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フューチャー・ファインダーズ(第3回/全3回)

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フューチャー・ファインダーズ(第3回/全3回)

リアクション


【6】


「目標施設及び敵戦艦確認。グランガクインのデータリンク完了。さぁ魂剛よ、今一度、戦場を駆けるのだ!」
 鬼鎧・魂剛の目が翡翠色の光を放った。
 メインパイロットは紫月 唯斗(しづき・ゆいと)、サブパイロットはエクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)
 グランガクインと戦艦群の間に入った魂剛は、グランガクインを狙う砲弾の雨に果敢に飛び込んだ。
「見せてやろう。天上天下古今無双、剛の魂を宿す鬼の力!!
 唯斗は高らかに叫んだ。
 乱れ飛ぶ砲弾を縦横無尽に斬り払いながら、戦艦との距離を縮める。
 その時、
『唯斗さん……』
 どこからかテレパシーが来た。
「その声は……ヴェルリア? ゴスホークか?」
 魂剛が退いた次の瞬間、ゴスホークが戦艦の真下に現れた。
 メインパイロットは柊真司、サブをヴェルリア・アルカトルが務める。
レーザービット展開!
 ゴスホークから射出された無線砲台は、群れをなす肉食獣のように一隻の戦艦を囲んで一斉にビームを放った。閃光に射抜かれた敵艦から炎が噴きあがった。
「敵艦底部2番及び3番機関砲、左側面6番までの航空魚雷発射装置の沈黙を確認」
 ヴェルリアは素早く敵情報を解析する。
「了解。このまま左側に張り付き攻撃を維持する」
 プラズマライフルで怒濤の弾幕を張った。
「ヴェルリア!」
「はい!」
 ヴェルリアは再び唯斗にテレパシーを送った。
「……心得た!」
 弾幕を隠れ蓑に魂剛は急接近。
 エクスはグランガクインのデータバンクから、このタイプの戦艦の情報を引っぱり出し、動力部の位置を確かめる。
「唯斗、そこだ!」
斬っ!!
 神武刀・布都御魂は水を斬るようにするりと装甲を断ち、そのまま動力部まで一刀両断。
 敵艦は爆散し、空に大輪の花を咲かせた。

 フィーニクス・NX/Fは低空飛行で都市の谷間を飛んでいた。
 メインパイロットはジヴァ・アカーシ(じう゛ぁ・あかーし)、サブはイーリャ・アカーシだ。
 ワイルドウィーゼル(対地掃討)のセオリー通り、レーダーを避けて低空から侵入する。
「ジヴァ、調子はどう?」
 先日まで記憶障害の影響で幼児退行してしまったジヴァだが、深紅の翼フィーニクスを取り戻したことで蘇った。
「あたしも、フィーニクスももう大丈夫よ、ママ」
 思いがけない言葉に、イーリャは驚いた。
「な、なによ、その顔! いいでしょ、なんて呼んでも!」
 はにかむジヴァに、イーリャの表情もほころんだ。
「……ありがとう」
「え?」
「私のやることは終わったわ、ここからはあなたが主役よ。あなたのやりたいようにやってみなさい」
「最初っから、あたしはあたしのやりたいようにしか出来ないわよ!」
 フィーニクスは降り注ぐ砲弾をバレルロールで曲芸のように回避した。
 爆発の火の粉を被らないぎりぎりの紙一重。ジヴァには見える。迫る砲弾の描く軌道が、ゆっくりと。
「対イコン戦は久しぶり? 忘れてるようなら思い出させてあげるわ、イコンとイコン乗りの力をね!」
 モニターに映し出された高射砲塔群を一斉にロックオン。真っ赤にマーカーが変わった瞬間、ジヴァはトリガーを引いた。
「吹き飛べ!!」
 ミサイルが火を吹き、高射砲塔から爆炎が上がった。
インファント・ユニット射出! 目標、敵高射砲塔!」
 続けてユニットを展開。残る砲塔からの反撃をくぐり抜け、ビームで四方から塔を射抜いた。
「ジヴァ、標的の停止を確認したわ」
「了解、ママ。それじゃ次は上空の敵艦隊よ」
 都市をなめるように飛び、フィーニクスは高度を上げた。
「気を付けて! 敵の機関砲がこちらを捉えたわ!」
「く……っ!!」
 その時、アガートラームが攻撃の射線上に割って入った。
 砲撃を正面から受けて、アガートラームは黒煙に包まれた。
「アガートラーム!」
 イーリャは息を飲んだ。
「コームラントとしての戦い方じゃないけれど、こいつの装甲の硬さは第二世代機には負けやしない……!」
 アガートラームは健在だった。
「損傷は軽微です」
「流石、長谷川さんの整備だね。今のを食らっても機器に影響なしだ」
 メインパイロットは榊 朝斗(さかき・あさと)、サブはアイビス・エメラルド(あいびす・えめらるど)だ。
『……まったく無茶するわね。パイロット科じゃ砲弾に体当たりしろって教わってるの?』
 モニターに映ったイーリャは肩をすくめた。
「勝算があればね」
 朝斗は笑った。
「みんな、攻撃力と速度重視だけど、防御重視の機体もやるもんさ」
 アガートラームは加速した。
 フィーニクスはインファント・ユニットを展開して、アガートラームを援護する。
 アガートラームのアサルトライフルと、ユニットの波状攻撃で敵の砲台、攻撃力を削ぎ落とす。
「今だ!」
 アガートラームは間合いを詰めた。
 こちらを向くよりも速く、ドージェの鉄拳で主砲に一撃。
 ドゴォ!! と鼓膜を震わす破砕音。折れ曲がって天を仰いだ大砲から、火の手が上がった。
「敵主砲、完全に沈黙しました」
 アイビスは言った。
「よし!」
 朝斗はモニターの向こうのジヴァに小さく敬礼。
 ジヴァもそれに気付いて、敬礼を返した。