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リアクション
「エルデの街でボクとちゅーした、可愛いエメネアはどこにいっちゃったのさ?」
エメネアを支援しようという学生たちが現れる中、それでも説得しようと試みる学生は居る。
カレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)もその1人で、エメネアへと声をかけた。
「あたしはあたしです。何処へも行っていませんーー!!」
ふざけているのかと一瞥し、エメネアはカレンへと鞭を振るった。
その鞭がカレンへと届く前に、本棚の陰へと隠れていたカレンのパートナー、ジュレール・リーヴェンディ(じゅれーる・りーべんでぃ)が加速ブースターを使って、エメネアへと近付いてくる。
少々手荒な真似ではあるけれど、鞭を持つ手首を掴んだ。
「何をするんですかー!?」
掴まれた手首に、力を入れられるまでの一瞬の間に、エメネアはその手を振り払う。
打たれるハズであったカレンに、鞭による一撃は降りてこなかったけれど、パートナーと協力して、鞭を奪う予定も狂ってしまった。
「ジュレ、いいよ。下がってて」
それでもめげずにカレンはエメネアを説得しようと、去年の出来事を語る。
そのようなことに興味はないとでも言わんばかりにエメネアは、カレンへと鞭を振るう。
けれど、エメネアとカレンの間に、ロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)が入り込んだ。
「ロザリンドさん!?」
「大丈夫です、私は頑丈ですから……説得、続けてください」
最上階へと上がってきて、エメネアを目にしたときは彼女の変わりぶりを信じられず、暫し呆然としてしまっていたロザリンド。
誘拐されたから気になっていたのに、と。
説得しようとするカレンの様子に、我に返ったロザリンドは、少しでも説得する者たちの役に立てればと、盾役を買って出たのだ。
続けざまに振るわれる鞭をただ受け止めて。
時には腕に巻きつけるか掴むかしようと試みるけれど、エメネアも十二星華の1人だということか。簡単には、掴ませてくれはしない。
「お前誰だよ!? エメネアちゃん!?」
騒ぎを聞きつけ、最上階へと上がって来た騎沙良 詩穂(きさら・しほ)は、エメネアの姿を見るなり、驚きの声を上げた。
詩穂の中でのエメネアと言えば、アク取りお玉とネギとスーパーの袋――バーゲン帰りの姿が彼女なのだ。詩穂で例えるならば、伊達メガネとフリフリ衣装とお菓子を取ってしまえば、ただの美少女なのだと。
「どんな姿であれ、あたしはあたしですと、言っているでしょう!?」
驚いたままの詩穂にも容赦なくエメネアの鞭は降り注ぐ。
それを受け止めたのは、大太刀を構えた橘 恭司(たちばな・きょうじ)だ。
「貴方も邪魔をするのですか!?」
「ええ、何があったか知りませんけれど、君はそのようなものを振るうような子ではなかったはずです」
睨んでくるエメネアに、そう言葉を返した恭司は、彼女を頭から足先まで見つめた。彼女の変心ぶりから、何かされたのだろうというのは想像がつく。外的異常があれば、それを取り除けば、元に戻るのではないだろうか、と。
ただ、鞭くらいしか、異常はないように思われる。もとより鞭は手放させようと思っていたところだ。
捕まえて、まずは鞭を手から離そうと恭司は踏み込んでいくけれど、エメネアは素早く鞭を振るって、近付くことを拒否する。
「エメネアさん、思い出してください! 星槍異変のとき、大変だったけれど、私たち、ともだちですから、協力し合ったでしょう?」
フィル・アルジェント(ふぃる・あるじぇんと)とパートナーのセラ・スアレス(せら・すあれす)が、前へと歩み寄る。
「ともだち……?」
不意に、エメネアが攻撃の手を止めた。
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