First Previous |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
Next Last
リアクション
「今日で世界を終わらせたりしない! 最後まで、希望を捨てないよ。 皆、こんなところで終わりたくないはずだよ!」
「ミシェルが抗うなら、俺も共に戦おう」
影月 銀(かげつき・しろがね)はミシェル・ジェレシード(みしぇる・じぇれしーど)の言葉を受けて、彼女の隣に立つ。
だが、銀には分かっていた。
どう足掻こうが無駄だということが。
それでも、恐れてはいなかった。
何故なら、全てが終わってしまうから。
大切な人に、ミシェルに置いて逝かれて苦しむことはないから。
(……それでも、矛盾しているかもしれないけれども、ミシェルには俺より少しでも長く生きて欲しい)
もしも自分が先に死んでしまったら、ミシェルは悲しむだろう。
それでも、生きていてほしい。
ふっと、今なら、かつて自分を置いて逝った存在の気持ちが分かるような気がした。
それでも、願わくば――
この先も世界が続き、ミシェルが平和に生きられんことを――
「……はっ」
そして銀は目覚めた。
隣を確認すると、ミシェルが寝息を立てている。
「……馬鹿か、俺は」
ミシェルと共に生きると決めた矢先に見た、友に死ぬ夢に思わず自嘲する。
それでも、人はいつ死ぬか分からない。
「そうだな、だから……今日くらいは、ミシェルの望みを聞いてやろう」
「……はっ」
世界が終わる夢から目覚めたミシェルは、慌ててタンスの中を確認する。
その中には、銀に着せたいと思ってとっておいた可愛らしいドレスや下着の数々。
うん。
ミシェルは思う。
今日は暇だし、家で銀のファッションショーをしよう。
このままタンスに入れておいても意味ないもんね。
「お願いすれば、一着くらいは着てくれるよね!」
First Previous |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
Next Last