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【ろくりんぴっく】貫け! 君の想い!

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【ろくりんぴっく】貫け! 君の想い!

リアクション


第4章


 応援合戦は盛り上がったネ!
 ここからはまた、ミーの素晴らしい実況中継で競技を盛り上げていくヨ!
「素晴らしい……ねぇ」
 肩の上にいるちまいのの言葉は気にせず、レッツ実況ヨ!!


「……」
 カヌーの上から応援しているホイップをじーっと見つめているのは湯島 茜(ゆしま・あかね)選手。
 手にした水鉄砲を見て、ホイップを見て……何がしたいのヨ?
 見られてる事に気がついたホイップは笑顔で返してるけど。
「あそこまで移動して」
「別に構わないでありますが……」
 カヌーを漕いでいるエミリー・グラフトン(えみりー・ぐらふとん)選手に指示を出し、なんと台の近くまで寄って行ったー。
 本当に何をする気なんでしょうか?
 台の下まで来ると、なんと水鉄砲を構えたヨ。
「えっ!?」
 ホイップが気がついたときには、もう遅い。
 水鉄砲でホイップを撃っていく。
「きゃっ……やめ……」
 ホイップ避けられず、びしょびしょヨー!
 びしょ濡れになったせいで体のラインがはっきりと分かってしまっている。
「何をしてるのでありますか……」
「えっ? あー……セクハラじゃないよ! 敵を油断させるための作戦だよ!」
 慌てて言い訳をする茜選手をエミリー選手は呆れ顔で見つめている。
 本当にこれは作戦なのかー?
 楽しんでいるようにしか見えないヨ。
 おーっと、なんとコレに吸い寄せられるように近づいて来たカヌーがあるネ。
「濡れ濡れになった女性の服が透けてる!?」
 いや、それは妄想ヨ、真口 悠希(まぐち・ゆき)選手。
 体のラインは見えるけど、透けてはいない。
「悠希……お前はそれでいいのか!? そんな姿をお前の大切な人が見ていると想像してみるのだ……私も……私が負けたら兵が、民が大変な目に遭うと考えた……強き意志を持つのだ!」
 それを上杉 謙信(うえすぎ・けんしん)選手がたしなめる。
 悠希選手、一瞬動きが止まった。
 謙信選手の言葉が効いたのか!?
「今だよねっ!」
 ここで、ホイップばっかり狙っていた茜選手が水鉄砲の矛先を悠希選手の方へと向けたー!
 狙って、撃つー!
 が、悠希選手と謙信選手の体に当たり、ポイには届かない。
「はっ!! そうですよね! もし煩悩に負けている姿を見られたら……はい、頑張ります!」
 おっと、謙信選手の言葉で悠希選手がまともに戻ったようヨ。
 台の上ではホイップに近づき、そっと自分の着ていた白ランの上着を黎が掛けた。
「ホイップ殿、大丈夫か? ……もう恋人がいるのだし、家族面してをしてどうのこうのと差し出がましく口を出すのもいけないだろうと思っていたが……気になるものは仕方ないな!」
 そういうと黎は茜選手の方へと向いた。
「ホイップ殿に何してるんだー!」
「えっ!?」
 ここで黎選手、台の上から手を伸ばし、近くに来ていた茜選手の頭を持つとそのまま湖の中へと沈めたヨ!
 ついでに、正気に戻った悠希選手からの攻撃がポイに当たっている。
 これで茜選手達の敗退が決定ネ。
「頑張れましたね! ボク、今日は謙信さまとお揃いの白の巫女服で……ああっ!? 謙信さまボク達超透けちゃってます!」
「なんだと!? 皆の者……見るんじゃないぞ、絶対見るんじゃないぞっ」
 残ることは出来たが、これはこれで……。
「良い眺め」
 なんと、毒島 大佐(ぶすじま・たいさ)妨害者、ワイバーンに乗りながら、カメラを取り出し、ホイップと何故か白い巫女装束の悠希選手と謙信選手を撮っていた。
 妨害者としての役目はどうしたヨ。
「さて、良いモノ撮れたし、ちゃんと妨害者やるか」
 やる気が出たのか、大佐妨害者、ワイバーンを操り、茜選手達と悠希選手達のカヌーの間にワイバーンの火球状のファイアブレスを爆撃ー!
 凄い波が起きるー!
 この波により、悠希選手と謙信選手のカヌーも転覆!
 残念ながら、ここまでのようネ。
 前半でもあった湖の波は大佐妨害者によって作られていた事がよく分かった。
 あ、黎も支援行為とみなされ、退場ヨ。
「黎さん……ありがとう」
「嫁入り前の娘なのだから、もう少し気をつけるんだ」
「うん」
「まだまだ、ホイップ殿のことは気になってしまうようだ」
「そうやって、気にしてくれて嬉しいよ」
「まったく……」
 ホイップの頭をくしゃりとやってから黎は自分から台の下へと入って行ったネ。
 さ、次の実況へといくヨ!


