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【すちゃらか代王漫遊記】任侠少女とアガルタの秘密

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【すちゃらか代王漫遊記】任侠少女とアガルタの秘密

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エピローグ

「回天組がやられたのか」
「どうも御主組にはめられたようで」
 ハーリーは報告を受けて眉を寄せた。できれば回天組には美咲の後見としてついて欲しいと思っていた。会合の場を作ってくれるように頼んだのだが。
「御主悪世……」
 相手の顔を思い浮かべて、ハーリーは唇をかんだ。血の味が口いっぱいに広がる。だがいつまでもそうしているわけにはいかない。先を促す。
「それで、その後の動きは?」
「はい。それが……」


***   ***


「かんぱーい」
 美咲がコップを上げると、店内のあちこちでコップやジョッキをぶつけ合う音が聞こえた。誰もが笑っているのに、美咲も笑い返してジュースを飲んだ。
 回天組のことは後味が悪かったが、もう1つの勢力であった御主組が忽然と姿を消したため、C地区での最大勢力となった巡屋。今日は祝勝会のようなものだ。両腕の傷はまだ完治しているとは言いがたいが、後遺症もない。ただ、痕は残った。いや、残したと言うべきか。弱い自分との離別のために。
「一番、武田。歌います!」
「おう、歌え歌え」
「じゃあ私は踊ります」
「わしは飲むぞ!」
 飲んで食べて歌って踊って。
 騒ぐ構成員や協力者を眺めた美咲は、手にしたコップを見下ろした。C地区の裏を取りまとめられる地位につけた。だがここはあくまでもスタートに過ぎない。目的地はまだ遠い。手に力が入り、ジュースにうつる自身の顔が歪んだ。

 歪み、軋み、別の顔が浮かび上がる。

「待っててね、お父さん。お母さん。……あいつは……あの男は、私が必ず」

 殺すから。


【すちゃらか代王漫遊記】任侠少女とアガルタの秘密 完!