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新ジェイダス杯第1回

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新ジェイダス杯第1回

リアクション

 
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『続いては、エントリーナンバー7、フォン・ユンツト著 『無銘祭祀書』(ゆんつとちょ・むめいさいししょ)選手です。おおっと、これは白いスク水です。何かのコスプレでしょうか?』
「ちが〜う!!」
 シャレード・ムーンの紹介に、両肩に黒猫のクトゥグァとイタクァを乗せたフォン・ユンツト著『無銘祭祀書』が思いっきり否定をする。
 フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』が乗るのは、水陸両用の空飛ぶ箒エンテである。後部には巨大扇風機がつけられている。
「黒子ちゃんも一緒に魔法少女チームで参加すればよかったのに〜」
 とっても残念そうに秋月葵がつぶやいた。
「コスプレまでは許容したが、魔法少女だけはお断りだ!」
 全力を込めて、フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』が否定する。
「シャンバラ最強の者としては、一人で充分。この大会も制す!」
『おおっと、フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』選手、凄い意気込みです。コスプレ水着が白く輝いて見えます』
「違う!!」
 スクリーンのシャレード・ムーンにむかって、フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』が拳を突きあげた。その拍子に、使い魔の猫たちが驚いて逃げだす。猫たちとしては、水中に潜るような乗り物には絶対に乗りたくないというところだろう。
「ああ、ちょっと待て。さ、寒いの〜」
 フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』は、あわてて猫たちを追いかけていった。
 
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『続いては、エントリーナンバー8、カレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)選手です』
「伝説は、ボクが作るよ〜!」
 空飛ぶ箒パロットを高々と掲げて、カレン・クレスティアが意気をあげた。
「ふふふ、これで優勝しちゃったら。本当にボクも伝説だよね。ずっと語り継がれていったりしたら、どうしよう。ふふふふふ……」
 始まる前から、捕らぬタヌキの何とやらのカレン・クレスティアであった。
 
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『続いては、エントリーナンバー9、ジュレール・リーヴェンディ(じゅれーる・りーべんでぃ)選手です』
「まったく、カレンは何を考えているのだ。やはり、我がちゃんと見守らなければダメであるな」
 愛機の小型飛空艇ヴォルケーノのそばで、ジュレール・リーヴェンディがやれやれと肩をすくめた。
 いつも通り、カレン・クレスティアのお目付役としての大会参加である。
 
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『続いて、エントリーナンバー10、佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)選手です。ぴかぴか光る箒を掲げてアピールです。なんでも、今日は屋台を休んできたそうです』
「あわてず騒がず、勝負できるところでは頑張って勝負に出ます」
『――おーおー、気合い入ってるねえ、頑張ってくれよー』
 突然、精神感応で話しかけられて、佐々木弥十郎がちょっと顔を顰めた。佐々木 八雲(ささき・やくも)だ。どうやら、観客席のどこかで見ているらしい。
「――TPOと言う言葉を知っていますかあ」
『――いーじゃんか。陰からこうやって応援してるぜ』
「――くれぐれも、邪魔だけはしないでくださいねえ」
『――おーらい、おーらい』
 軽い調子で請け合う佐々木八雲に、佐々木弥十郎は小さく溜め息をついた。
「はあ、落ち着け、落ち着けえ。この程度で動揺しては、勝てるものも勝てなくなりますからねえ。平常心です」
 セルフモニタリングで自身を落ち着かせながら、佐々木弥十郎はスタートを待った。
 
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『続いては、エントリーナンバー11、クリストファー・モーガン(くりすとふぁー・もーがん)選手とクリスティー・モーガン(くりすてぃー・もーがん)選手です。乗り物はパラミタイルカ。まさに、パラミタイルカに乗った少年たちです』
「はっ、もう映ってる!? 理事長、俺の優勝を理事長に献上いたします!」
 クリスティー・モーガンの服に撥水性のスプレーをかけていたクリスティー・モーガンが、あわててカメラにむかって宣言した。
 二人とも、背中には飛行翼と疑似翼をつけていて、見た目はちょっとした少年天使のようだ。
「さすが、薔薇の学舎所属の選手たちは意気込みが違います。好成績に期待しましょう」
 
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『続いては、エントリーナンバー12、こちらも薔薇の学舎所属、皆川 陽(みなかわ・よう)選手とテディ・アルタヴィスタ(てでぃ・あるたう゛ぃすた)選手です』
 スクリーンに映ったジェイダス・観世院にむかって、ぺこりと皆川陽が最敬礼する。ちょっとお辞儀が長すぎて、テディ・アルタヴィスタが、ほらと軽く皆川陽の背中をつついた。
「ジェイダス理事長に、優勝と共にボクの精一杯の愛を。理事長の寵愛をいただけますように、頑張ります」
『皆川陽選手、なんだか初々しいです。青春しています。ちょっとBL入っていますが……』
『何か問題でも?』
『いえ、すみません。何も問題ありません。御立派です』
 予期せぬジェイダス・観世院の突っ込みを受けて、シャレード・ムーンが焦って紹介を続けた。
『乗り物は、空飛ぶ箒パロットです。二人の息の合った疾走を期待します』
 
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『続いては、エントリーナンバー13、エリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)選手です。本家セーラー服を着て、パラミタイルカでレースに挑みます。それにしても、パラミタイルカ大人気です』
「おねえちゃんがんばれ〜」
「お任せですわ。陽太に、わたくしの実力を再認識させて見せますわ」
 ウォーレン・シュトロンから奪い取ったメガホンを使ったノーン・クリスタリアからの声援に、エリシア・ボックが自信満々で答えた。
 
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『続いて、エントリーナンバー14、小型飛空艇で参加の緋山 政敏(ひやま・まさとし)選手とカチェア・ニムロッド(かちぇあ・にむろっど)選手です』
「シャレさ〜ん、優勝したらデートしてください!」
 開口一番、緋山政敏が叫ぶ。
「今のなし、なしで〜す!」
 あわててカチェア・ニムロッドが緋山政敏をつついて前言撤回させた。