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第四師団 コンロン出兵篇(第2回)

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第四師団 コンロン出兵篇(第2回)

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「ン。何か、胸騒ぎがきたぞ。まぁ、ほんのちょっとうずいただけだけども。僕まで……ジーベック隊長のが移ったのかな。ンン、おかしいぞ。ジーベック隊長、の名を言った瞬間に、胸騒ぎが。あ、まただ。……隊長の身に……何か……?」
 【ノイエ・シュテルン】隊長のクレーメックから兵を預かり、雲海の補給線の確保を続行していた、ゴットリープ・フリンガー(ごっとりーぷ・ふりんがー)
「胸騒ぎ、かぁ」半信半疑ではあったのだが、信頼する隊長に従い、哨戒と警備にあたっている。いずれにしても、補給ルートの安定が重要課題であることには疑いの余地はないため、任務そのものには一抹の不満も感じてはいない。それに……
「それに。何と言っても、小型とはいえ、飛空艇の艦長を務められるわけだしね。うふふ、艦長だよ、艦長!」
「童貞君」
「な、何だって。ぼ、僕はその……まあ確かにその……そう……だけど」
「ふふ。ほら、うつむいてなんかいないで。しゃきっとしなさいよ!」
「ああ……って何、その格好」
「格好って。何よ今更」
 セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)。ノイエ・シュテルンの協力者なのだが……メタリックブルーのトライアングルビキニのみを着用。その上にロングコートを羽織るだけの姿で、煽情的な美しい肢体を惜しげもなく晒している。ちょっと強気な感じの陽気な美人のお姉さん。(『教導団女子プロファイル』No.20132より)
「その……そんな格好で甲板歩かれたら……」
「何。何か困りごとでも?」
 艦の兵たちが、さすがのノイエ・シュテルンの兵でさえ、彼女らの色気に悩殺されっぱなしのようである。彼女ら――そうこのセレンフィリティのパートナーのセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)もまた……黒いロングコートの下にホルターネックタイプのメタリックレオタード(シルヴァーカラー)を着用。本当は恋人(セレン)に無理矢理揃いのビキニを身に付けされそうになるが、抵抗してレオタードに妥協させた、という伝説がある。(『教導団女子プロファイル』No.20133より)
「セレン、何してるの」
「ああセレアナ。ごめんごめん、ちょっと童貞君に色々教えてあげてて。んっ」
 セレンフィリティはそう言って恋人のセレアナに絡み付いていく。
「そうだったの。む……セレン、こんなことしてたら、ほら」
「……」鼻血を惜しみなく流す、ゴットリープ。
「そ、その。困ります。兵たちが……」
「兵の士気? 上がりっぱなしじゃないの」
 見れば、セレンとセレアナの周りにはやけに警備兵が多く、且つ、士気も異様に高いのであった。
「いえ、士気が高いのはいいけど、その、こんな一箇所に兵が集まっていては、警備にならないんで……あの……」
「童貞君」セレンフィリティはゴットリープが説明する間も恋人といちゃいちゃしていたが、ゴットリープのところにふいっとやってきて、
「あたしがイイ提案をしてあ・げ・る。いい、童貞君、雲海の魔物は駆逐された訳ではないし、ヒクーロ軍閥が領空侵犯事件で関係の悪化した教導団に対して雲賊を使って補給線に圧力を掛けてくる可能性があると、私はみるわ。まずクィクモに来る途中でそれを陥落させ、こっちの拠点とした砦に立ち寄り、守備隊から周辺空域の情勢に変化が起きてないか? を確認。教導団本校から送られてくる補給船団の予想針路と照らし合わせ、船団が待ち伏せを受ける可能性の高い空域を割り出し、重点的な哨戒活動を行うべし。わかった?」
 畳み掛けるように言い終えた。
「は、はぁであります……」
 レナ・ブランド(れな・ぶらんど)天津 幻舟(あまつ・げんしゅう)綾小路 麗夢(あやのこうじ・れむ)らが楽しそうにその様子を覗いている。
「フリンガーったら、あんなに鼻血をたらしちゃって、嬉しそうなこと」「ほっほ。セレン殿にはもう一押ししてもらって、さすればフリンガーも……」「脱・童貞できるかもねっ!! セレンさんっ。襲っちゃえーー」
 ビーッビーッ。
 そのとき艦の警報が鳴った。
「ああっ。警備兵が手薄な反対側が狙われたよ。セレンさん、責任取ってしっかり、守ってきてくださいよー……!」
「わかったわ」セレンフィリティはジャキンと銃を構えた。「あたしが責任を取って童貞君の……奪ってあげるわ」
「えっ、え……」
 セレンフィリティはそう囁いて、セレアナと共に艦の反対側へ駆けていった。
「ふ、ふむ。ヒクーロ軍閥が雲賊を使って……あり得る話だ」
 ゴットリープは一度頭を冷静にしたが、またすぐに鼻血が出てきた。
 ともあれ、今、襲撃してきたのは、どこの所属とも取れない魔物の集団であった。人型の魔物もいるが、この手の集団が雲海に幾らでも徘徊しており、雲賊の手の者なのかヒクーロの手の者なのかわからない。
 セレンフィリティはアサルトカービンを討ち果たすと、砲手の兵をどけて自ら砲台に着いた。セレアナに照準手を任せ、自らは砲身が焼け付くまでガンガン撃ちまくる
「チッ! どうせなら、こんな豆鉄砲じゃなくて、もっと大口径のヤツをぶっ放したいもんだね!!」
 魔物の群れを全て撃ち落とすと、二人は甲板にデッキチェアを出して、ビキニで寝そべって日光浴をしながら艦内の男共の視線を愉しむのであった。
「童貞君。オイル塗ってちょうだい」