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開催、第一代目パートナーバカ決定大会

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開催、第一代目パートナーバカ決定大会
開催、第一代目パートナーバカ決定大会 開催、第一代目パートナーバカ決定大会

リアクション

『どうにも、一筋縄で終わりそうにないこのアピール合戦。お次は誰が出るのでしょうか? 登場してもらいましょう』
「二人ともー! 頑張ってー! 僕、めいっぱい応援してるからー!」
「あらら、自分がアピールされるって忘れてるなぁ」
「まったく、なんでこんなあほらしい大会にでなきゃならんのだ」
 自分のパートナーに声援を送る飛鳥 桜(あすか・さくら)、その声援を受けるアルフ・グラディオス(あるふ・ぐらでぃおす)ロランアルト・カリエド(ろらんあると・かりえど)
 見たところアルフは乗り気ではないようだ。が、それをよしとするロランではない。親分的な意味で。
「ははぁん、そうかそうか。お前の想いはそんなもんかー……」
「……何?」
『きゅ、急にマイクにハウリングが!? ついでにアルフ選手の形相もハウリング以上に!』
「お前の想いは、この大会で叫ぶことすらできん、ちっぽけなもんってことや。まあええよ。代わりに俺が桜のことぎょーさんアピっとくからな!」
「……ざけんなよ、一日三食トマト野郎が。俺はこの大会に出るのが気に喰わないだけだ。桜への想いは、並じゃない」
「へぇ、そうなん。ほな、どっちがようアピールできるか……」

