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リアクション
■□■7■□■ パッフェル
そのころ、パーティー会場で、パッフェルは。
「つーかまえたー」
桐生 円(きりゅう・まどか)にいきなり後ろから抱きつかれていた。
「円……」
パッフェルは口元をほころばせる。
「ねぇ、ねぇ、パッフェル。楽しんでる?」
「ええ」
「ボクも一日ロイヤルガード券買っちゃった、パッフェルはもうお相手決めちゃった?」
「いえ……」
ふと、先ほどの告白が思い出されたが、パッフェルは首を振った。
「二人っきりになれないかな? 伝えたいことがあるんだ」
円の表情が真剣そうなものにかわると、パッフェルはうなずいて、一緒に甲板に出た。
★☆★
夜のヴァイシャリー湖を見ながら、円はパッフェルを見上げて言う。
「伝えたいこと……。
それは、ボクの気持ちです。
ボクは、パッフェルの事が好きだよ」
円の色素の薄い、赤い瞳を、パッフェルは見つめる。
ヴァイシャリー湖の波打つ静かな音が聞こえる。
「友達とか親友とかそういうのじゃなくて、
恋愛対称として好きなんだ。
女のボクが言うと可笑しいのしれないけど。
好きなんだから仕方がないと思う、迷惑だったらごめん」
「……可笑しくないわ」
パッフェルは首を振る。
円は、パッフェルの様子を見て、安心したように少し笑うと続けた。
「クールそうに見えて素直で可愛い所とか、
料理とか裁縫が得意で女の子らしい所とか。
サバゲーが好きで、実行するためにいろんな無理する、
わがままで子どもっぽい所とかもすごく好き」
自分の鼓動が耳の近くで聞こえる。
そう感じながら、円は続ける。
「それに、こんなボクのために泣いてくれるキミが大好きだよ」
「円……」
パッフェルは、両手で円の手を包み込む。
「答えが欲しい訳じゃなくて、
ただ、ボクの気持ちを知っていて欲しかった。
知っての通りね、ボクの評価って良くないし」
「そんなことない」
「いや、そうだよ。
こんなのを友人に持っているって思われている事もあると思う。
パッフェルに恥ずかしい思いはさせたくないし
頑張る、頑張るから。
ボクの気持ちを知っていてほしいんだ」
「……それは私も同じよ。
十二星華でありながら、シャンバラにたてついた罪人だもの。
でも、確かにあなたの気持ち、受け取ったわ」
「うん、うれしいよ、パッフェル」
そのまましばらくの間、ヴァイシャリー湖を見ながら佇んでいた2人だが。
「寒くなってきたね。
お相手いないみたいなら、
百合園寮のボクの部屋に来ない?
エアガンとかゲームとか、お菓子とかもいろいろあるよ?」
「ええ、一緒に行くわ」
円の誘いを受け入れて、パッフェルは一緒に夜の街に消えた。
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