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【海を支配する水竜王】侵入者に向ける刃

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第10章 合成材料のレッドドロップはどこに

「目印をたどって来たが、なかなか合流出来ねぇな」
「あぁ・・・どこにいるんだ?」
 ラルクと涼の2人はルカルカたちと合流しようと彼女たちを探す。
「もう地下6階まで来たはすだけが・・・」
「おい・・・誰か来るぞ」
 進もうとするラルクを止めた涼は、近づいてくる靴音を警戒する。
「この辺で話し声が聞こえたはずですけど、誰もいませんね」
 声の主がどこにいるか探そうと、ザカコ・グーメル(ざかこ・ぐーめる)はキョロキョロと周囲を見回す。
「生き物の匂いがするぞ」
 光学迷彩で身を隠している強盗 ヘル(ごうとう・へる)が小さな声音で言う。
「どこですか?」
「こっちだ!」
 足音を立てないように、慎重に近づいていくとラルクと涼を見つけた。
 すぐさまルカルカたちに彼らの位置を知らせようと走る。
「彼ら来ましたよ」
「え、本当?どこにいるの!?」
 声を上げて大喜びしたルカルカはザカコに案内されてやってくる。
「2人とも!こっちよ、こっち!」
 エースからマグライトを借り、その明かりでルカルカが自分の位置を知らせた。
「よかった、やっと会えたね」
「ふぃー何とか合流できてよかったな!」
 ラルクと涼は、ようやくルカルカたちと合流した。
「どうやらレーザー光線を発射する謎の機械が潜んでいるようですから、気をつけてくださいね」
 浅葱 翡翠(あさぎ・ひすい)の注意に、ラルクと涼が頷く。
 彼らは周囲を警戒しながら道を進む。



 超感覚で殺気を感じたアリシアが、ビクッと身を震わせる。
「な・・・何かがもの凄いスピードで近づいてくるわ!」
「近くまで来ているな」
 察知したヘルは相手の位置を知ろうと鼻をひくつかせた。
「後ろだ!」
 壁を這うゴーストを見つけた。
 亡者は光学迷彩で姿を隠しているはずのザカコを狙う。
 どうやら死者の前では、ほぼ無意味らしく、鋭く尖った爪で襲いかかる。
 アルティマ・トゥーレの冷気で凍てつかせようとするが、ペタペタと天井を這い回るゴーストになかなか命中しない。
「ここで仕留めないと、他のやつも来そうです。やつは自分たちが倒します。皆さんは先に行ってください!」
 ザカコは振り向かずに片手を振る。
「分かったわ。・・・無理はしないでね」
 彼らに任せてルカルカはドロップ探しをしようと走った。
 動きを止めようとヘルは床を蹴り、ゴーストの片足に噛みつく。
 すかさずザカコが冷気を纏ったカタールの刃を標的の首元へ刺す。
「さて・・・先に行った人たちと合流しましょうか」
 ゴーストが動かなくなったのを確認したザカコとヘルは仲間たちを追うと廊下を走った。



「まだ他にもいるみたいよ!」
 禍々しい殺意を感じ取ったアリシアが仲間たちに知らせる。
「いやなやつが来たみたいだ・・・」
 心臓の裂け目から酸の煙を出しながら、迫る生物兵器を目にしたエースは遭遇したくなかったと呟いた。
 クマラは恐ろしさのあまり叫びそうになる声を飲み込む。
「どうあっても逃がさない気か」
 亡者は酸を巻き散らし、エースたちの行く手を阻もうとする。
「ここで時間を取られてしまうと、ゴースト兵が来てしまうかもしれない」
 エースはルカルカたちを先に行かせた。
 時間稼ぎしようとエースが高周波ブレードから爆炎波を放つ。
「やぱり再生するのか・・・。うぐっ」
 煙を吸わないように片手で口を塞ぐ。
「厄介な煙だねっ」
 内臓をやられないように、メシエは氷術で煙を防ごうとする。
「これだけ引き付けておけば十分だよな」
 ゴーストに向かって光術を放ち、その場を離れた。
「手に怪我を負っていますよ」
 爆炎波を放った時に、煙を浴びたエースの手の傷を、エオリアがヒールで癒してあげた。
 メシエの方はクマラがナーシングで治した。



「この部屋が最後だな」
 ラルクはドアを開けてそっと中を覗く。
「ちっ、ゴーストがいやがる!」
 彼の存在に気づいたキラーパペットが襲いかかる。
 ダーゲットの頭部を狙い、涼ショットガンのトリガーを引く。
「すばしっこいな・・・」
 天井を這う相手に銃口を向け、撃ち落とそうとする。
 そもそも動き回るゴーストに照準を合わせることが難しいのだ。
「見て、何か箱があるわ!」
 ルカルカが部屋の奥を見るとテーブルの上に菓子箱があった。
「この中に入っているのかしら」
「確認するのは後にしてここから離れよう」
「そうね」
 涼の言葉に頷いたルカルカは部屋から出る。
「ナラカに沈め!」
 軽身功の体術で壁を駆け上がり、ゴーストを床へ蹴り落として等活地獄の打撃をくらわす。
「片付いたようだし、箱の中を見てよう」
 箱の蓋をルカルカが開けようとした瞬間、またもやレーザー光線に狙われる。
「さっきのやつかっ」
 円盤型の機械に向かってカルキノスがファイアストームを放つ。
 大和たちを追ってきたやつが地下へやってきてしまったのだ。
「ちょろちょろ動き回ってムカツクぞ!」
 ターゲットを落とせない彼は悔しそうに地団駄を踏む。
「発射口を狙うんだ」
 射落とそうと淵は諸葛弩の弦を引き、発射口を掠めた。
 翡翠が星輝銃の銃弾で撃ち落とす。
「今度こそ落ち着いて開けられるわね」
 箱を開けると1粒のドロップが入っている。
「これでしょうか?」
 何が入っているのか、翡翠が覗き込む。
「レッドドロップよ。飴玉みたいね」
「見つけたようですね」
「あったのか!」
 ザカコとエースたちがやってきた。
「見つけたわよ」
「やったな!ひとまずまたどこかに隠れて体力を温存しよう」
 余計な体力を消耗しないように、エースたちは地下6階の小部屋に隠れることにした。