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【後編】『大開拓祭』 ~開催期間~

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【後編】『大開拓祭』 ~開催期間~

リアクション

「参謀長、ここがねこカフェです!」
「そのようだが、ここはどう視察をすればよいのだろうな」
「えっと、猫の可愛さでしょうか?」
「それは視察するまでもなく知れ渡っていると思うが」
 妙にズレたやりとりをするのは羅 英照(ろー・いんざお)董 蓮華(ただす・れんげ)
 更にスティンガー・ホーク(すてぃんがー・ほーく)ナナ・マキャフリー(なな・まきゃふりー)ルース・マキャフリー(るーす・まきゃふりー)キルラス・ケイ(きるらす・けい)がいた。
 視察の場所は『にゃんこカフェ・ニルヴァーサルスタジオ支店』。
 その名の通り、ねこカフェである。だがただのねこカフェではない!
「ル、ルースさん。あの三毛猫すっごく可愛いですよ」
「そうですね。ですがあちらの茶トラ、ハチワレの子も捨てがたいのでは?」
「はっ! サバトラの子も、あわわ! 白猫金目銀目のあの子はにゃんでしょうか! おもちかえってよろしいのでしょうか!」
「いけないと思いますよ」
 早速猫の可愛さに心奪われたナナをルースが優しく諭していた。
「これは、猫好きならば狂ってしまうかも知れませんね」
 そんな二人の様子を見ていたスティンガーが英照と蓮華に話しかける。
「つまり、猫の可愛さを軍事転用するための視察? さすが金団長、考えることが常人とは違うわね!」
「さすがの団長もその考えには及ばないだろう。可愛さ、という曖昧な概念を具体的に作戦に生かすのは至難だろうしな」
「……そこまで真面目に検討されるとは思いませんでした」
 ちょっとしたジョークのつもりだったが至極真面目な回答につい謝ってしまうスティンガー。

「前も左も右も後ろも。ありとあらゆる平行世界でナナは猫に囲まれています」
「いえ、あなたの左にあるのはテーブルですよ」
「お猫様に魅了された日にはもはや、骨抜き……ナナと言えど、正気を保っていられるか定かではにゃいのです!」
「あはは、ナナは可愛いですね」
「か、可愛い……はっ。……取り乱したようですね」
「いや、そこからの挽回は難しいんじゃないかしら?」
「まあまあ、お二人はご夫婦ですよね? そしたらこちらどうぞ」
 厨房から現れたのはスタッフにゃんその一であるエオリア・リュケイオン(えおりあ・りゅけいおん)
 その手にはカップルや夫婦にサービスするためのハートのケーキがあった。
「これはこれは、ありがとうございます」
「いえ。うちの猫ちゃんたちを存分に可愛がってくれたので……。それにそちらのお兄さんも」
「お兄さんって、俺のことか? 別にそんなことはないが……。そうだ、今猫の里親を募集してるって聞いたんだが」
「その通り。ねこカフェと同時に猫の親は随時募集しているんだ。っと、申し送れました。俺はエース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)。ここのにゃんこオーナーだ」
 突如現れた赤髪のにゃんこオーナー・エース。
 今回はルカルカに許可をもらいにゃんこカフェの支店をニルスタ内に設けていた。
 そしてニルスタに来る人の多さも考慮して、身寄りのない猫たちの親を募集しようとしたのだ。
 現在でも続々と猫の親たちが見つかっている。
「んーもしいたらでいいんだけど、ロシアンブルーで瞳が赤い猫っているかい?」
「残念ながら、青い瞳の子なら。それにさっきその子にも親ができたんだ」
「そうか、それはよかった。ここの猫たちも可愛いし、それだけで満足だよ」
「ルースさん、ナナたちももらっていきましょうか?」
「今は視察中ですから、考えておきましょう」
 忘れがちではあるが彼らは視察中なのだ! もう一度言っておく! 彼らは、視察中なのだ!
「そうだ。ルカルカや金団長は来ないんだろうか? ニルスタの一部を貸してくれたこともろもろに改めて礼を言いたいんだが」
「とか言って、本当は金団長の華麗な猫捌きがみたいんじゃないですか?」
「金団長の猫捌き……アリね!」
 いきなり反応した蓮華の代わりにスティンガーが答える。
「金団長たちとならここの外で合流する予定だから会えると思うぜ」
「そうか。それはよかっ」

