 キーキーと耳障りな叫び声を上げながら逃げ出すレッド・キャップを追いかけるエシクに、菊の弓の援護が入り、立ち止まったレッド・キャップたちをエシクは一掃したのだった。
「さて、行こう。道はまだまだ続くぞ」
 そして、一行はさらに進むのであった。

「……この先の広い空間にパワードコープス10、多脚戦車コープス15。それからクー・シーが18。そしてそこを抜ければ大統領までもうすぐです」
 偵察から戻ってきた米兵が、敵の状況を告げる。
「うーん。数は多いわね。どうするべきかしら?」
 ルカルカが悩んでいると、敬一がまず申し出た。
「とりあえず、陽動に回っている味方部隊に支援を要請しましょう。合流したら一斉に突撃。要請した部隊の到着前に戦闘が始まったらドラグーンと獅子の牙は敵を引きつけつつ後退。先ほどの取り決めの通りα分遣隊とともに行動している米軍特殊部隊が大統領を救出するための支援をする形がいいかと思いますが、いかがでしょう?」
「俺はそれでいいと思うぜ。ただ、俺は壁をすり抜けることができるから、分遣隊の方に同行させてもらいたいな。そのほうが何かと便利だろ?」
「いいんじゃないかな? できれば中から鍵を開けてくれたりすると助かるんだが」
 淵の言葉を受けて発せられたフィーグムンドの言葉に、淵は任せてくれと頷き「さて、そうと決まったら行こう!」と声をかける。
「では、米兵の皆さんは銃撃による援護をおねがいします。そして、私達が道を開いたら、突撃をして大統領の救出を」
 ローザマリアのその言葉に、米兵たちは頷く。
 やがて、しばらくすると鷹の目のピーターソンを始めとした捕虜たちや米兵、そして彼らとともに行動していた契約者たちが合流したのだった。