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リアクション
3階から放たれた攻撃は、正面班の元に降り注いでいた。
銃弾からは、ナイトの空井 雫(うつろい・しずく)、大岡 永谷(おおおか・とと)、クリストファー・モーガン(くりすとふぁー・もーがん)、クリスティー・モーガン(くりすてぃー・もーがん)、ヴァーナー・ヴォネガット(う゛ぁーなー・う゛ぉねがっと)が、身を挺して後衛の魔法使い達を守り、その身に受けた。
魔法攻撃も2発――サンダーブラストとファイアストームが陣に降り注いでいた。
敵に斬り込んでいる前衛は魔法攻撃の範囲外にいたが、戦闘が長時間続いており、疲労も激しく傷も負っていた。
「……どうした! そんな動きでは俺について来れないぞ!」
クルード・フォルスマイヤー(くるーど・ふぉるすまいやー)は、銀色の髪を靡かせ駆け、敵を翻弄していく。
その彼の頬にも、一筋の赤い血が流れていた。
敵剣士がクルードに迫り、剣を振り上げる。
「遅い! 【覇狼爆炎陣・双牙】!」
一閃したクルードの剣から爆炎が放たれ、敵剣士は炎に包まれ倒れる。
「まだ、遙遠も戦えます……!」
鮮やかな動きに励まされ、尊敬の念を抱きながら緋桜 遙遠(ひざくら・ようえん)は地に付いていた膝を伸ばし、立ち上がる。
バーストダッシュを使い、ヴァルキリーの紫桜 遥遠(しざくら・ようえん)は敵の肩に剣を叩き下ろし、呻く敵から離れ、後衛の方に目を向ける――。
「遙遠……」
パートナーの遙遠や、仲間の苦しげな様子に、遥遠は胸を痛めた。その一瞬の隙に、彼女に銃が向けられる。
「危ない!」
アルル・アイオン(あるる・あいおん)は翼をも使って、敵の中を翔け回っていた。ヴァルキリーの彼女達は、歩兵より早く移動できるが疲労も大きかった。
アルルは銃を構える男に突撃し、脇腹を切り裂いた後、バーストダッシュを使って一旦パートナーの雫の元に戻り、荒い呼吸を繰り返す。
「結構、しんどい、ね……」
汗を拭い、カルスノウトを構えなおす。
「ありがとうございます」
遥遠もパートナーの元まで一旦退いた。
「私を盾にして魔法を撃って下さい。鎧をまとっている分、丈夫ですから」
雫は防御姿勢をとる。
「……頼みます」
女性を盾にするのは忍びないが、遙遠は雫の真後ろに立ち、迫りくる敵に向かい、氷術を放った。
「はっ!」
足が凍りついた敵剣士に、雫が槍を突き出して倒す。
弱っている仲間達の元に、敵前衛が総攻撃を仕掛けてくる。
騎士陣はランスを手に敵の前に立ちふさがり、応戦する。
「絶対、絶対やっつけてやるんだから!」
薔薇学のドラゴニュートファル・サラーム(ふぁる・さらーむ)は、炎術を放つ。
炎につつまれた敵が、手にしていた小剣をファルに投げる。
瞬時にパートナーの早川 呼雪(はやかわ・こゆき)がファルを突き飛ばす。
小剣は小雪の腕に突き刺さった。
「っ、ファルもう少し下がれ」
剣を投げ捨てて、騎士の間を突破した敵にメイスを叩き付ける。敵の剣が小雪の肩を切り裂いた。
「コユキ、コユキ」
ファルは小雪の名を呼びながら、ドラゴンアーツで敵を打ち飛ばす。
「大した傷じゃない」
小雪は後衛を守るナイト達に目を向ける。明らかに、1人狙われている人物がいる。
ヴァーナー・ヴォネガット(う゛ぁーなー・う゛ぉねがっと)。
白百合団の甲冑を纏ったヴァーナーが、要と思われているようだ。
「下がれ、ヴァーナー」
永谷は、そう声をかけるも、自分も目の前の敵の相手だけで精一杯だった。
振り下ろされた剣を、身体を捻って躱す。だが、刀身が肩を掠めて血が吹き出る。
攻撃を幾度も受けた鎧は、随分と破壊されてしまっている。
敵の後方から、銃弾が放たれ後衛に向かっていく。
永谷は歯を食いしばりながら、足を引いてランスを繰り出し、敵の腹を突いた。
「大丈夫、です。悪い人には、負けないです……!」
ヴァーナーはボロボロになりながら、ランスを前へ前へと繰り出す。敵を殺しはしない。ひたすら足を狙って。
斜め前方から迫る剣士が、ヴァーナーの身体にを叩き込む。
「あ……っ」
小さな声を上げて、ヴァーナーは地に伏した。
敵剣士が止めを刺すべく、剣を振り上げる。
「ヴァーナー!」
後方から1つの影が飛び込んでくる。ヴァーナーに覆い被さるその影の下に、剣は振り下ろされた。
鮮血が空を舞う。
降り注ぐ血に、ヴァーナーは目を見開いた。
「離れろ!」
永谷が再び剣を振り下ろそうとする敵剣士にランスを突き立てる。その永谷に正面から剣が振り下ろされる。
辛うじて身体を逸らし直撃を避ける。胸元が大きく切り裂かれる――。
「ちと巻き込んじまったら、ゴメンな!」
ヴァーナーを庇った影、緋桜 ケイ(ひおう・けい)が、血に染まりながら群がる敵に向かいサンダーブラストを放つ!
