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魔女と村と音楽と

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魔女と村と音楽と

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エピローグ

「古代竜さんの爪をゲットなの!」
 遺跡都市アルディリス。その中を元気いっぱいの様子で進んでいくのは及川 翠(おいかわ・みどり)だ。なんか既に手に入れたつもりになってる感じで、とりずついてきている三人の話は聞いていない。
「……もしこのまま本当に古代竜と遭遇したら一直線に殴りかかりそうで怖いわ」
 翠のいつもどおりの様子にいつもどおりの様子で頭を抱えているのはミリア・アンドレッティ(みりあ・あんどれってぃ)
「でも、スノゥ。本当にこの先に古代竜がいたって記録があったの?」
「はい〜。5000年前の記録になりますが〜」
 ゆっくりとした調子でミリアの質問に答えるのはスノゥ・ホワイトノート(すのぅ・ほわいとのーと)
「アルディリス近辺に巣を作っていたのは確かみたいです」
 スノゥの言葉を補足するのは徳永 瑠璃(とくなが・るり)
「……けど本当に翠さん大丈夫ですか?」
 ミリアの予想が当たりそうで怖いと瑠璃は言う。
「……なんかこの先で見つからない方がいいような気がしてきたわ」
「素直に頷きそうになるのが問題ですね〜」
 ミリアの後ろ向き発言にスノゥも同意する。
「あはは……苦労して見つけた情報ですから困りますけど……」
「ま、見つかるまで同じこと繰り返すだけだしね。これ一発で当たればいいけど」
 見つけて起こる結果が結局同じなのだろうからとミリア。……半分以上といいうか完全にあきらめている。
「? 行き止まりなの!」
 遺跡の奥。既に遺跡の都市部から離れたところ。完全な鍾乳洞へと戻っているその場所で壁を前に翠がそう言う。
「おかしいですね〜。この先にちょうど巣があったはずなんですが〜」
「破壊なの?」
「翠、あんた少しは落ち着いて……」
「破壊しましょう翠さん」
「……瑠璃」
 ブルータスお前もかとミリアは泣きたくなる。落ち着いた雰囲気からたまに忘れるが瑠璃も翠同様好奇心は負けず劣らず強いのだ。
「……ま、そうね。この先にあったって言うなら壊しましょうか」
 どうせこうなってしまっては止められないのだ。やるなら一気にやってしまおうとミリアは同意する。……今から村への報告書のことが頭痛い。
「「「「せーのっ!」」」」
 手持ちの攻撃方法で壁を一気に破壊する4人。そして……
「古代竜さん発見なの!」
 その奥にいた巨大な龍めがけてハンマー振りかぶり遠慮無く叩きつける翠。
「うぅ……痛いの」
 叩きつけたハンマーからの反動に手を傷めた様子の翠。軽傷だがすぐにハンマーは振れそうにない。
『……人間か。我に何か用か?』
 脳に直接響く声。それが古代竜からのものであると理解するのにそう時間はかからなかった。
「えっと……あなたの爪がほしいんです。もらえないでしょうか」
 勇気を出してミリアは前に出て古代竜にそう伝える。
『ふむ……5000年間爪を切っていないせいか伸びすぎているな。伸びすぎた部分で良ければやってもよい』
「本当ですか!?」
 瑠璃の嬉しそうな言葉。翠もスノゥも同様の表情で、ミリアも安堵の表情をする。
『だが条件がある。
 一つ。我は5000年ほど何も食っておらぬ。我を満足する食べ物を料理を用意せよ
 一つ。我は5000年ほど身動きをしておらぬ。我の運動不足を解消する手伝いをせよ
 この二つだけで良い。我を満足させれば爪くらいやろう』
(……5000年何も食べないで生き続けるってどんなバケモノよ)
 規格外過ぎるとミリアは思う。どれくらい規格外かというと翠の猪突猛進っぷりくらいには規格外だ。
「えーっと……応援呼んできてもいいでしょうか?」
 自分たちだけではこの規格外を満足させるのは無理そうだと思ったミリアはそう古代竜に聞く。
『構わぬ。待つのには慣れておる』
 古代竜の言葉。それを受けてミリアは翠の首根っこを捕まえる。
「てわけで一旦引くわよ。……答えは聞かないからね」
 問答無用で翠を連れて古代竜の前から去っていくミリア達。
「次こそは古代竜さんを攻略なの〜!!」
 遺跡都市に翠の声が響くのだった。




「アーデルハイト様。はじめまして。この村の村長を務めていますミナホ・リリィです。……ニルミナスはいかがでしたでしょうか?」
 ミナホの部屋。執務室であるそこでアーデルハイトを出迎えたミナホはそう聞く。
「はじめまして……? もしかして美奈穂、おまえ地球にいた頃の記憶がないのかの?」
「地球……? あの、すみません何の話か……」
「すまぬの。わからないのならいいのじゃ」
 ミナホの様子にアーデルハイトは母親の記憶とともに地球での記憶を失ったのだろうと当たりをつける。
(……待て。失っているのは本当に母親の記憶だけなのかの?)
 この村に来てからここまで、アーデルハイトはあの男に会っていない。……いないはずがないのだ。美奈穂がここにいて。あの男はミナスと美奈穂のことを本当に愛していたのだから。だからこそ、自分もあの男とミナスの中を認めたのだから。
「……のぅ、美奈穂。おまえの父親は今どこにいるのかの?」
「父……親……? 私にそんな人がいるんですか?」
 あぁ……とアーデルハイトは思う。これは残酷すぎる。悲しすぎる。涙すら出ない。怒りもわかない。
「それよりアーデルハイトさん。視察の結果なんですが……」
「……すまぬの。まだ結果は出ておらぬのじゃ」
「まだ……ですか?」
 不思議そうなミナホにアーデルハイトは言う。
「私はまだこの村の村長のことを知らぬからの。美奈穂……ミナホのことを教えてくれぬか。ミナホが村長としてふさわしいと私に認めさせれば音楽学校の件、太鼓判を押そう」
「認めさせる……うーん、具体的にはどうすれば?」
 予想外の展開にミナホは頭を悩ませる。
「なんでも良い。ミナホの好きな方法で私を認めさせてくれぬか。……期間は一週間。それまでに頼むのじゃ」
 そう言ってアーデルハイトはミナホの部屋を出て行く。

 そして部屋を出て扉を閉めたところで

「そうか……ミナスは死んだんじゃな」

 実感とともに一筋の涙がアーデルハイトの頬を流れた



担当マスターより

▼担当マスター

河上 誤停

▼マスターコメント

というわけでリアクション「魔女と村と音楽と」をお送りさせていただきました。いかがでしたでしょうか
音楽学校の校舎ですが、完成は次の問題発生シナリオが終わった頃になると思います。問題発生シナリオ後は生徒や教師集めを始める予定です。

次回は問題発生シナリオになります。内容はエピローグにある通り古代竜を満足させることとアーデルハイトにミナホのことを認めさせることです。
次回のシナリオガイド時にちょっとした事件(?)が起こりますのでそれを解決に導きアーデルハイトに認めさせるという流れ(に持っていく)になるとおもいます。
今回のご参加ありがとうございました。