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冥界急行ナラカエクスプレス(第3回/全3回)

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冥界急行ナラカエクスプレス(第3回/全3回)
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幕間劇 世界樹と三つの武器



 その頃、菩提樹前駅に桐生 ひな(きりゅう・ひな)が佇んでいた。
 前回は二人でピクニックをしていたのだが、友達がラスボス(抽選)に負けてしまったため、今回は一人である。
 あえて線路を逆走していたところ、世界樹の話が聞けたので、急遽進路を変更してまた戻ってきた。
「初めて来た時は軽くスルーしてしまったのですが、こうして見ると立派ですねー」
 天を覆うほどに巨大だ。
 広げた枝葉を風にそよそよとなびかせ、静かにひなを見下ろしているかのようだった。
 当然ながら周囲には、人っ子一人いない。
「気軽に近付いても大丈夫なのでしょうかー? 管理人さんや大家さん的な人とか居たりするのですかね〜?」
 小首を傾げつつ……、とりあえず登ってみることにした。
 絡んだ太い幹は複雑な凹凸をなし、まるで城塞のようにも思える。てっぺんを目指して登っていくが、いけどもいけども、てっぺんはひたすら遠い。これ以上登ると今日中に降りられなくなりそうなので、三合目ぐらいで諦めた。
 しかしここからでも眺めは……、まあ、見渡す限り湿原だが、見晴らしは素晴らしい。
 ずっと遠くのほうに見える都市はおそらくアブディールだろう。
「お昼にしましょー」
 ちょこんと座り、残ったマヨおにぎりをパクパク食べる。
 生温い風と湿原から登る腐敗臭、お世辞にもお弁当に適した環境とは言えないが、これもまた貴重な経験である。
「一緒に来る人がいればもっと楽しかったですね〜」
 お腹がふくれるとお土産に何かないかと探し始めた。
 すると……。
「……ん? なんですか、これはー?」
 枝の隙間に挟まる石版を見つけた。
 元は下にあったもののようだが、樹の成長に巻き込まれてここまで押し上げられてきたのだろう。
「何か絵が描かれてますねー。なんでしょう、見た感じ完全に武器の類いのような気がしますけどっ??」
 石版には三つの武器が描かれていた。一つは、三つ又の槍。一つは、円月輪……いわゆるチャクラムと言う奴だ。そして、最後に二つとはちょっと毛色の違う武器、リボルバー拳銃だ。
「バランスの悪い組み合わせですねー」
 それにしても……、とひなは思う。
 このリボルバー拳銃を、ほんの最近どこかで見たことがあるような気がするのだが、気のせいだろうか。