葦原明倫館

リアクション

終章：夢から醒めて

　「”ブルースロート”の『思い人』は『ジェファルコンベースのさわやか系』だと予想していたのだけれど、
　まさか本当に”ジェファルコン”だったとはね」
　長谷川真琴はくすりと笑って寿子に言った。
　「はい☆”ブルースロート”が好きなのは”ジェファルコン”という設定は元々あったのです☆
　”イーグリットくん”がそれを知っていたら”ブルースロート”に心を奪われてしまう確率が減ってしいます。
　それで”ブルースロート”の『思い人』は『彼女の心に秘めたまま』に設定したわけです☆」
　「それも今回の騒動で」
　「はい☆隠し設定ではなくなったわけでして……」
　「まぁ、今回は新キャラもたくさんできたじゃない？　”百合原うさぎ”に”ゴスホーク”に”ガネット”」
　「はい☆それに”シパーヒー”と”ファーリス”の設定もできました☆
　あと”アサルトくん”に双子の兄さん”チョコルトくん”の絡むストーリーもできそうです☆」
　「”うさぎさん”たちは一足先にお部屋に帰りますって言ってたけど……無事に原稿に戻ってるかしらね？」

　真琴が寿子の部屋のドアを開けると……

　擬人化イコンの３人は『漫画の原稿にペン入れしていた』。

　「これは……どういうことかしら？」
　真琴が”百合原うさぎ”に尋ねる。

　「キャロラインさんたちがお眠りになっていましたので……起こさないようにわたしたち３人で原稿を仕上げていたところで」
　「もうすぐ終わります……”パールヴァティ”も”ドゥルガー”も――本当に二人とも”ブルースロート”そっくりの美人で。どうせ。どうせ私なんて」
　「いえ、”ブルースロートお姉様”にかなうわけなんてあり得ませんわ――できあがりました。完成しましたわ」

　キャロライン・エルヴィラ・ハンターとトーマス・ジェファーソン、アルキタス・オルニスは原稿の仕上げの途中で眠ってしまっていたようだ。

　「キャロラインちゃん」
　寿子がキャロラインを起こすと
　「原稿は？　”パールヴァティ”は”ドゥルガー”は！　擱座しちゃった”イーグリット”と”アサルト”の修正は？」
　ジェファーソンも目をさまして言う。
　「……シャロン？　今度は私にも声を掛けて。パールヴァティを愛機にしている分、最適の監修が出来ると思うわ」
　アルキタスが目をこすりながら言う。
　「だって二人とも眠っちゃうんだもん……途中僕だけでペン入れしてたけど……僕もすごーく眠くなって」

　寿子が言った。
　「私の原稿には無事に『擬人化イコン』が帰ってきてくれました☆
　キャロラインちゃんの原稿はこの『擬人化イコン』の三人が完成させてくれました☆」
　寿子が指さす先には”百合原うさぎ”が深々と礼をしていた。
　「ストーリーも絵も完璧です☆」


　「”ゴスホーク”の作者アレーティアちゃんと”ガネット”の作者シリウスちゃんに
　今回描いてもらった原稿を私の原稿と一緒に入稿してもいいと了解をもらいました☆
　もちろん”百合原うさぎ”ちゃんのストーリーもです☆ここにキャロラインちゃんの原稿が加わればとても豪華な新刊が出せるのですけれど」

　「あたしの原稿も入稿してくれるの？　あたしはうれしいけど……ジェニファー？」
　「シャロン。今回のストーリー……苦情を言っているわけではありませんからね。
　もちろん寿子くんたちの原稿と一緒に本になるのなら喜ばしいことです」


　「それではわたしたちも原稿にもどりましょう。”ゴスホークさん”、”ガネットさん”」
　”百合原うさぎ”が二人を促すと、『擬人化イコン』の三人はきらきらと光りながら原稿に戻って行った。




　「なんかシリウスまで引きずられてるし……ネガティヴ空間って怖い」
　サビク・オルタナティヴがシリウス・バイナリスタを見て言う。
　「”ガネット”……オレの”ガネット”がどうしてあんなヤンデレさんに」
　シリウスは具現化した”ガネット”のネガティブな大活躍を見つめ続けてダメージを喰らったようだ。
　「……うん、なんだ。百合園帰ったら、オルタナティヴ１３／Ｇ（サビクたちのガネット）動かしてやろっか……？ね、シリウス」