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【学校紹介】イルミンスール大歓迎会!

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【学校紹介】イルミンスール大歓迎会!

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 第1章 「イルミンは先輩も個性的だな!」

■□■1■□■「先輩方っ!! 誰か助けて下さいませ!!」

イルミンスールの森入口、つまり、ザンスカールの森出口では、
「新入生のテント」が設置された。

「ようこそ。ここは しんにゅうせいテントです。
ここでは たんさくの おてつだいを しています
くわしくは おくの唯乃さんに きいてくださいね」
赤羽 美央(あかばね・みお)は、「最初の町の人」みたいな口調で言う。

「しんにゅうせい の テント へ ようこそ!!
 ……というわけで、
 こちら、お品書きよ」
四方天 唯乃(しほうてん・ゆいの)は、
リーフレットをフィリップ達新入生達に配布する。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

・無料回復(ヒール、SPリチャージ)

・イルミンスールの森簡易地図

・SPタブレット販売(1粒5G)

・ザンスカール観光案内

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


「あ、そうそう。
 下宿屋【しゅねゑしゅてるん】も絶賛入居者募集中よ♪」
唯乃はこっそり宣伝することも忘れない。
イルミン新入生のヴェント・デラモルテ(う゛ぇんと・だらもるて)は美央にたずねる。
「あのー、この地図のことなんだけど……」
「ぶきは そうびしていないと つかえませんよ」
神田 弥千代(かんだ・やちよ)も、聞く。
「校長はやっぱりすごい魔法で妨害してきたりするのか!?」
「スキルも そうびしていないと つかえませんよ」
美央は、「最初の町の人ごっこ」を継続する。
「は、はあー……」
「イルミンは先輩も個性的だな!」
ヴェントと弥千代は顔を見合わせる。
「あはは、美央ちゃんったら。
 でも、実は今回、私も『SPリチャージ』を装備してなかったの!
 注意してね」
唯乃は、お品書きの「・無料回復(ヒール、SPリチャージ)」の、
「SPリチャージ」に棒線を引く。
「アクション とうこうじの スキルが 
 アクションはんていに はんえいされます」
美央はなぜか皆がいるのとは別方向を向いて言うのであった。
「じゃあ、がんばってね!
 勝てない勝負はするもんじゃないわよ!」
唯乃は新入生達を送り出す。

★☆★


ヴェント・デラモルテ(う゛ぇんと・だらもるて)は、
皆と一緒にエリザベートを追っていたが、いつのまにかはぐれてしまった。
「あーあー。
 どうしようかなあ。
 まあ、なんとかなるよねー。
 今日も寝不足いい天気」
ヴェントはあくびをしながら言う。
その横を、先ほど新入生テントで一緒になった神田 弥千代(かんだ・やちよ)が、
すごい勢いで走って行った。
「まてー!
 エリザベート校長!」
「ふふーん、捕まらないですぅ」
エリザベートは、弥千代の目の前でテレポートして消えてしまった。
「くっ、逃げられたか……」
弥千代は拳を握りしめる。

そこに、誰かの絶叫が響いてきた。
「先輩方っ!! 誰か助けて下さいませ!!」
ナル・ジェーリエブ(なる・じぇーりえぶ)であった。
ナルもエリザベートを追いかけていたが、
超絶ドジのため、森の中で迷子になってしまったのである。
「おお、大丈夫か〜?
 まあ、イルミンではこれが日常茶飯事なんで、
 ちょっとずつ慣れてってや♪」
日下部 社(くさかべ・やしろ)は、ナルを助け起こす。
ヴェントと弥千代も、人の声を聞いて駆けつけてきた。
「うう、ありがとうございます……」
ちょっと涙目になりながら、ナルは言う。
そこにやってきた百合園生のロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)は、
ふと思っていた疑問をつぶやく。
「それにしても。
魔法使いといいますと薄暗い書庫で古代の魔法書を読んだり。
魔法陣描いてゴニョゴニョ言ってたり。
街中で大きな魔法使ったり。
夜中に生物実験したり。
そのような事ばかりだと思っていたのですが。
普段どういった事をしているのですか?」
「うーん、おおむねあっとると言えばあっとるなー。
 そうや、夏休みを無事迎える為にも、
先輩の俺が校長捕獲の攻略法を教えてしんぜよう!
校長は、蒼空学園のデコ校長こと、
御神楽 環菜(みかぐら・かんな)をライバル視してんねん。
『夏休み中止とか、そんな子どもっぽいワガママ言うてたら、
カンナに負けてしまうで』とかなんとか言えば、
きっと目の色変えてすっ飛んでくるで」
「なるほど、そうだったのですかー」
ロザリンドは、社の適当なんだか的確なんだかわからない発言に、
うんうん、とうなずく。
「そうなんですか……。
 で、でも、そうなったらちょっと怖いかもしれません……」
ナルは言う。
「イルミンってすごいところだなあ」
フィリップは苦笑しつつ言う。
「って、イルミンはそんな怪しい学校でも、
 校長もそこまで単純でもありませんよ」
歌涙 奏(かなみだ・そう)は、皆にツッコミを入れる。
「そうなのですかー?」
ロザリンドは首をかしげる。
「はい、きっと、たぶん、おそらく」
奏はちょっと自信が揺らぎつつも言う。
「とにかく、皆で手分けして、協力しながら森の中を探しましょう。
 エリザベート校長を捕まえる作戦を考えましょう」
この状況を楽しみつつも、夏休み死守のため、
奏は気合を入れている。
「おーい、向こうにエリザベート校長がいたぞー!」
「あっちに向かって飛んで行ったよ!」
小型飛空艇に二人乗りした椎堂 紗月(しどう・さつき)と、
パートナーの守護天使有栖川 凪沙(ありすがわ・なぎさ)が、
上空から一行に声をかける。
「俺達が上空から道とかのサポートするから、
 皆はエリザベート校長を追いかけてくれ!」
「怪我してる人がいたら言ってね。
 ヒールやナーシングで応急手当するよー」
紗月と凪沙は、こうして新入生のサポートをするつもりであった。
「皆で夏休み勝ち取ろうぜ!」
紗月は言う。
「ありがとうございます。
 さっそく追いかけましょう!」
奏は上空の二人に答え、一行は駆け出した。