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占拠された新聞社を解放せよ!

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占拠された新聞社を解放せよ!

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 (欄外)感謝の意を込めて
 この場を借りて、特に蒼空新聞社の中核をナス人材救助に当たってくれた契約者たちに感謝の意を表明したい。
 『シャーウッドの森』空賊団のリネン・エルフト(りねん・えるふと)フェイミィ・オルトリンデ(ふぇいみぃ・おるとりんで)ヘイリー・ウェイク(へいりー・うぇいく)、シャンバラ教導団の相沢 洋(あいざわ・ひろし)乃木坂 みと(のぎさか・みと)
 彼らが居なければ、今、こうして記事を発行することはできなかっただろう。深く感謝したい。(文責:トレイシー・イエロー)


 蒼空新聞社ビル上空。
「そろそろ、私たちの出番ね。3,2,1……降りるわよ!」
 ペガサスに跨がったリネン・エルフトが、その背から飛び降りる。
 彼女に続いて、仲間が飛び降りる。もちろん、同行している記者も一緒だ。
「無事か?」
 その記者……女性だ……を抱えたまま飛び降りたのはフェイミィ・オルトリンデ。
「って、いつまでくっついてんのよ、エロ鴉!」
 その後ろ頭をはたいたのはヘイリー・ウェイクだ。
「それで、どうする?」
 いくらか気の抜けた様子で新風 燕馬(にいかぜ・えんま)が問いかける。
「僕たちは、あまり目立ちたくはないのだが……」
 その隣のザーフィア・ノイヴィント(ざーふぃあ・のいぶぃんと)が問う。リネンは少し考えてから、
「そうね。それじゃあ、ここに居て。敵がここから逃げようとするかも知れないから、押さえておかないと」
 そう告げた。燕馬とザーフィアは、文句もなく、小さく頷いた。
「では、行くであります。確か、まだデスクや社長が捕らえられているはず」
 相沢 洋が、イナンナの加護が込められた弓を構え、先をうかがう。
「支援は任せて頂きますわ」
 乃木坂 みとも同調する。リネンらは頷き、歩を進めていく。静かに、階段を下りていった。
 無言のうち、身振り手振りで交わされる会話。身を隠しながら進む彼らは、ソルジャーたちが固まっている部屋を察知した。
 前に立つリネンとフェイミィが頷き合う。そして、タイミングを合わせ……
「えいっ!」
「でりゃあ!」
 ふたりが同時に、戸を蹴り開ける。その背後から、ヘイリーと洋が弓を放つ。
「うあっ!」
「ぐっ!?」
 放たれた矢が、迎撃体勢を取ろうとしたソルジャーの手元を打ち、銃を弾く。
「下がって! アシッドミスト、行きますよ!」
 みとの手の中で杖が回る。魔力が高まり、酸の霧が噴き上がる。ソルジャーたちの呼吸器と、何よりアーマーや銃を酸が侵食していく。
「行くよ、フェイミィ!」
「言われなくても!」
 その中へ、リネンとフェイミィが剣を構え、突撃と同時になぎ払った。
 まさに電撃戦。1分も経たぬうちに、リネンたちはその部屋を制圧した。
「当たりであります。ここに人質が捕らえられています」
 奥の部屋をのぞき込み、洋が報告した。その中には、手足を縛られた男女が転がっていた。
 リネンはソルジャーたちの確保を洋とみとに任せて部屋の中へ。幸い、罠の類はないようだ。
「あ……ありがとうございます。ああ、どうなることかと……」
 髭を生やした男が言うのを、フェイミィはまるで聞こえて居ないかのように、
「男はどうでもいい! オレのかわいこちゃんはどこだ!?」
「誰があんたのよ、エロ鴉!」
「すみません、こういうやつでして……」
 名札を確認するに、その男が社長らしい。ヘイリーは謝りながら、彼の様子を確かめる。幸い、外傷はない様子だ。
「トレイシー・イエローっていうのは?」
「私です。よかった、先輩に送ったFAXが届いていたのね。あれを送ってすぐに見つかってしまったから、こんなところに閉じ込められてしまって……」
 答えたのは、背の高い、スーツ姿の女性だ。歳は30歳前後と言うところだろうか?
「おおっ、キャリアウーマンというのもなかなかそそるね♪」
 フェイミィが唇を舐めるのを、もはや何も言わずにリネンとヘイリーが止めた。
「大丈夫でありますか? 犯人たちに何かされたのでは……」
 確保を追えたのだろう、洋が顔を覗かせる。
「いいえ。自由を奪いはしたけど、危害を加えるようなことは、何も。私がFAXを送るまでは、縛られたりもしなかったんだけど」
 洋は、あっけらかんと答えるトレイシーに、なんとなく泪が言っていた「玉に瑕」の意味が分かったような気がした。
「あら? でも確か、卜部さんの後輩だって……」
「? ええ、そうですけど」
 ようやく自由になった手足を確かめ、服を直しながら答えるトレイシー。とても、その姿は泪よりも年下には見えない。
「……卜部さんって、いったい……」
 思わず、皆が漏らした。