降り注ぐ雷が、敵を次々に打ち倒していく。
「治療が必要な者は退け、一気に討つぞ」
後方から悠久ノ カナタ(とわの・かなた)が指示を出し、後衛に目を向ける
「魔法の温存が出来る状態じゃなさそうですわ」
セツカ・グラフトン(せつか・ぐらふとん)は傷つきながらも懸命に起き上がろうとするヴァーナーに心配気な目を向けた後、雷術を連続で放つ。
「これ以上、やらせませんわ!」
遠距離攻撃が出来る手段があれば遠くの敵をも狙えたが、セツカはヴァーナーの傍から負傷した敵を追い払うだけで精一杯だった。
「逃げたって許さないんだから!」
ファルも同時に火術を放つ。
「回復はまだ戦える者に!」
カナタはアシッドミストを放つ。
雷で深いダメージを受けていた者達が、酸と炎に巻かれて倒れていく。
「退――」
指揮官と思われる男の頭に、弾丸が撃ちこまれる。長距離班の援護射撃だ。
まだ動ける敵達は、一旦後方へと退こうとする。
「逃がすか!」
クリストファー・モーガン(くりすとふぁー・もーがん)は、踏み込んでランスで敵の背を突く。
「でやーっ!」
即座に抜き、大きく振るい、敵を払い倒していく。
「頑張ってください」
レティナ・エンペリウス(れてぃな・えんぺりうす)が、クリストファーにヒールをかける。
「ありがとう」
振り向かずに礼を言った後、クリストファーは立ち上がる敵剣士をランスで突く。
「ボクもまだ、戦える」
クリスティー・モーガン(くりすてぃー・もーがん)は、呪文を唱える魔法使いに向かって走る。
放たれた雷術を受けるも、歯を食いしばり耐え、ランスを繰り出して打ち倒す。
「無茶はしないでください。確実にいきましょう」
即座に、後方に跳び皆の所に戻ったクリスティーにも、レティナはヒールをかけた。
「お互い、前衛はボロボロだけど、まだまだこれからよ〜!」
陽神 光(ひのかみ・ひかる)が、リターニングダガーを敵有翼種に投げつける。躱した敵の翼に突き刺さり、バランスを崩して地に足をついた。
その瞬間、クリストファーが踏み込んで、ランスを突き立てる。
「ナイス!」
そう笑顔を見せる光も、魔法攻撃や狙撃を受けいくつもの傷を負っていた。
「あちらさんも後衛がようやく露になったな!」
永夷 零(ながい・ぜろ)は、傷ついた顔ににやりと笑みを浮かべて弾幕援護で再び仲間をカバーする。
乱射する敵の銃弾が届かない。途端アサルトカービンの引き金を引き、零はその射撃手を素早く倒す。
「ゼロ、頑張って下さい」
パートナーのルナ・テュリン(るな・てゅりん)は、SPリチャージで零の精神力を回復する。
「く……そ……っ」
地に伏していた敵が起き上がり、ルナに剣を突き立てる。
「ルナ!」
咄嗟に、零はルナを庇い、敵の剣は彼の背を深く斬り裂いた。
「許しません……」
ルナはカルスノウト振るい、轟雷閃を発動する。
轟雷に討たれて敵は声も上げずに倒れた。
「ゼロ……」
「今、癒します!」
ユニ・ウェスペルタティア(ゆに・うぇすぺるたてぃあ)がヒールを唱えて、零の傷を癒す。
そして彼女は態勢を整えようとする敵達を真直ぐに見据えた。
「行きますよ……邪悪なる者よ……聖なる光にて、この世の眩しさを知りなさい! 【シャイニング・レイ】!」
生み出された強い光が敵を襲い、魂を抜かれたかのように倒れていく――。
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