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激熱…夏の陣!東西ロケット花火戦争

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激熱…夏の陣!東西ロケット花火戦争

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第2章 無謀こそが勝機への道筋

「今のテンションの俺なら必ず飛べる!!と・・・思いませんか?」
 樹月 刀真(きづき・とうま)はロケット花火を紐で足へ巻きつけ、発射台の上に乗る。
「いくらなんでもそれは無茶よ・・・」
 刀真の無謀な行動に漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)は深いため息をつく。
「仮に飛べたとして、大怪我するかもしれないわよ?」
「飛びます・・・飛びたいんです!アイ・キャン・フラーイ!!」
 月夜の言葉を無視し、西軍へ指差して刀真は叫ぶように言う。
「僕たちに任せて、思う存分飛ぶといいであろう」
 火術で飛んでくる花火の着弾を防いでいるブレイズ・カーマイクル(ぶれいず・かーまいくる)が爽やかな笑顔を向ける。
「おぉ・・・今日はもの凄く無駄にカッコイイですよブレイズ」
 若干余計な言葉を挟みつつ、ロージー・テレジア(ろーじー・てれじあ)が青色の瞳を輝かせる。
「はぁー・・・どうなっても知らないわよ」
 パートナーの行動を止めるのを諦めた月夜は、ガスバーナーで花火に着火する。
「仕方ないわね・・・戻ってきた時のために、傷薬でも救護班から貰ってこようかしら」
 月夜は刀真が怪我をする前提の疲れた口調で言い、救護班がいる方へ向かう。
「その程度の花火の数では、この僕は倒せないぞ。ロージー、チャージだ!」
「了解しました、SPリチャージ開始・・・」
 ロージーの胸辺りの装甲が開き、彼女の中にある機晶石が輝き出す。
 純白の光がブレイズを包み込みSPリチャージがかかる。
 チャージが完了した彼は向かってくる花火へ火術を放ち、爆炎で空が赤々と燃える。
「―・・・クソッ!まったく次から次へと撃ってくるな・・・。もう一度チャージしてくれロージー」
「今のブレイズはかなり無駄にカッコイイですね!」
 またもや余計な言葉を挟みつつロージーは、パートナーに再びSPリチャージをかける。
「フフハハハハ!これが僕が蘇りし男と呼ばれる由縁!とくと生き様を見るがいい!!」
 火術で花火に付属していた鉄棒部分が、溶解する間もなく灰と化す。



 月夜の心配をよそに、刀真は西軍側の基地付近まで到達しようとしていた。
「何だあれ・・・鳥かな?」
 光条兵器で花火を叩き落としていた椎名 真(しいな・まこと)が、空を見上げて言う。
「いや・・・小型飛空艇じゃないか?」
 西軍を守る茨の盾、九条 瀬良(くじょう・せら)も謎の飛行体を仰ぎ見る。
「違うっ、人間でございますー!!」
 ラティ・クローデル(らてぃ・くろーでる)が人差し指で示して声を上げた。
「とりあえずクシャミでもしときなさい!!」
 刀真は空からコショウを西軍の人々に向かってばら撒いていく。
「―・・・うぁあっ!クシュンッ・・・クシュンッ!」
 降りかかった胡椒の粉で真は咽るようにクシャミを繰り返す。
「何だこれ・・・ハーックシュンッ!この匂い・・・胡椒か!?」
「目が開けられないでございま・・・す・・・クシュンッ」
 まともに粉が降りかかってしまった瀬良とラティは、空気中に漂う粉を両手で振り払う。
 瀬良の目潰し防止用のゴーグルも、これの前ではまったく役に立たなかった。
「神風参じょクシュン!」
 地面に着地後した刀真も。胡椒の影響でクシャミをしてしまう。
「何だ・・・じょクシュンって・・・」
「ツッコミを入れている場合ではございません!敵襲で・・・クシュン!」
「ではサラバー、ハーッハハハ」
 花火を使って発射台から刀真が東軍基地へ飛び去っていく。
「こっ・・・こら待てぇえ!」
 瀬良は刀真を捕まえようとするが、すでに彼の姿はなかった。
「なんとか上手く潜入できたようですね・・・クシュンッ。こちらにも胡椒の影響があったのは計算外でしたが・・・」
 クシャミで声が聞こえないように、ガートルード・ハーレック(がーとるーど・はーれっく)は片手で口を押さえて言う。
「クシュンッ・・・!そうじゃのう、クシャミで気づかれたのでは洒落にならない。しかし・・・こちらの基地にもあまり隠れる場所がないようじゃけん、闇に隠れたまま襲撃の機会を窺うとするかのう」
 シルヴェスター・ウィッカー(しるう゛ぇすたー・うぃっかー)も口を手で押さえる。
「えぇ・・・ウィッカー。隙を見せた瞬間に一気に仕掛けましょう」
 2人は一先ず予備の発射台の裏側へ隠れることにした。



「あっ!さっき飛んでいった人が戻ってきましたよー」
 ひなは望遠鏡を覗き込み、花火を使って飛んで戻ってきた刀真の姿を見つける。
「いいなー・・・」
「んー?ひなにぃ、どうしたのですか?」
「自分もロケット花火で飛んでみたいです!」
「あははっそんな危険なことできるわけないじゃないですか。ばーか、ばぁか♪」
 突拍子も無いことを発言したひなに対して、アルコリアは大笑いする。
「―・・・それじゃあ・・・往きましょうか」
 笑いを止めてアルコリアは、ひなとぎゅっと抱き合い気分はロマンス飛行だった。
 アルコリアとひなは共に手を取り、発射台の上へ乗った。
 2人の足にシーマは、1年分のマヨが入った袋をつけた花火をつけてやる。
「では点火する・・・」
 花火はシュウゥウウッと煙を上げ始め、西軍側へヒュィイインと飛んでいく。
「あぁっまた何か来たでございます!」
 ラティは猛スピードで飛んでくるアルコリアとひなを指差す。
「花火に何かついているよう・・・だけど・・・!?」
「皆、避難しろぉおー!」
 真と瀬良が西軍の仲間たちを後方へ逃がす。
 着地と同時にビシャァアッと袋からマヨが飛び出し、衝撃吸収のクッションになったおかげでアルコリアとひなは無傷だったが、2人の少女は気絶してしまっていた。
「はーい救護班が通ります。道をあけてくださいー」
 ピッピッと笛を吹いてスフィーリア・フローライト(すふぃーりあ・ふろーらいと)が、負傷者が倒れている周辺から戦争の参加者を退かす。
「うわっ・・・マヨだね・・・。使い捨てビニール持ってきといてよかった」
 フタバ・グリーンフィールド(ふたば・ぐりーんふぃーるど)はタンカーの上にビニールを敷く。
 ゴム手袋をはめてスフィーリアとフタバは、彼女たちをタンカーに乗せてやる。
「ではでは出発ー!ピーポーピーポー」
 負傷者を乗せたタンカーを押して、スフィーリアとフタバは救護班がいるテントへ向かう。