「さー! にゃんこたちを全力でもっふもふだー!」
「可愛いにゃんこさんだー!」
「こら、二人とも。あまり大きな声を出すと他のお客さんに迷惑だぞ」
 にゃんこカフェに雪崩れ込むようにして小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)高原 瀬蓮(たかはら・せれん)
 それを追うようにしてアイリス・ブルーエアリアル(あいりす・ぶるーえありある)がご来店。
 それまでの視察のぴりぴりとした空気をブレイクした。と思ったが別にぴりぴりもしていなかったので訂正しよう。
 更に和気藹々ムードが漂う。
「イエーイ! 瀬蓮ちゃんアイリスを連れて遊びに来たよー!」
「美羽ちゃんに連れられてきたよー!」
「二人の見守りにきた」
「……ご来店は嬉しいが、もう少しスマートに入ってきてくれよ」
「それは無理だよー。だって見てよこれ!」
「見てよー!」
 美羽と瀬蓮が二人して両手を広げる。当然、いるのは猫。猫。猫。
「これだけの猫がいるんだよ? そりゃ落ち着いていられないよ! あっちにいるレーザーが出るようなのつけてる人だってメロメロだよ!」
「……私のことだろうか」
「これだけ猫がいたら瀬蓮も美羽ちゃんもワクワクしちゃうよ!」
 英照の外見に軽いジャブを入れつつ瀬蓮と美羽がフルテンションで力説をする。
「お前たち、人の外見をどうこう言うのはよくないぞ。そちらの方、うちのセレンと美羽が失礼をした」
「ああ、構わない。……レーザーか。一考の余地はある」
「さ、参謀長?」
 思わぬ参謀長の食いつきに驚くスティンガーはいるものの話は進む。
「さーモッフモフだー! 瀬蓮ちゃん、存分にいこー!」
「モフモフしないと! がんばろー美羽ちゃん!」
 そう言ってもっふもふの可愛い猫ちゃんたちをターゲットした二人の美少女。
 一体誰が止められようか……。
「あらら、これじゃうちのにゃんこたちがもふもふ疲れしてしまうかもですね」
「その前に俺が疲れそうだがな」
「すまないな二人とも。客人を持て成している最中に邪魔してしまって」
「構わないさ。客人を持て成して友人を持て成さないなんてバカな話、ないだろう?」
「ありがたいよ」
「アイリスももふもふしようよー!」
「アイリスー! はーやーくー!」
「わかったわかった」
 そう言ってアイリスも二人の元へ向う。
「これは、本当にもふもふなんだな」
「でしょでしょー! 私たちあんまり猫さんをもふもふできることもないし、これを機会に一生分もふもふしてこうよ!」
「もふもふは天国だよ……。このままここに住んでしまいたいよぉ」
 にゃんこもふもふの前には二人の美少女も、一人の最強の竜騎士もなすすべなく癒されることしかできないのだ。
「さてと、あの三人はまた後でもてなすとして、すいません。おまたせし」

「ここがねこカフェね! わお! 可愛い猫ちゃんたちがいっぱいだ! カメラさんカメラさん! 私と猫一緒に撮って!」
「セレン。一言店の人に断りをいれてからにしなさい」
 終わらないどんちゃん騒ぎ。やってきたのはセレンとセレアナ。
 どうやらねこカフェのレポートにもしてきたようだ。
「あら、あそこに美少女二人と美女一人が猫と戯れているわ! 早速突撃リポートよ!」
 既にリミッターがはずれぎみのセレンが三人に突撃。
 その間セレアナがエースへ歩み寄り先手の謝罪をする。
「いきなりごめんなさい。順序がいろいろおかしいと思うけれど、このねこカフェの取材をしてもいいかしら」
「確かに順序はおかしい。が、美しい女性の頼みとあらば断れないな」
「お上手ね。……英照参謀長、このようなお見苦しい姿を申し訳ございません」
「構わない。存分にレポートを続けてくれ。ただし、私たちは映さないように頼む」
「心得ました。……さて、セレンはっと」
 セレアナが振り向いた先には美羽と瀬蓮とセレンが無我夢中でもふもふ、
 アイリスが遠慮がちにもふもふしているものすごい光景だった。
「あなたもセレンって言うの? 奇遇ね、私もセレンて呼ばれるのよ」
「そうなんだーじゃセレンセレンだね!」
「いいないいなー! じゃ私も今だけセレンでトリプルセレンで!」
「何を言っているんだお前たちは……」
 収まるどころか飽和の限界すら超えるほどに騒ぎに包まれるねこカフェ。
「ナ、ナナもあの輪に加わりたい、ですが今は視察中。くぅ」
「まあまあ、後でゆっくり飲みましょう、ね?」
「あれだけ可愛がってるのを見ると、やっぱりちょっと欲しくなるなー」
「この猫、金団長に似てるかも!」
「……猫の魔力がこれほどとは。先ほどの件、まじめに考えてみるか?」
「やめといたほうがいいですって参謀長」
 その勢いに視察団も溶け込んでいた。もはや視察の雰囲気はお星様になっていた。

「やっほーエース。どうねこカフェは……って大繁盛みたいだね」
「ふん、どうした猫たちよ。その程度か?」
 合流しにきたルカルカたちより早く既に金が華麗に猫を捌いていた。
 存外猫が好きなんじゃないか? というほどの捌きである。
「おかげさまで。金団長もよくいらっしゃいました」
「猫たちも喜んでますよ」
「この猫たちは他に比べて動きがよい。これからもそうしてくれ」
「わかりました。……ルカルカたちはこの後、どうするんだ?」
「ニルバーナ・ドリーム・ライドは乗っちゃったし、その他の主要施設も説明は済んでるし……後は宴会かな?」
「そ、その前に! 金団長、美術館にいきませんか?」
「美術か。この大陸の美術がどこまで進んでいるか、興味はあるな」
「やった!」
 手放しに喜ぶ蓮華。
「そうしたら宴会の準備はこちらでやっておきましょう。ですから、参謀長と団長、蓮華さんとルカルカで美術展に行ってきてください」
「ありがとう真一郎さん。それじゃ他のみんなもよろしくね?」
 そう言って参謀長と団長、蓮華とルカルカ以外の視察団は宴会の準備へと向った。