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友達が欲しいメデューサ

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友達が欲しいメデューサ

リアクション

「いやあぁぁぁぁぁ!!」
「おやおや?」
「悲鳴ですねぇ」
「声からして女の子みたいね」
 悲鳴が聞こえ足を止めるミーナ・リンドバーグ(みーな・りんどばーぐ)レティシア・ブルーウォーター(れてぃしあ・ぶるーうぉーたー)ミスティ・シューティス(みすてぃ・しゅーてぃす)
「なぜ悲鳴……?」
 首を傾げる涼介・フォレスト(りょうすけ・ふぉれすと)
「きっと怖いことがあったんだよ。助けてあげようよ!」
「そうだな。モンスターに襲われてるかもしれない」
「もちろん俺も行くぜ」
「そうですね。困っている人を放ってはおけません」
 レンカ・ブルーロータス(れんか・ぶるーろーたす)の訴えに頷く、グレン・アディール(ぐれん・あでぃーる)ソニア・アディール(そにあ・あでぃーる)李 ナタ(り・なた)の三人が頷く。
「こちらに近づいてきていますね……」
「じゃあ、ミーナが見てくるね!」
「あ、ミーナ様!」
 エイボン著 『エイボンの書』(えいぼんちょ・えいぼんのしょ)の言葉を聞いて一人走っていくミーナ。
「私達も行こうか。ミーナさん一人じゃ危ないだろうし」
 ミーナを追いかけて行くと、先に行ったはずのミーナが石の姿となってみんなの前に現れた。
「わわっ! ミーナちゃんが石になっちゃってる!?」
「今治すよ」
 涼介は『石化解除薬』をミーナに使用する。
「わわっ! いきなり動けなくなってびっくりしたんだよ」
「魔法だったらさすがのミーナさんも反応するはずですしぃ、外傷もなく、急に石化したってことはぁ……メデューサの仕業ですかねぇ?」
「なるほど。メデューサか……」
 レティシアの推測に周囲を警戒するグレン。
「あれか……?」
 すると物陰に隠れる影が一つありこちらの様子を伺っている。
「警戒しているようね……どうする?」
「待ってくれ」
 グレンが目を閉じる。少しして、小さく頷く。
「どうやら敵意はないようだ。ただ、何かを怖がっているようだが」
 『人の心、草の心』で近くの植物から話を聞いたグレンはメデューサに敵意がない事を知る。
「どうなさいますか? 石化の能力がありますから気をつけませんと……」
「なら、まず、ソニアとレンカに説得してもらうのはどうだ? それで逃げたりしないようにしたらグレンの『シーリングランス』で石化能力を一時的に封じ込めれば話も出来るんじゃないか?」
 ナタが思いついた提案をみんなに話す。
「そうだな。レンカなら目を閉じたままでもメデューサの元までいけるからな」
「なるほどぉ。あたしは賛成ですよぉ」
「私も賛成だ。私にはどうしようもないし……。他のみんなもそれで良いよね?」
 涼介の言葉に他のみんなが頷く。
「レンカ、いけるか?」
「レンカさん、お願いしますね」
「任せて!」
 ソニアはレンカと手を繋ぎ目を閉じる。レンカも目を閉じ、『人の心、草の心』で植物の言葉を頼りにメデューサへと近づく。
「ぅ……」
 近づいてくるソニアとレンカに警戒するメデューサ。
「こんにちわ。メデューサさん。私はソニアといいます」
 目を閉じたままニッコリ笑顔で話しかけるソニア。
「あなたが何かに怖がっているのは分かりませんが、私達はあなたに危害を加えません。安心してこちらに出て来てお話しませんか?」
「本当……?」
「もちろんですよ」
「うん! みんな良い人だよ!」
 ソニアとレンカの言葉を聞いて、メデューサは恐る恐るでてくる。
「でも、その前に皆さんとお話するために一つやっておくことがあるんですが……」
