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暴虐の強奪者!

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暴虐の強奪者!

リアクション


――プロローグ――


「あぁ〜、かぁったりー」
 真昼の太陽に照らされながら、まだ未熟な作物を回収している黒いマントの男がそうつぶやいた。
 時刻は午後1時。昨日このマクルバ村を仲間と共に制圧してから、そろそろ20時間が経過しようとしている。
「ダグザ親分はアジトに帰っちまうし、ヤバルさんは口だけで何にも働きゃしねぇし……はぁ、なんでこんなことしてんだろ、俺」
「今日中にこの村の作物を全て回収せよ、との命令なんだから仕方ねぇよ。それよかお前、わかってんだろうな。ヤバルさんにそんな暴言聞かれたら、あの腕のバイオガンで殺されちまうぞ」
「わ、わぁってらい! ったく、おっかねぇったらありゃしねぇぜ……」
 彼はあわててそう言って、手一杯にパラミタトウモロコシを抱え、ため息をつきながら家屋へ気だるそうに歩き出した。
 ……傭兵団、ダインスレイヴ。彼らはその誇り高き団員である。もちろん強奪者でも、農業従事者でも無い彼らは、いきなり上の命令で村の制圧に駆り出され、揚句夜通しで慣れない農作業をやらされたため、肉体的にも精神的にも非常に疲れていた。
「あーあ……っはは、でもあの女、ムゥだっけ? あれが死にかけているのは良かったなぁ。俺ぁさ、死に際の少女ってのには華があると思うんだ。あの白くなっていく肌、言葉も紡げなくなっていく口、徐々に、徐々に死んでいく体、まるで可憐な花の散り際みてぇな……」
「詩人になるには趣味が悪ぃぞ、はぁ……ダインスレイヴはいつからこんな、おかしな奴を抱え込む組織になっちまったんだかなぁ……」
 仕事に興が乗らず、無駄話を始めた彼らの耳元に、何やら楽しげな、音楽のようなものが聞こえてきた。
「……お、旅芸人かぁ?」
「旅芸人? こんな田舎町にも来るんだなぁ」
「なぁ、ちょっとくらいサボっても、バレねぇよな」
「んんー、バレねぇかどうかはわからねぇけど……まず間違いなくバチは当たらねぇよな!」
「そうと決まりゃあ!」
「「行きますか!!」」
 彼らは途端に笑顔になり、音楽の聞こえる方へ歩き出した。
 その、どこか悲しげで、また俗人の耳に聞きなれた暴言を含んだ驚きあふれる歌は……二人の少女によって奏でられていたのだった―――