「勝負だ!」「勝負や!」

 その声と同時に二人から攻撃がくり出される。しかし、それは相手モブ選手にではなく、互いに互いを狙っての攻撃だ。
「ほれほれほれ! 俺の可愛いパートナーたちもだまってないで! ラファーガは撹乱、ティエラ、コルミージョは足に噛みついたれ!」
 ロランの声に【剛雁】、【賢狼】、【毒蛇】が素早く反応し、命令された通り機敏に動く。
「あの子はいつでも真っ直ぐやねん。誰かの笑顔のために、いつだって、だからこそ俺らのヒーローなんや! あとな!
 ここ重要やで? 桜は美脚やねん! そして俺は思うんです。桜がかわええんやない、かわええが、桜なんやと」
「……ああ、そうだよ。あいつは自分の笑顔だけで、周りまで笑顔にさせる。俺だってあの笑顔に救われてる!
 言動は男みたいだが、本当は甘いもん好きだったり、たまに見せる女らしいところが、可愛いんだよ!」
 ロランの攻撃を受けて、飛んでかわし、そのまま『金剛力』『爆炎波』を使用して自慢の大剣を振り落とす。
 攻撃が着弾した際に『火術』でもってその威力をさらに増大させる。
 だがロランもやられはしない。【ゴーレム】を眼前に立たせ、その攻撃を辛くも凌ぐ。凌いだはずの【ゴーレム】は見るからに重症を負っているが。
「……あのサラサラの髪だって、ずっと触れていたくなる。自分でも意味が分からないくらいに。
 笑いたい時に笑って、怒りたい時に怒って、自由奔放なのに、少し寂しがりやで……。あいつは代わる代わる、空みたいな奴だ」
 だがアルフはまだ攻撃をやめてはいなかった。止まったはずの剣先が、徐々に徐々に動く。
「トマト野郎。お前が言った桜のいいとこ、そんで俺が言った桜のいいとこ。全部ひっくるめて……!
 俺は! 桜が大好きなんだ!
 振り切った言葉と共に、大剣の剣先もまた【ゴーレム】を断ち切った。それを聞いた本人はというと。
「だ、大好きって……さすがの僕でも、いや嬉しいけど、それ以上に恥ずかしいな!
 ……でもやっぱ、なによりも嬉しいな。でも、ぼ、僕だって、言いたいんだぞ……!」
 観戦席でどうしたものかと、嬉しさでいっぱいの桜が何ともいえない赤面した笑顔でいた。無論、カメラさんには撮っていただいている。
「……言えるやないか。ちゃんと、好きやって。親分、名演技やったろー? えっへん!」
「お節介野郎が。……まあ、感謝はする」
 ちなみに対戦相手はというとすてに戦線を放棄しており、観戦席ではやし立てるギャラリーと化していた。しかし、その代わりに。
「納得致しかねます。ええそれはもう」
 無表情に似つかわしくない蛙のぬいぐるみを頭に乗っけた少女がリングに立つ。
 無表情さの後ろ側には、不機嫌が総動員している。
「先ほどから我慢して聞いていたものの、もう限界でございます。いつからこの大会は恋人への告白をする大会になったのかしら?」
「こ、くはっ……!?」
「ああ、いや、確かにちょいとルール違反かもしれんけど、まあ気軽な大会やしここは一つ穏便に……」
「気軽? あなたたちにとって、アピールしたきパートナーとはその程度の存在なのですか? その程度の軽いお相手なのでしょうか?」
「……何?」
「ちょ、アルフっ。ここは一旦落ちついてやな……」
「お前も落ち着け。無礼が過ぎるぞ、ルディア」
 乱入してしまったルディア・ローライキャネル(るでぃあ・ろーらいきゃねる)龍滅鬼 廉(りゅうめき・れん)が止めに入る。
「主様、ここだけは譲れません。……私、私の主様を目に入れても痛くはありません。ええ、やってみせてもいいですよ?」
 言ってのけるルディアの目に嘘や偽り、虚言の気配はない。本気の目だ。
「いや、お前がよかろうと俺が許可しない」
「ああ、このように大丈夫だと言っているのにも関わらず、私程度の身を案じてくださるその広きお心。
 何よりも闘技大会に一人で乱入してしまった私の元へ駆けつけてくださったこと。
 ……あなた様がたのパートナーは、未だその姿すらありませんのに」
「いや、案じるとは言うが単にお前の暴走を止められるのが、俺以外にいなかっただけだ」
 至って真顔のルディア(不機嫌のオーラは最高潮)と、ここまで捲くし立てるルディアを見て驚く廉。
「この大会のレベルに合わせて言わせて頂くのであれば……そうですね、主様はスカートが恥ずかしくて穿けないのです。
 お綺麗なおみ足を無闇やたらに晒すことを恥ずかしい、と。他にも甘い物は一口食べただけでも駄目、というのもあります」
「ル、ルディア。もういいだろう。……さすがの俺も羞恥に耐性があるわけではない」
 これまた珍しく少しだけ頬を上気させている廉。強引にルディアを連れて退場しようとする。
「二人とも、悪かった。これで謝罪しきれるものではないが、ここは一旦引いてくれると……」
「……あんたには悪い。だが、俺はそいつの言ったことがどうしても許せん。だから、白黒つけさせてもらうぞ!」
 アルフが急突進、その加速度分を大剣にのせて二人を強襲。だが。
「……悪いとは思っている。が、やるというのなら容赦はしない」
 一直線で向ってきた力を無理に受けずにその威力を殺して受けきる廉。こと戦闘となれば廉も黙ってはいない。
 戦闘の臭いを嗅ぎ取った廉。一見では変わっていないようだが、得物を握る手には力が込められていた。
「あいつは、桜は今日、たまたまここにいないだけだ。いつもは俺たちの横で、いつも笑顔でいるんだ」
「そうだそうだ! 今日は、ホントに、たまたま! 僕がアルフの隣にいなかっただけなんだぞっ!」
「そういうこと……何で桜が隣にいるんだ? あとついでに何でヤドリギが」
 いつの間にか隣に桜がいることに驚いたアルフ。おまけに自分たちや廉たちの頭上にはヤドリギが生い茂っていた。
「アルフと同じく、ムッとした親分はすかさず桜を連れてきて、『ラブアンドヘイト』でヤドリギを用意しておいたんや。……なっ?」
「なっ、じゃない! そういうことは先に言え!」
「アルフっ、さっきの、あれだけど。すっごく、すっごーく! 嬉しかった! でもね、僕だって! 君が大好きだよー!!
「ちょ、抱きつく、なとは言わないが……。ああ、なんでこうなるんだ!」
「そんなわけで解説よろしくっ!」
 『ラブアンドヘイト』の【解説】
 魔法の力でヤドリギを呼び出す。愛する相手とこのヤドリギの下で口づけをかわせば、二人の愛は一層強まる。
 あとついでに告白すると末永く爆発できる。
「なんと、あなた様にはそのような力があったのですか。ならば主様? 私たちも愛を深めるべく口づけを……」
「いや、しないが」
「いけずなところもまた素敵」
「と言いつつにじり寄ってくるのは何故だ?」
「さ、さすがに口づけは恥ずかしいなぁ!」
「と言いつつ顔を寄せるな! せ、せめて人のいない場所で……」
「うーん、男女逆転やな。まあ愛は平和や! この五人も平和で、愛に溢れてる! それでええんや!」
 依然真顔で暴走するルディアに押され気味な廉。
 爆発しろコールの中で幸せそうなアルフと桜、その後ろで大笑いするロラン。先ほどまでの緊迫はいずこへやら。
『一部スキル説明に改変が見受けられましたが、本来ヤドリギに「告白すると末永く爆発できる」等の解説はありませんのでご注意ください。
 では、どんちゃん騒ぎの五人は幸せの中に置いて、次へ参りましょう』

―――『バクハツッ! アルフ!』『ヒロカワ! サクラ!』『オヤブン! ロラン!』
―――『モウモク! ルディア!』『スカートハズカシイ! レン!』