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幕間:名探偵『御凪 真人』 〜残された手がかり〜

 ルーノたちが教室を真っ白に染め上げている頃。
 御凪たちは巡回をしていた。
「いないの」
 及川からは猫耳と尻尾が生えている。どうやら超感覚を用いているようだ。
 周囲に異常がないか注意深く見回していた。徳永も彼女と同じく耳と尻尾が生えていることから同じことをしているのが窺がえる。
「まあそう簡単には見つからないでしょうね」
 御凪の言うことももっともで、夜ということもあってか辺りは暗く、廊下の先まで見通すことはできない。これで光学迷彩でも使われてしまっては手も足も出ないだろう。
(まあこちらとしては匂いや音が分かればいいわけですけど)
 その点を考えれば及川や徳永のスキルは今回の件に関しては重宝する。
 ミリアやスノゥも感知系の技術を持っているようだ。
「暗視しても姿が見えないんじゃ見つけられないですよ……」
 どうやら詩亜は夜目が利くようだ。しかし少し様子がおかしい。
「無理しちゃダメなの」
「ひょっとして暗視したら余計に怖くなっちゃった?」
 どうやら当たりらしく、詩亜は休憩をすることにしたようだ。
(仲が良いからでしょうか。互いに助け合えているようですね)
 良いパーティーだなと御凪は素直に評価する。
「幽霊にしては何だかただのいたずらっぽい内容の噂ですよね」
 ふと、徳永が疑問を口にした。
「幽霊さんがいたずらするのって普通じゃないの?」
「……えっ、 幽霊さんが出るのってここなの?」
 なんで教えてくれなかったの、というように玲亜が頬を膨らませる。
「まあ十中八九だれかの悪戯でしょうね」
「ベタすぎですからねぇ〜」
 ミリアとスノゥも幽霊の存在には懐疑的な様子だ。
「前にあった事件の犯人説が濃厚でしょうね」
 御凪の言葉に及川が疑問をはさんだ。
「だとしたら何が目的なの?」
 ふむ、と御凪は考える。
 犯人を特定することや確保する方法は考えていたものの、犯人の目的については考えていなかったのだ。
「それは良い視点ですよ」
「褒められたの!」
 及川は嬉しそうに笑みを浮かべる。
 対照的に御凪は難しい顔を浮かべた。
(人前に姿は見せても驚かせるだけで危害を加えるということはありませんでしたね。隠れているのに自分の姿を見せてまでする必要のある行動となると……)
 考えがまとまると御凪は皆に振り向いて言った。
「食堂に向かってみましょう」
「どうして食堂なのですか?」
 詩亜の質問に御凪は答えた。
「隠れてもしなくてはいけないことがありますから」