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リアクション
★ ★ ★
「えっ、この先、混浴なの!?」
上着を脱ぎかけてお猪口になった状態で、リーズ・クオルヴェル(りーず・くおるう゛ぇる)があたふたします。
「そうだが、何か問題でも?」
エクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)が、リーズ・クオルヴェルの服を上に引っぱってやりながら言いました。
「ぷふうっ〜。だって、そんなこと、聞いてなかったよ〜」
リーズ・クオルヴェルが顔を赤らめて言いました。すでに、もういっぱいいっぱいです。
「いや、だから、それが何か問題でも?」
すでにすっぽんぽん状態のエクス・シュペルティアが、腰に手を当ててどこも隠さずに再度聞き返しました。実に堂々としていますが、リーズ・クオルヴェルと大差ないちっぱいのせいで、今ひとつ迫力はありません。
「だってえ〜。まあ、唯斗になら別に見せてもよいんだけど……。でもでも、他の人もいるのよね? けど、唯斗にはどっちかといえば見てほしいって言うか……。あああああ!! なし! 今のなしー!」
リーズ・クオルヴェルが、本音がダダ漏れになってパニクりました。
「自爆しましたね。いいじゃないですか。裸と裸のおつきあい。このチャンスに、マスターと……。ぐふふふふふふ……」
プラチナム・アイゼンシルト(ぷらちなむ・あいぜんしると)が、何か悪巧みしているような表情を浮かべました。思いっきり、紫月 唯斗(しづき・ゆいと)との妄想に浸っているようです。
「とにかく、早く行かないと、唯斗を待たせてもいかんだろう」
そう言うと、エクス・シュペルティアが浴室へとむかおうとしました。
「ちょっと待ったあ! その姿で入るつもりですか?」
あわてて、プラチナム・アイゼンシルトが呼び止めます。
「だから、風呂に裸で入るのに、なんの問題があるのだと……」
いいかげんに騒ぐなと、エクス・シュペルティアが言い返しました。
「何をおっしゃる、エクス様。そんな格好で、マスターに近づこうとなど……」
「あー、ずるい! やっぱり、ここはあそこにある入浴用水着を着けないといけないんだよ」
リーズ・クオルヴェルとプラチナム・アイゼンシルトにギャアギャア言われて、仕方なくエクス・シュペルティアが水着を着けました。ただ、たっゆん用、普通用、ちっぱい用、ぺったんこ用という分類はちょっと納得がいきません。
「これでいいかな」
黒のちっぱい用ビキニを着ると、エクス・シュペルティアが確認しました。
「はい、リーズもこれを着ける」
普通水着を着たプラチナム・アイゼンシルトが、リーズ・クオルヴェルにぺったんこ用水着を差し出して言いました。
「えー、私はこっちが……」
無謀にも、たっゆん水着に手をのばすリーズ・クオルヴェルの手を、プラチナム・アイゼンシルトがペチッと叩きました。
「事故を狙っていますね。ポロリもあるよはなしです。さあ、早く着替えて行きますよ。これ以上マスターを待たせて、のぼせて倒れていたらどうす……それもありかなあ、ぐふふ……」
「はいはい、二人とも、本当に唯斗が倒れないうちに行くぞ」
そう言うと、渋々着替えたリーズ・クオルヴェルとプラチナム・アイゼンシルトを引きずるようにして、エクス・シュペルティアは浴室へと入っていきました。
★ ★ ★
「これでは、大切な被るためのパンツがないじゃないか」
普通に水着姿で浴室へと入っていったエクス・シュペルティアたちをチラリと見たPモヒカン族のスケバンが唸りました。わずかに気がつくのが遅かったようです。
「よし、これでよし」
貸し出しお風呂水着の横に、パンツーハットの入った籠をおきます。御丁寧に、横には正しいパンツの被り方の図解パンフレットも積みあげておきます。
「後は、さっきのスケたちを追いかけなければ」
さっと取り出した真新しい純白のパンツをスポッと頭のモヒカンに被ると、Pモヒカン族はすっぽんぽんになって浴室へとむかいました。
ちなみに、Pモヒカン族には女性もいます。さらに、パンツは頭に被る物であり、中身には興味がありません。なので、往来はともかく、お風呂でなら混浴だろうが、いくら見ようが見られようが平気です。
「みんなでおっきいお風呂に入るのって、なんだか楽しいよね」
「そうだねえ〜。でも、お風呂だから裸はまだしも、混浴というのはねえ」
少しして脱衣場に入ってきた伏見 さくら(ふしみ・さくら)と斎藤 ハツネ(さいとう・はつね)が、何ごともなかったかのように脱衣籠を探し始めました。一緒にやってきた天神山 清明(てんじんやま・せいめい)と天神山 保名(てんじんやま・やすな)は、それぞれに自分用の籠を見つけてすでに脱ぎ始めています。
「まあ、でも、今日はこうしてさくらちゃんや清明と一緒にお風呂に入れるから……って、清明! なんて格好してるの!?」
「え、どうかしました?」
頭にピンクのショーツを被った天神山清明が、きょとんとした顔で斎藤ハツネに聞き返しました。いちおう、身体の方は温泉用ロングバスタオルを巻いて隠しています。
「だからぁ、その格好はなぁにぃ?」
あらためて、斎藤ハツネが聞き返しました。
「これは、混浴のお風呂に入るときの正装です。あのパンフレットにそう書いてありました」
そう言って、天神山清明が、Pモヒカン族のおいていったパンフレットを指さしました。
「へえ、そうなんだ」
伏見さくらが感心します。
「ええ。未来でも、この入り方が正装となる予定です」
「なるほど。つまり、一つの文化と言うことですね」
「そこ、納得しないのぉ!」
天神山清明の言葉にうんうんとうなずく伏見さくらに、斎藤ハツネがツッコミました。正常な反応です。これでは、天神山清明はP級四天王パンツ作法番長に、伏見さくらはP級四天王パンツ文化番長になってしまうではありませんか。
「さあ、ハツネさんとさくらさんもどうぞ」
「はい」
「はいじゃないのぉ!」
天神山清明に言われるままにパンティーを被る伏見さくらに、斎藤ハツネが絶句します。
「ハツネさん?」
どうして被らないのかと、天神山清明が首をかしげました。
「ハツネはノーパンノーブラだから、パンツなんて被れないの!」
斎藤ハツネが叫びました。いつも下着など着けていないので、被れと言われても被るパンツがありません。
「うんうん。風呂はやはり裸で入るべきじゃな」
サラシと黒のTバックを脱衣籠に投げ入れ、全裸となった天神山保名がからからと笑いながら言いました。
「保名ったら、なんで全裸なの! ここは混浴なの!」
「呵々! 風呂に入るのにわしは隠すことなどないからのぉ! 基本全裸じゃ! しかしのぉ、清明、その格好は……。まあ、お主がそれでいいならわしは何も言わぬが……」
全裸にまったく動じない天神山保名ですが、さすがに天神山清明と伏見さくらの格好には疑問を呈すしかありませんでした。
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