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Cf205―アリストレイン―

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Cf205―アリストレイン―

リアクション

 アリサはおてもとの紙入れを正方形にちぎると、何かを作る。
 作ったものを隠し、立ち上がるとアニスに近寄り、目線を合わせるようにしゃがんだ。
「こんにちわ」
 アリサの挨拶にもビクつくアニス。和輝の裾を握りこむ。
「あの時は怖い思いをさせてごめんね。大丈夫。怖いことはしないから、人差し指出してみて」
「うん……」
 おずおずと言われるまま、アニスは右手の人差指を差し出す。彼女の小さな指に更に小さな何かが乗った。
 折り鶴だった。指に乗るほどに極小の折り鶴が乗っていた。
「ふわ……! なにこれすごい!」
 警戒心を吹き飛ばして、手の中の小さな物に興味を注ぎ始めるアニス。
「あげる。仲直りの印」
 微笑むアリサに、アニスきょとんとした顔を向け、自分がプレゼントをもらったことを理解すると彼女もまた満面の笑みで破顔するのだった。
「ほんと!?」
「良かったなアニス」
 和輝がアニスの頭をなでる。彼もアリサを警戒していたが、なんだかそれが馬鹿らしくなった。スノーも。
「うん、ありがとう! おねえちゃん!」
 アニスがアリスに擦り寄る。なんだかすごい懐いている。急であるが、彼女なりにアリサに親しみを感じたのだろう。アリスの時のような無意識を操られてという事ではない。
「アニス、迷惑よ……」
 スノーがアリサにくっついて離れないアニスを叱る。
「いいんです」
 アリサは気にせずにアニスに腕を回す。
 アニスを撫でていると、駆け寄る音が聞こえてきた。迫ってくる。
「アリサいたぁ――!」
 シリウスが自動ドアから大声で登場する。アリサを追って乗り込んでいたが、セレモニー車両から乗ってしまい、探すのに手間取っていた。
「あれ? あなた駅で――」
「そんなことはいい……アリサ、お前に伝えたいことある……!」
 アリサの言葉を遮り、シリウスが伝える。
 まさに誰も口にできなかった衝撃的な一言をだ。
「アリサ、お前……列車乗り間違っているぞ!」
「……え? ええええええええええええええええええええええええええっ!?」
 彼女の口から驚嘆の叫びが放たれる。
 その時、銃声が響く。