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リアクション
「いや〜ん、何か服の中に入っちゃったみたい」
「あら沙幸さん、わたくしが取ってさしあげますわよ」
ピンクの雪に誘われて庭を歩いていた久世 沙幸(くぜ・さゆき)と藍玉 美海(あいだま・みうみ)。
雪を触ったり跳ねあげたりしてはしゃいでいた紗幸は、ふとその感覚に気付いた。
何だか、くすぐったい……っ!
もじもじしている沙幸を良い切っ掛けだとばかりに物陰へと誘う美海。
「遠慮しないでくださいな。ほらほら」
「え、そんな。着替えてくればいいだけだもん」
嫌な予感しかしない。
拒否する沙幸だが、それは拒絶とまではいかない。
そんな彼女の様子をどう取ったのか、美海は沙雪の服の隙間に手を差し入れる。
「これかしら?」
「あっ」
「違うみたいですわね。それじゃあ、ここかしら?」
何かを探るような手つきは、すぐに違うものをまさぐる手つきへと変貌していく。
「やっ、ねーさま、もう、いい……」
「何を言ってますの。まだ取れてないじゃないですか」
「だって、ねーさまったらちっとも取ってくれないんだもん……」
「そんなことありませんわよ。ほら」
「ひゃっ、ねーさまの手、いやらしい……っ」
「あらあら沙幸さん心外ですわね。『いやらしい』って言うのは……こういう事を言いますのよ」
「きゃぁあ……っ!」
本気になった美海は、今までの比ではなかった。
美海の手が本格的に沙幸を侵略し始めた。
「あ……や、だ、駄目えっ!」
「大声を出すと、誰かに気付かれてしまいますわよ」
「あぁ……うっ」
美海に耳元で囁かれ、沙幸は涙を溜めたまま唇をかみしめる。
美海の手は、更に沙幸のもっと大切な部分へと伸びていく。
(あぁ、結局こうなってしまうのね……)
美海によって上気させられた頭の片隅で、ふと沙幸はそんな冷めた事を思うのだった。
◇◇◇
「エ、エルデネスト。急に、体が妙な状態に……っ」
「ふむ。お調べいたしますので、こちらへ」
エルデネスト・ヴァッサゴー(えるでねすと・う゛ぁっさごー)に手を引かれながら、はじめての感覚にグラキエス・エンドロア(ぐらきえす・えんどろあ)は打ち震えていた。
記憶を失う前の彼なら、それが何なのかすぐ分かっただろう。
『くすぐったい』。
奇妙な感覚を前に、グラキエスはエルデネストに助けを求めたのだった。
一方エルデネストの方は。
「ふむ……特に異常はないようですが、念のためいくつか反応を調べてみましょう」
顔は真面目に作ったまま、心の中でほくそ笑む。
(ふふふ……グラキエスの体のあらゆる部分、あらゆる感覚。これらを全て、私の手を経由することで『気持ちいいもの』と認識させてしまいましょう)
「ここは? こちらは……どうですか?」
「……っ、ぁあ……っ」
エルデネストが与える刺激のひとつひとつに、グラキエスは小さく大きく反応を見せる。
「ま、待ってくれ……」
たまらず、グラキエスはエルデネストの手を取る。
「どうしました? いけませんよ、途中で止めては」
「や、だって、余計に変な感じが……」
「お嫌でしたか?」
「い、嫌と言うか……」
にやりと笑うとエルデネストは続けようとする。
しかし、やはりグラキエスは拒否する。
「違う……違うんだ」
荒い息のまま、エルデネストの手を取る。
「何が違うのでしょうか」
「さ、触り方が……いつもと、違う」
最早自分が何を言っているのか、グラキエス当人にも分からなかっただろう。
「いつものエルデネストの触り方の方が、好きだ。いつものを……くれ」
「ぐ……グラキエスっ!」
グラキエスは気付いていなかった。
それが、『誘い』であることに。
その言葉の破壊力にエルデネストは一瞬停止するが、すぐさまグラキエスに襲い掛かる。
彼の希望を叶えるために。
◇◇◇
「ぶべらっ」
「あ、ごめんね、当たっちゃった?」
「や、これくらいなんとも……ん、んんんんっ?」
紅月の投げた球が、メルキアデスに当たった。
すぐさま雪を払ったメルキアデスだが、体に感じる違和感までは払うことができなかった。
「な、なんだこりゃ?」
「大丈夫かい? 取ってあげようか」
「い、いやいやいやなんでもないっていうか寧ろ触らねぇでくれると……って!?」
メルキアデスの体についた雪を払っていた紅月の体が、ふいに接近した。
舌が、耳元に触れる。
「や、ちょ、待て待て待て!」
反射的に逃げようとするメルキアデスの体に何かが絡む。
紅月の持つ鞭だった。
「おい……」
「ああ」
「これって……」
「そう」
「いやちょっと待って本気で頼みます俺はそっちの趣味はないから!?」
「駄目だよ」
紅月の唇が、メルキアデスの首に触れる。
僅かに歯が刺さる痛み。
「あ……っ」
「俺の思惑に気付かないのが、悪いんだよ」
紅月の手が、メルキアデスが纏っている衣服に伸びる。
体をまさぐる。
「ぐ、う……っ」
先程から感じていたくすぐったさと相まって、メルキアデスの中に言い知れぬ感覚が広がっていく。
(これは……いや、いやいや俺しっかりしろ!)
