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イケメン☆サマーパーティ

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イケメン☆サマーパーティ

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薔薇の学舎に集う人々

「エリオ、親善露店を担当して頂ける方々は到着しているかい?」
 会場の設営を頑張る生徒たちを横目に眺めながら、書類に目を通す。各学校に使いを出して返事が返ってきたのは、イルミンスール魔法学校、百合園女学院、シャンバラ教導団、そして我が薔薇の学舎。2校ほど返事がなかったのは残念に思うが、これを機に少しでも交流が持てれば良い活性化に繋がるだろうと笑みを浮かべる。
「ああ、みんな参加してくれるようだな。さっき蒼空学園の奴らともやっと連絡が取れたし、パラ実の奴らはライブで盛り上げてくれるみたいだ。……ま、あっちはあっちでメンバー集めてたウチの学生の企画に乗っただけで、親善なんて関係ねぇって言われたよ」
「ふむ……一般公募した企画書からも楽しそうな雰囲気が見てとれる」
 パートナーのエリオ・アルファイ(えりお・あるふぁい)の報告を聞いて、ルドルフは口元をほころばせた。
 自分の企画した祭りに、多くの人が集まってくれた。それだけでも喜ばしいことなのに、このパラミタ全土の学園が集結してくれたことに感謝したかった。
「この案は成功だな、ルドルフ」
「ふ……今夜こそ、美しい物が見られそうだ」
 そうして、薔薇の学舎へは続々と参加者が集まってきた。
 出店をするしないに関わらず、入り口では真っ白な薔薇が配られるが、それは堅い蕾のまま。
 よくお祭りで配られるウチワのようなオマケだと思い蔑ろにしようとする者もいたが、警備スタッフを担当する親衛隊から必ず胸に挿すように注意を促されてしまった。
 一体何故? その疑問を抱えたままメイン広場へ向かうと、颯爽と現われたルドルフがステージ上に上がる。
「夏は薔薇が一休みしてしまい、美しい姿が見られなくなってしまう時期。皆の力で、今日1日を美しいものにしてほしい」
 その挨拶をきっかけにファンファーレが鳴り響いた。待ちに待ったお祭りが開始されたのだ!
 次々に持ち場につく生徒もいれば、マナ・ファクトリ(まな・ふぁくとり)ベア・ヘルロット(べあ・へるろっと)のように行き先を相談する者もいて、開始から盛り上がっている様子。
「よーっし! マナ、まずは食べ物屋だ! 何から食べる?」
「もう、ベアが無理矢理ご飯抜くからお腹ペコペコだよぉ……」
 そんな微笑ましい光景の影では、いんすます ぽに夫(いんすます・ぽにお)が良からぬことを考えているようで……。
「ぐ……パラミタ全校が集まっていて、何故同士がいないんだ!? イケメンなんて、イケメンなんて……っ!」
 しかし、そんな影を見逃さない光がいることもまた事実。紫恩院 左京(しおんいん・さきょう)はそっとぽに夫をマークすることにした。
「ふん、俺の目の前で悪事を働こうとするなんて勇気のあるヤツだぜ!」
 そうして立ち去った姿を見送りつつ、黒崎 天音(くろさき・あまね)は不思議そうに周囲を見渡していると、ブルーズ・アッシュワース(ぶるーず・あっしゅわーす)が手を差伸べた。
「天音、面白そうなものがあるようだぞ」
「こういうのは、あまり体験した事がないから楽しみ方がわからないな。君に任せよう」
 任せてくれと言わんばかりの得意顔で天音の手を無言で引きパーティ会場へと連れ出してくれる。
 だが、楽しみにしているパートナーの様子を見てほんの少しのイタズラ心でも芽生えたのか、わざとらしく口の端を上げてもう1度見渡した。
「これだけ可愛い子たちがいると、楽しめそうだな? ほら、あの子とか」
「……そう、ああいうのが好みなのか?」
 心持ち歩くスピードが早くなって、わかりやすい態度をするブルーズに笑いがこみ上げるも、努めて冷静に返事を返す。
「ブルーズ……まさか君、ヤキモチでも妬いているのかい?」
「馬鹿を言え、そんな訳があるか」
「ふーん。そう」
 これは少し、真面目な彼をからかい過ぎたかもしれない。
 これ以上機嫌を損ねさせないように、天音はブルーズの頬に軽くキスをしてやった。
「天音……っ!」
 不意のそれに驚いて振り返れば、満面の笑みの天音。
「パーティには、サプライズがつきものだろう?」
 薔薇の学舎らしい光景に周囲も大して驚きはしなかったものの、だからと言って人前での行為に恥ずかしくなるブルーズだった。