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雪だるまと仲良し大作戦

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雪だるまと仲良し大作戦

リアクション

「魔法の粉が気になって参加したが」
 周りの流れですっかり森の入り口に立つことになってしまった佐野 和輝(さの・かずき)
「すぐに見つけられるよぉ。こんなこともあろうかとね〜」
 最高の秘密を打ち明けるようにアニス・パラス(あにす・ぱらす)はにんまりと笑った。
「何かしたのか」

「あのねぇ、仲良しになった魔女のスノハちゃんに式神の術で式にした右銀翼の髪飾りを持たせてあるからそれを辿れば見つけられるよ♪」

 甘い雪だるまを作って食べた時に仲良くなった女の子に持たせておいたのだ。
「そうか、それなら心配無いな」
 とりあえず、場所は何とか分かりそうなので一安心。あとはその子供の状態だけだ。
「ね、アニス凄いでしょ。ね」
 アニスはにこにこと誇らしげに和輝に言った。
「あぁ。アニスは空から探してくれ。見つけ次第俺に知らせてくれ」
「まっかせてよ♪」
 アニスは空飛ぶ箒ファルケで空に飛んだ。
 連絡のやり取りは『精神感応』ですることに。
「さて」
 和輝はアニスを見送った後、森へと入って行った。

「まっすぐ、右、左、右」
 和輝は『ホークアイ』で雪に残った足跡を確認しながら『ゴッドスピード』で木々の間をすり抜け、スノハの元へ急ぎ、何とか発見。

「……あの子か」

 和輝は見つけ次第、アニスに連絡を入れ、せっかくの冒険を邪魔しないように見守ることにした。危険が迫れば、こちらでこっそり追い払えばいいし、式で安全な場所に導けばいい。
「せっかくの大冒険なんだから、最後までやらせてあげないとな。まぁ、叱られるところまでが冒険だが」
 そう呟きながらもフォローはしっかりしている。
「あ、アニスちゃんに貸して貰った」
 髪に付けていた髪飾りが突然、ぽんと地面に飛び降り、とことこと動き始めた。全てはアニスの指示通り。
「待ってよぉ」
 スノハはそれを追って走り出した。
 そして、いつの間にか森を抜けることができた。当然、和輝は陰ながら見守っていた。

 アニスは森に入り口で空から地上に戻り、スノハと再会した。
「アニスちゃん、ありがとう」
 自分を導いてくれた右銀翼の髪飾りをアニスに返した。
「にひひ〜、どういたしまして」
 受け取り、にっこりとスノハに答えた。

「あ、和輝ちゃんも子供を助けに来ていたんだね」

 途中、アニスと出会った葵も子供と共に森の入り口に到着した。
 そして、離れた所にいる和輝に声をかけた。
「……流れでな」
「そうなんだ」
 和輝の答えを聞いた後、葵は助けた子供の頼みでここでブローチとみんなを待つことにした。当然、和輝とアニスも。

「怖いよぉぉ」
 ツァンダグリズリー相手に声を上げているの地球人の女の子。

「魔法少女リリカル葵にお任せだよ♪」

 声高らかに秋月 葵(あきづき・あおい)が登場し、ツァンダグリズリーの注意を自分に向けた。
「少しだけ眠ってね♪」
 そう言って彼女は『ヒプノシス』でツァンダグリズリーを眠らせた。
「もう怖くないよ。クマさんはおねんねしたからね」
 泣いている子供を元気づけるもなかなか泣き止まない。
「ほら、雪だるまさんも元気になって欲しいって」
 ミニ雪だるまを取り出して注意を雪だるまに向けようとする。
「……雪だるま?」
 少し涙が止まり、じっと雪だるまを見る。
「うん。この子と一緒にお空の散歩をしようよ」
 そう言って子供にミニ雪だるまを持たせてから手を差し出し
「うん、する」
 女の子はしっかりと葵の手を握った。
 そして、『空飛ぶ魔法↑↑』で上空へ避難した。

「うわぁ、すごぉい」
 すっかり泣き止み、空の旅を楽しみ始めた。
「このまま飛んで帰ろうね」
 女の子の気持ちが落ち着いたことにほっとしつつ急いだ。

 その途中、
「あ、アニスちゃん」
 空飛ぶ箒ファルケで空を飛んでいるアニスに出会った。ちょうどアニスも子供を一人助けたところだった。
「アニスちゃんも子供を助けに来たの?」
「……そうだよ。和輝が一緒にいるよ」
 同性相手の人見知りは脱却しつつあるアニスは葵の質問に少し答えてから和輝と助けた子供の元へ急いだ。
「行っちゃった。あたし達も急ごうか」
 葵達も急いで森の入り口へ向かった。

 森に入った騎沙良 詩穂(きさら・しほ)は『殺気看破』で害意を感じて急ぐとツァンダオオカミを発見。オオカミの側には、恐怖で動けなくなっている守護天使の女の子がいた。

「もう、大丈夫だよ!」

 詩穂は女の子を守るため勇敢に飛び出し、前に立った。
「冬眠から起こしちゃったみたいでごめんね」
 詩穂は獲物を見る目をしたツァンダオオカミに謝ってからゆっくりといい声で『子守歌』 を使って眠りへ誘った。
「ほら、オオカミさんは眠ったから大丈夫だよ」
 そう言っても女の子の顔は恐怖のまま一歩たりとも動けていない。
「もう、怖くないよ」
 詩穂は恐怖が抜けない女の子のために『幸せの歌』を歌い、心を癒してからゆっくりと手を繋いで森を抜けるために歩き始めた。