「え……? なぁに?」
 再び警戒するメデューサ。
「あなたには相手を石化させてしまう力があります」
「わたしに……?」
「えぇ、私達にはその力を一時的に封じる事ができます。そうすればあなたとゆっくりお話する事が出来ます。出来ればやらせていただけると嬉しいのですが……」
「みんなとお話……」
「うん! レンカといっぱいお話しよっ!」
「お話……うん! お話したい!」
「では、よろしいですか?」
「うん!」
 メデューサが頷いたのを見てソニアがグレンへと光術で合図を送る。
「俺の出番だな」
 グレンが目を閉じ、ソニア達の声を頼りにメデューサへと近づく。
「少し痛いかもしれませんが、我慢してくださいね」
「う、うん……!」
 ソニア達との会話で完全に警戒心を解いていたメデューサはギュッと目を閉じる。
「『シーリングランス』」
 グレンは可能な限り手加減して『シーリングランス』をメデューサに当てる。
「きゃぅ!」
「……これで大丈夫だろう」
 グレンの言葉を合図に全員がメデューサの元へと向かう。
「今、治療いたしますね」
 エイボンの書がメデューサの治療を始める。元々、たいした威力でではなかったためすぐに治療も終わる。
「あ、ありがとう……」
 メデューサがエイボンの書へと顔を向けるが、石化することはなかった。
「これぐらいお安い御用です」
 ニッコリと返すエイボンの書。
「ちゃんと成功したみたいですねぇ」
「あぁ。止む得ない事だったとはいえ……すまなかった……」
 グレンはメデューサへ謝罪した。
「ううん、おかげでみんなとお話出来るようになったから。ありがとう!」
 満面の笑みでお礼を言うメデューサ。
「作戦が成功してよかったぜ!」
「良い案でしたよ。ナタさん」
「でも、問題はこれからよね……」
「そうですねぇ……。これはあくまで一時的ですしぃ。もっとちゃんとした対策を考えないとまた被害が増えてしまいますからねぇ……」
「ねぇねぇ、メデューサさんはずっとこの遺跡にいたの?」
 みんなが対策を考えている間、ミーナがメデューサに話しかけていた。
「うん。起きたときにはここにいたの」
「へぇ、どうしてここにいたとかって分からないの?」
「うん……、全然分からない。でも、一人は寂しかったの……だから誰かとお話したかったんだけど……」
「それで、みんな石になっちゃったんだねー」
「うん……。最初はなんでか分からなかったけど、さっき教えてもらったから……」
 しゅんとなるメデューサ。
「そっかぁ……。大丈夫! ミーナ達がなんとかしてあげるよ!」
「本当……?」
「もちろん! お友達だからね♪」
「お友達……」
「そう。君が望むなら……ね」
 涼介とエイボンの書がやってきて会話へと加わる。
「こうやって知り合えたのですから。これからも仲良くしていきましょう」
「……うん!」
「よし、なら私達は友達だ。仲良くしよう。まずは握手だ」
 涼介が手を出すとメデューサはおずおずとそれを握った。 
「あっ! ミーナも! はい握手♪」
「わたくしも良いですか?」
「皆さん面白いことしてますねぇ。良かったらあたし達も良いですかぁ?」
 こうして友達の証として全員と握手したメデューサ。
「連絡はつけた。まずは、パッフェルと合流しよう」
「そうですねぇ。その前に……」
 レティシアはリボンを取りメデューサの目へとつける。
「そろそろ『シーリングランス』の効果も切れますぅ。不便かもしれませんがぁ、それで石化しないようにしておきましょうかぁ」
「悪いな。ちょっと辛抱してくれな?」
「う、うん……」
「じゃあ、レンカが手を引いてあげるね!」
「私も手伝うわね」
「ありがとう……」
 レンカとミスティに手を引かれ、みんなのもとへと向かうメデューサだった。