 一所懸命にカヌーを漕いでいるのは神楽坂 有栖(かぐらざか・ありす)選手。
 まだどことも戦闘を繰り広げてはいないヨ。
 おっと、カヌーを漕ぐ手を止めて、何かポケットから取り出した。
 その手にあるのはハンカチヨ。
「さ、ミルフィ、汗を拭きますから……」
 まだ戦ってはいないが、こう暑くては汗も吹き出る。
 ミーはクーラーの利いた部屋での実況なので関係ないヨ。
 肩の上のボビンはかき氷食べてるしネ。
「ああ……お優しいお嬢様……わたくし、幸せですわ……」
「も〜ミルフィ、何言ってるんですか……」
 汗を拭いて貰っているのはミルフィ・ガレット(みるふぃ・がれっと)選手。
 うっとりした表情で幸せそうネ。
「しかしながら、ヴァイシャリー湖はいつ見ても素敵な景観ですわ……お嬢様と二人、カヌーに乗っての逢瀬もおつなものですわね」
「ミルフィってば……これは競技なのですから」
 ……何やらラブラブな雰囲気で抱き合い始めちゃったヨ。
「狙い、撃つ! ……ちょっと締まらない」
 競技そっちのけの有栖・ミルフィ選手のポイに攻撃を仕掛けてきたのは漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)選手ネー!
「やっと引っかかってくる人が来ましたわ」
 なんと!
 抱き合っていたミルフィ選手が樹月 刀真(きづき・とうま)選手と月夜選手のポイ目がけて撃ったー!
 抱き合ってラブラブしていただけじゃなかったのかー!
「ふふっ、名づけて『湖上に咲くふたつの白百合』作戦、成功、ですわ」
「……」
 ミルフィ選手が格好付けて言うが、有栖選手は苦笑いだー!
「やりますね」
 攻撃を金剛力を使って素早くカヌーを動かし防いだ刀真選手がアルティマ・トゥーレを発動、湖に氷塊を作りだした。
 さらに、月夜選手がポイを狙いやすいように、カヌーを動かした。
 月夜選手の猛攻!
 有栖選手、カヌーを動かしてなんとか攻撃を防ごうとするが、氷塊のせいでなかなかうまくいかない。
「助太刀しますよー!」
 ここで横からやってきたのはソア・ウェンボリス(そあ・うぇんぼりす)選手だ。
 ケイ選手が後方でボートを漕いでいる。
 どうやら今まで、湖の外周を周っていたようヨ。
 きっと、こうやって援護出来るようにヨ。
 月夜選手が撃った水鉄砲の水をケイ選手が氷術を使って、瞬時に凍らせた。
「チームの勝利の為に全力を尽くすぜ!」
 ケイ選手、決まったー!
「ありがとうございます!」
「助かりましたわ」
 有栖選手とミルフィ選手がお礼を言うと、ソア選手もケイ選手も笑顔で返した。
「そっちも援護が来たって事は、こっちにも援護が来ても卑怯じゃないですよね」
 刀真選手と月夜選手のカヌーに近づいてきたのはルース・メルヴィン(るーす・めるう゛ぃん)選手とソフィア・クロケット(そふぃあ・くろけっと)選手のカヌーだ。
「マスター、あちらに……」
 ソフィア選手は何かをルース選手に告げると、ルースが刀真選手達のカヌーにかなり近づいて、耳打ちした。
 何を話しているのか分からないヨ。
 しかし、何かを聞いて、刀真選手頷いた。
 そして、そのまま攻撃を続けていくー。
 ルース選手も月夜選手と一緒に撃ちまくっていくヨ。
 ソア選手とミルフィ選手も応戦する!
 お互いに撃ちあいが続くー!
 っと、ここでまたも刀真選手が氷塊を作り出し、行く手を防いだー!
「ああ、獲物がきた」
 なんと!
 いつの間にか、場所がだいぶ移動していたヨ!