逃れようと身を捩るが、体に鞭が食い込むだけ。
その反応すら楽しむ様に、紅月はゆっくりとメルキアデスの体を堪能する。
「あ、や、止め……っ!」
「じきにそんな事言えなくなるさ」
紅月に止める選択肢はない。
やる or もっとやる or はげしくやる。
彼が選んだのは、どれだったのか――
◇◇◇
「ここか? それともここがくすぐったいのか?」
「む…… べ、別に余計な助力は必要ない!」
「気にするな。困っている『友人』を助けるのは当然のことだ。それに……」
モーベットの手が、ムティルの服の中で蠢く。
雪に触れ困惑するムティルの近くに通りかかったのがモーベットだったのは、幸か不幸か。
「家を出たとはいえ、名家の者が醜態をさらすわけにはいかぬだろう」
「く……」
「たしか、庭の隅に倉庫があった筈だ」
モーベットはそこにムティルを引きずり込むと、邪魔な衣服をはぎ取る。
「……何、を……っ」
「別の感覚を刺激すれば、雪の感覚は消えるだろう?」
「モーベット、貴様、人がちょっと見直したかと思えば……っ!」
「気にするな。あくまでも『友人』を助けるためだ。それとも……ここで止めるか?」
「……っ」
無言のまま。
ムティルはモーベットの背中に手を回した。
◆◆◆
「…………」
「どしたの、コハク?」
真っ赤になって立ち尽くすコハク。
不思議に思った美羽が、目の前で手をひらひらさせるが反応はない。
「コハク、ねえコハクー?」
「……恋人たちって、みんなああいうことするんだ……」
ただそれだけ、呟いた。
ちなみにコハクが覗いたほとんどの人たちが『恋人同士』ではないのだが……
◇◇◇
「あ、ああんっ、くすぐったい……っ!」
「わ、わ、ちょっと!」
澄香もまた、雪を被ってしまった不幸な一人だった。
たまたまその場にいたレインは、目の前の少女が突然服を脱ぎ始めたので仰天する。
「や……やん……我慢できないっ」
ジャケットを、スカートを、ニーソックスは少し脱ぐのに手間取ったけど、全部。
かろうじてピンクの下着だけが、澄香を守る唯一の装備。
「な、何やってるんですか! 早く服を……中に入らないと!」
澄香から必死で目を逸らしつつ、店内を指差すレイン。
しかし、何かがおかしい。
そう、彼女は一人。
他の脱いだ方々には何かしらエロい事をする人がいたが、彼女は一人きり。
ぽむ。
「きゃっ!?」
澄香の肩に、手が置かれた。
その手は、裕輝のもの。
それは決してエロい置き方ではなく。
「全て見させてもらったでぼっち娘!」
「え、え?」
「何だか失礼な事を言ってるようだけど……」
レインからのツッコミを無視して、裕輝は続ける。
「そして『妬み隊』にようこそ! なんやかんや持たざる人を応援する部隊や!」
「えええええ、いえあの私別にそういうモノに興味は……」
「気にするんやない、ちょうど現在隊員募集中なんや!」
まあ常時募集中なんやけどな、と続けると、裕輝は澄香の手を取り引っ張っていった。
下着姿のまま。
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