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学生たちの休日17+

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    ★    ★    ★

 観艦式が始まる。
 先導艦として、まず土佐が現れた。後継艦としての加賀がそれに随伴する。
 上空を、湊川亮一の手配したコームラントの小隊が、編隊を組んで通過していった。赤青緑のスモークが、艦の進行方向に合わせて空に引かれていく。
 土佐のブリッジでは、湊川亮一、高嶋梓などのブリッジ要員が並び、甲板では、アルバート・ハウゼンやソフィア・グロリアを初めとする甲板要員が舷側に一列に並んでセントアンドリューにいるグロリアーナ・ライザ・ブーリン・テューダーやエステル・シャンフロウにむかって登舷礼をしていた。同様に、加賀のブリッジや舷側にも、大田川龍一や天城千歳が乗組員と共に並んでいる。

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 土佐と加賀が通過すると、次に表れたのはマサチューセッツと伊勢であった。
「ジェニファー、どうしたの? 浮かない顔して。らしくないよ」
 マサチューセッツのブリッジで独自に空軍式の敬礼をしていたキャロライン・エルヴィラ・ハンターが、すぐ隣で軽くうつむいているトーマス・ジェファーソン(とーます・じぇふぁーそん)に声をかけた。
「いえ、ね……。空京の戦いで、テメレーアを守りきれなかったことが、悔やまれてならないの。所属艦としては、部隊の旗艦を守れないのは不名誉な事実よ。あのとき、守れていれば、テメレーアも今頃はドック入りなんてせずに、ここで共に舳先を並べていられたはずだったのに……。もう少し、この艦の竣工が早ければよかったのだけれど……」
「でも、今は、このマサチューセッツがあるじゃないか。前と同じであるはずがないよ。まだまだこの子が暴れる機会はあるよ、きっと」
「ええ。まだ、この艦が最後に一花咲かせる機会くらいは残っていると思いたいわよね」
 励ますように言うキャロライン・エルヴィラ・ハンターに、トーマス・ジェファーソンがつぶやくように言った。

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「ふふふふふ、せいぜい、今の幸せを噛みしめているがいいであります。最後の幸せを……」
 ブリッジ脇で敬礼しながらも、葛城吹雪が含みのある笑いを浮かべていた。
「絶対、何か悪いことを考えているわよね……」
 そうはさせないわよと、コルセア・レキシントン(こるせあ・れきしんとん)が目を光らせた。
「えーっと、準備、準備?」
 伊勢の艦内では、イングラハム・カニンガム(いんぐらはむ・かにんがむ)がビッグバンブラストの準備を密かに進めていた。

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 マサチューセッツと伊勢が通過すると、最後にアガメムノンと翠花がやってきた。
 せっかくのお披露目なのだからと、鬼龍貴仁が翠花の甲板にシュヴェルツェ シュヴェルトゲシュヴィントヒルフェを、マルコキアスIIと共に飾ってもらっている。誰も搭乗はしていないので、完全に飾りなのが、何とも言えないところだが。
 イコンの足許がところどころ畑になっていて、大きなスイカがなっているのがちょっとシュールだ。
 いくつかのスイカは、サラダや、レガートさんや、ミニいこにゃたちや、うさてぃー軍団に囓られていたりする。

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「に、二番艦がスイカ畑に……」
 さすがに、それを見たデュランドール・ロンバスがちょっと絶句する。

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「あー、本物のフリングホルニうさー」
 セントアンドリューと並ぶフリングホルニを見て、ティー・ティーが言った。
「それに比べて……」
「何を言ってるにゃ! 翠花も本物ですにゃー!」
 なんとなく翠花を偽物扱いされたのを察して、イコナ・ユア・クックブックがティー・ティーにつかみかかっていった。
「こらこら!」
 慌てて、源鉄心が間に割って入る。
「あーっ、さっさと通りすぎてしまうでござる」
 スープ・ストーン(すーぷ・すとーん)が、心なし翠花のスピードを上げた。

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 観艦式が無事に終わり、ローザマリア・クライツァールは、続くホレーショ・ネルソンとマサラ・アッサムの結婚式の準備に追われた。
 そのどさくさに紛れて、伊勢がゆっくりと艦列を離れていく。
「ふふふふ、リア充許すまじ。イングラハム、ビッグバンブラストの準備を急ぐであります」
「了解したのだ」
 またもや非リア充エターナル解放同盟だかなんだか知らないが、幸せなカップルに対してのテロをもくろんでいるらしい葛城吹雪であった。
「そうそう、罪を重ねさせるものですか」
 さっさと小型飛行艇に飛び乗って伊勢を離れるると、コルセア・レキシントンがどこかへと連絡を入れた。