 大佐妨害者の真下にソア選手達は誘導されていた。
 ワイバーンの攻撃が湖面を波立たせる!
 これが狙いだったようネ!
「きゃっ」
「お嬢様ーっ!」
 おっと、ここで有栖選手とミルフィ選手のカヌーが転覆。
 ついでに、カヌーが大破して戦線復帰は不可能となったヨ。
 刀真選手はカヌーを急いで漕いで、波から逃れようとするがなんと、こちらも転覆となった。
 カヌーを漕ぎながら、妨害者を良く見ていたソフィア選手はなんとか難を逃れている。
 ソア選手とケイ選手のカヌーが危ないっ!
「ホイップ、ティセラ、一緒に応援してくれ!」
 台の上ではベアがホイップとティセラに応援要請だ。
「ソアさーん! ケイさーん! 頑張ってーーっ!」
「しっかりですわー!」
 情報によりますと、ホイップとティセラはちょっと前まで戦っていたんだとか……もうすっかり元の関係のようネ。
「ゴーゴーイーシャン! 頑張れ頑張れイーシャン!」
 ベアと一緒にカナタも声を揃える。
「そうだっ!」
 その声を聞いた、ケイ選手が何やらポケットから取り出したのはボタンが付いている怪しい箱。
 ゆられながら、その箱のボタンを押したー!
 どうしたことでしょう!
 カヌーが揺れなくなっている。
 えー……映像を検証してみたところ、どうやらカヌーに小型飛空挺のエンジンが取り付けられていたようヨ。
 それで少し湖面から浮いているのネ。
 オールを使って、波から脱出。
 すると、効果も切れたようネ。
 これで生き残ったのはルース選手達とケイ選手達。
「オレ達がいれば、人数の上では逆転だよな!」
「だなぁ」
 っと、ここでケイ選手達の背後を取ったのは北斗選手とクド選手ヨ!
「しまっ……」
「撃っちゃダメですー!」
 ソア選手の叫びも空しく、北斗選手の水鉄砲によりポイが破かれた。
 ここでソア選手とケイ選手はあっけなく敗者となったネー!
「美味しいところを持っていったねぇ」
「クドの操作のおかげだな!」
「いやあ、北斗の腕もなかなか」
 お互いに褒め合っていてなんか気持ち悪いネ。
「……」
 なんかちょっと睨まれた気がするけど、気にしないヨ。
 北斗選手、何やらキョロキョロと観客席の方を見渡し……誰かを見つけて、手を振った。
 そこには心配そうに見つめる護と熱い視線を注ぐルルーゼがいるネ。
 情報によると、北斗選手は水に入ると故障してしまうようヨ。
 そりゃ、心配そうに見つめるヨ。
 ……って、それで参加して大丈夫?
「強くなりたいから良いんだよっ!」
 北斗選手から突っ込みが入ったヨー。
「水に落ちないと良いんだけど……」
「クドはお人よしですから、何かあったらちゃんと助けると思いますよ」
「うん、ありがとう」
 護を元気づけるルルーゼの横では……食べ物が沢山並んでいたー!
 並んで……?
 いや、どちらかというと積まれて山となっている。
 焼きとり、焼きそば、焼きモロコシ、フランクフルト、お好み焼き……それが山の中心にいる人物の口に吸い込まれていく。
 これは……戦いも気になるが、この食べている人物も気になるヨ。
 情報によると……月谷 要(つきたに・かなめ)という人物のようネ。
「応援してるだけだって!」
 そうは言うが、明らかに応援して声を出してるより、口の中に何かを放りこんでいる時間の方が長い。
 こうしている間にも食べ物の山がまた1つ、また1つと消えていく。
 ……大食い競技はないのヨ?
「わーかってるって!」
 情報によると自称【天御柱の食欲王】だそうネ……うん、そろそろ競技の実況に戻るヨ!