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年越しとお正月にやること…エリザベート&静香

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年越しとお正月にやること…エリザベート&静香

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第9章 たまにはパートナーとのんびりと過ごすひと時

「ねえ、葵ー。早く参拝しよー。イングリットお腹ペコペコで死んじゃうー」
 お腹を空かせたイングリット・ローゼンベルグ(いんぐりっと・ろーぜんべるぐ)が眉を吊り上げて急かす。
 振袖や私服じゃなくなぜか制服を着て、公瑾が飼っている黒猫を頭に乗せていた。
「良いかい?イングリット。葵達と逸れるから屋台は参拝した後まで我慢しなさい」
 頬を膨らませてぐずる彼女を周瑜 公瑾(しゅうゆ・こうきん)は優しくなだめてやる。
 イングリットが逸れて迷子にならないように、彼女の腰に綱を巻いて左手で持つ。
「逸れてしまわないように腕を組んでも良いですか?」
 エレンディラ・ノイマン(えれんでぃら・のいまん)は人ごみに紛れないように手をつなごうと、顔を赤くして片手を出してお願いする。
「いいよ、つなごう」
 差し出された手を握り、秋月 葵(あきづき・あおい)は参拝しに向かう。
 呼び鈴を鳴らしてお賽銭を投げて参拝した後、お守りや破魔矢を売っている巫女のところへ行く。
「んーと参拝した後に破魔矢を買ったり絵馬に願い事を書いたりするんだよね〜♪」
 どれを買おうかじっくり選ぶ。
「絵馬1つと、破魔矢をちょうだい」
「これでいいか?」
「うん、ありがとう♪」
 巫女のバイトをしている垂から受け取る。
「私には厄除けのお守りを1つください」
「誰にあげるんだい?」
「―・・・ないしょです」
 エレンディラは大切そうにお守りを握り締めた。
「みんなと楽しく過ごせますようにっ・・・と・・・」
 絵馬に筆でお願い事を書いてつるす。
「はやくぅー!お腹ペコペコだよー。出店、出店!」
 空腹が限界に達したイングリットが騒ぐ。
「和菓子のお店がある!わぁ〜美味しそう・・・ねぇこれとこれ食べたい!」
「いちご大福と抹茶のロールケーキですね」
 公瑾がイングリットに買ってあげて渡すと、すぐさま大福にぱくついた。
「んー、美味しい♪うーん・・・」
 小さなサイズだったため、物足りなさそうに他の店に走っていく。
「焼き蕎麦とタコ焼きがあるよ、食べたいっ」
「じゃあ1つずつください」
 ねだる彼女に食べさせようと買う。
「やったぁ♪熱々で美味しいね〜」
 買ってもらった焼き蕎麦とタコ焼きをもくもくと食べ始めた。
「―・・・さっきこれ、買ったんですけどよかったら・・・」
「くれるの?ありがとうー」
 厄除けのお守りを葵に渡せたエレンディラは嬉しそうにする。



 凧揚げバトルで疲れきった影野 陽太(かげの・ようた)は、のんびり過ごそうと初詣に来ていた。
「まずは参拝しに行きましょう」
 エリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)と一緒に並び、呼び鈴を鳴らしてお賽銭を投げる。
「今年1年、健やかでいられますように・・・。世界が平和でありますように・・・」
 陽太は手を叩いて祈願する。
「あっちにおみくじがありますわ」
 おみくじ売り場に行くと、ライゼが巫女のバイトをしていた。
「良い運に恵まれるといいね」
 箱に手を入れて、陽太とエリシアはおみくじを引く。
「超凶ですか・・・」
「わたくしは最凶でしたわ・・・」
 陽太よりも悪いおみくじを引いてしまった。
「えーっと、あなたの思い人が大変なトラブルに巻き込まれ、あなたも巻き込まれてしまうかもしれません。って書いてありますね」
「トラブルにつっこんで大変な怪我をしてしまう可能性がありますって書いてありますわ」
「そこに御神木があるから縛っておいたほうがいいよ」
「えぇそうしますわ」
 ライゼに言われて悪いのが抜けるように、2人はおみくじを御神木に縛る。
「(わたくしがトラブルにつっこむ?そんなことしませんのに)」
 説明書きに不服を感じ、エリシアは表情をむっとさせた。
「ほら、カルメラ焼きがありますよ」
 エリシアを気づかって陽太が買ってきて渡してやる。
「美味しいですわね!」
 甘いモノを食べて怒り顔から上機嫌になる。
「綿飴がありますわ、ミカン味や青リンゴ味がありますわね・・・」
「えーっと・・・両方ください」
 どちらか決められないエリシアに2つとも買ってあげた。
「どっちも甘くて美味しいですわ」
「俺は焼き魚を・・・。焼きたては熱々でいいですね」
「あれも食べてみたい・・・ねぇ陽太、買ってくださらない?」
 にっこり笑顔でねだるエリシアに、水飴を棒につけて煎餅で挟んだ駄菓子を渡してあげる。
 エリシアは甘いモノを沢山食べてすっかり機嫌がなおった。



 12月30日の凧揚げ合戦を楽しんだ虎鶫 涼(とらつぐみ・りょう)リリィ・ブレイブ(りりぃ・ぶれいぶ)も初詣に行き参拝する。
 寺へ来る前に生徒たちが集まってお節を食べている和室に行き、運良く残っていたお雑煮と伊達巻を食べることができた。
「まあ、あれだ。元旦だから予想はついたが、かなりの人がいるな・・・」
 呼び鈴を鳴らしてお賽銭箱へお金を投げて願掛けをした。
「何だかんだで、今年1年は上手く迎えられそうだな」
「ま、まあ。あの・・・その・・・今年も、よろしくね。涼」
 お祈りをしたリリィは涼の方へ顔を向けて新年の挨拶をする。
「あぁよろしく」
 涼も挨拶を返す。
「おみくじ引きにいかないか?」
「そうね、いいくじが引けるといんだけど・・・」
 ライゼが巫女のバイトをところへ行き、おみくじを引く。
「今年1年、幸運に恵まれるといいね♪」
 いいくじが出るように巫女のライゼが祈ってくれた。
「小吉か・・・」
「さっき出てたのが最凶とかばっかりだったからいいほうだね」
 御神木に運の悪いくじが結ばれているのを見て納得した。
「リリィは引かないのか?」
「おみくじは1つでいいわよ」
「そうか・・・」
 涼と同じおみくじがいいリリィはふるふると首を左右に振る。
「お守りも買っておくか、それとこれをくれ」
「健康と学業だな」
 巫女のバイトをしている垂が涼に手渡す。
「私はそっちのを・・・」
「思い人が振り向いてくれるといいな」
 恋愛成就のお守りを渡され、リリィは顔を赤くする。
「出店で何か食べるか?」
「ちょっとだけ見てみようかしら・・・」
 涼が何を食べようか見ている隙に、彼のポケットへ恋愛成就のお守りをそっと忍ばせる。
「(気づいてくれるといいんだけど)」
 目の前にいるのになかなか思いが届かない相手を見ながら心の中で言った。