リアクション
終章
飛行船の医務室に運ばれた美緒が意識を取り戻すと、何処か空ろな感じをしていた。
意識を乗っ取られていたのだから、仕方ないだろうと、皆は見守る。
「美緒さん、大丈夫ですか? とりあえず、これを着てください」
コートを脱がすために斬り付けられ、そのトバッチリも喰らってしまって、中の服までボロボロになってしまった美緒の姿に、ベアトリーチェは用意していた百合園女学院新制服の上着を肩にかける。
「……ありがとうございます」
美緒は他の制服も受け取りつつ、彼女に礼を告げた。
尚も落ち込む様子の美緒の頭を正悟がポンポンと撫でる。
「……」
顔を上げる彼女に笑顔を向けて、彼は彼女を快く迎え入れた。
小夜子がデジタルビデオカメラで撮影した、亜璃珠とのやり取りや、捕虜として捕まえた空賊たちの証言、更に、歩がモナミから聞いたコートを羽織った途端意識を失ったという証言などをまとめ、小夜子たちはそれをラズィーヤへと提出した。
美緒の顔で出回っている手配書を取り消してもらうためだ。
更に、陽子は美緒だけでなく、モナミの名誉回復をも願い出る。
彼女らの言葉を受け取ったラズィーヤは、可能な限り対処すると応えた。
アルティナが食料や食費を確保し、美緒も倒れた。
やるべきことの全てが終わった後、和輝はアニスへとテレパシーを送る。
彼女の駆る小型飛空艇へと飛び乗ると、操縦を交代し、【黒衣の義賊】たちは撤退を始めた。
「逃げるぞ!」
空賊たち幾人かが鎖に締め上げられることで更に疲弊したアリアの居る部屋へと入ってくる。
「ぃゃぁ……もぅ、解放、して下さい……」
嘆く彼女の言葉に聞く耳など持たず、鎖で締め上げたままの彼女を抱えると、小型艇の幾つかに分かれて乗り込み、空賊船から飛び立つ。
アリアは再び、空賊たちに攫われてしまった。
リアクションお届けします、朝緋あきらです。
お届けが遅くなりまして、申し訳ございません。
ちょっと苦戦しておりました……。
コートが燃えることで“黒髭”は完全に消えたのか。
提案されていた私掠船の話はどうなるのか。
この辺りはまた別のお話、ということで、何卒ご勘弁を……といいましても、消えてしまっていれば、私掠船も何もあったものではありませんが。
雅羅のカラミティはまだまだこれからも続くと思われます。
美緒が災難に会うのも、またあると思います。
その辺りもまた、描かせていただけたら、と……。
ではまた、機会がございましたら、お会いいたしましょう。