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デスティニーランドの騒がしい一日

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デスティニーランドの騒がしい一日

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第12章 パレードに潜むもの

「ダメだ。やっぱり雅羅とは連絡がつかないよ」
 デスティニーランド内にある執事・メイド喫茶。
 想詠 夢悠(おもなが・ゆめちか)想詠 瑠兎子(おもなが・るうね)がかつてオープンさせたこの喫茶店は、休日ということもあって今日もかなり繁盛していた。
 しかしその盛況ぶりに比べ、夢悠と瑠兎子の表情は暗い。
 本部からデスティニーランド内部に強盗犯人が潜伏しているという情報を聞き、嫌な予感がして雅羅の携帯に電話をしてみた。
 しかし、出ない。
 それだけで雅羅に何かあったのかと思うのは本来は早計なのだろうが、雅羅に限ってはそんな事はない。
 多分、いや絶対に巻き込まれている。
 彼女の体質を熟知している二人はそう確信していた。
「ワタシ、ちょっと外に聞き込みしてくる」
 たまらず雅羅の目撃情報はないか調べ始めた瑠兎子。
 現在の彼女の格好は男装した執事姿。
 必死で聞きこむも、何かのイベントかと思われているようだ。
「オレも探さなきゃ……ん?」
 夢悠は、通路の端っこにぽつんと佇む着ぐるみを見つけた。
 それは、デスティニーランドの花形マスコット、マッキー。
(こんな目立たない所で何してるんだろう……?)
 そういえば、犯人はマッキーの着ぐるみを盗んでいたらしい。
 動悸を押えて、そっと近づいて声をかける。
「あの……マッキー。何してるんだ?」
「!?」
 声に驚いて飛び上がるマッキー。
(あやしい)
「あのさ、マッキー。雅羅……この子、見なかった?」
 携帯の雅羅画像を見せる夢悠。
「!?」
「知ってるのか!?」
 非常に驚いた様子のマッキーを見て夢悠は思わずマッキーを問い詰める。
「なんで知ってるんだ? キミが犯人か!?」
「雅羅がどうしたんだ!?」
「ん?」
「ん?」
 夢悠の目の前で、マッキーが首を取る。
 中にいたのは、四谷 大助(しや・だいすけ)
「なんだ……」
「ちょっとルシオンの目を盗んでここらでサボろ……いや休んでたんだ。それより、雅羅がどうしたんだ?」

「もぉ、大さんてばどこ行っちゃったんでしょー!」
 マニーの着ぐるみを着たルシオン・エトランシュ(るしおん・えとらんしゅ)はエスケープした大助を探していた。
「トイレに行ったっきり帰って来ないッス。はっ、まさか逃げた!?」
 ぷんすかと怒りながらそこらを探す。
「全くもう、子供の夢を守る大切なお仕事なのに、大さんにはそこら辺の自覚が足りないッス!」
 ルシオンが不機嫌なのは、先日の花見の際、大助に連れていってもらえなかったという私怨もあるらしい。
「大さんてば……あ」
 ちょうどそこにパレードが通り過ぎる。
 フロートに乗っているマッキーの姿がルシオンの目に入る。
「なぁんだ、大さんてばちゃんとお仕事してたんですね! あたしも頑張るですよー!」
 ルシオンは急いでフロートに乗り込んで行く。

「あっ、雅羅!?」
 フロートの上に、マッキーと一緒に手を振っている少女。
 瑠兎子はそれが彼女が探していた人物だと気づいて、慌ててフロートを追いかける。
 走りながら、夢悠の携帯に連絡する。
「もしもし、雅羅を見つけたわ……!」

 白波 理沙も、フロートの上の雅羅の姿に気づいていた。
 マッキーの姿も。
「とすると、あのマッキーが強盗犯人?」
「無理矢理引きはがすか?」
「そんな夢の世界を壊すような無粋なマネはしないわ」
「じゃあ、どうする?」
 龍堂 悠里の問いに、理沙はただにやりと笑う。
「ステージ衣装を着ておいてよかったわ。私たちもパレードに合流するわよ」
「まぁ、素敵」
 白波 舞が目を輝かせた。