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【じゃじゃ馬代王】空京クリーン大決戦!

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第五章 空京『ナンパ』観光案内はつづく

 仁科 姫月(にしな・ひめき)がガイドマイクでアナウンスしている。
  「こちらのお店が『ミス・スウェンソンのドーナツ屋』、通称『空京ミスド』です。
  オーナーはヨハンナ・スウェンソン。美味しいドーナツとコーヒーが評判です。
  ドーナツとコーヒーだけでなく……このお店がコントラクター達に人気があるのは『シャンバラならでは』と言えるでしょう」
 観光客一行は姫月らに続いて店内に入った。

  「このお店は冒険者たちの情報拠点にもなっています。冒険好きな学生たちが集まることでも有名なんですよ」

 観光客らをここでしばらく自由行動にしたガイド一行も休憩をとった。

 仁科 耀助(にしな・ようすけ)が店員に声を掛けている。店員は女性。またナンパしているのだ。
 姫月が一雫 悲哀(ひとしずく・ひあい)に言う。
  「――もう10人にはナンパしてるんじゃないの? いつもああなの?」
  「ええ12人目になりますね……『シャンバラにある全学校の生徒とお友達になる』のが耀助さんの
  ……目標らしいのです――『全女子生徒と』が正しいでしょうね……」
 店員に体よくおことわりされた耀助は、女性客をナンパしはじめた。
  「13人目、行ったわよ。あ、隣の人にも……14人目って。一雫さん、なんであんなナンパしまくる男、好きになったの?」
  「それはですね……耀助さんは優しいですし、友人想いですし……それに」
 悲哀の話しを聞いていた姫月の視界に成田 樹彦(なりた・たつひこ)の姿が入った。
 樹彦は店内にいた女性客らに話しかけられている。表情を見るとなんだか困っている様子だ。

 すると樹彦のそばに耀助がやってきて、樹彦に話しかけていた女性らと会話しはじめた。
 姫月と悲哀は耀助の言葉を息をのんで聞いていた。

  「樹彦くんにはもれなくオレがついてきます! あ、誤解しないで。オレは君たちと仲良くしたいの。
  ちがうって、樹彦くんがオレの彼氏なわけないって。樹彦くんには姫月さんっていう美人な彼女さんが。
  ほら、こっち見てる。姫月さーん!!」

 耀助が姫月と悲哀に手を振っている。樹彦は逆ナンされて困っていたようだ。
  「助けてくれたのかしら……」
 手を振りかえしながらそう言う姫月に悲哀が答える。
  「その判断は……むずかしいところですね……」