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魔の理科実験室の怪を探れ!!

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魔の理科実験室の怪を探れ!!

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第四章 

 午後の休み時間、本郷とエースの2人は、不審者の目撃談については女生徒らは、また聞きばかりというパターンだったために、その角度からは尾ひれのついたうわさしか手に入らないと判断し、行方不明になったという生徒についての調査に切り替えていた。
「さあ、お茶をもっといかがですか? こちらのプチ・フールもなかなかのお味ですよ」
美味しいお菓子とお茶で、すっかり気分をよくした女生徒達からの情報収集は容易だった。行方不明の子がいるという噂は聞いたけれど、自分のクラスにはそういう子はいない、という件については、どの学年、クラスの生徒の話しも一致していた。
「どうもありがとう。親切への感謝の気持ちとして、君にこれを」
真紅の香りのよいバラを、一本ずつ、答えてくれた生徒たちに丁寧にエースは手渡していった。聞き込みがひと段落し、2人は椅子に沈み込んだ。本郷が言う。
「このバラは素晴らしい。品種はパパ・メイアンか……聞きしに勝る素晴らしい芳香ですね」
「いやいや、君のお茶と、お菓子も素晴らしいものだよ」
「……しかし、行方不明だとされていた生徒が居るという噂だったが、どのクラスにも実際は該当者者が居ない、というのは大きな手がかりですね」
「たまたま同時期に数日停学処分になった生徒はいたようだがね」
「ああ、アレーナ・ヴェルデとか言う子ですね」
「なんだか、ちょっと変わった子だとか」
「そう言っていましたね」

 「実際に怪しい影を見たんだね?」
目撃者だという生徒らにたどり着いた北都は興奮した声で言った。
「うん。校舎からだったけど、すごく薄暗い、オレンジっぽいゆらゆらする明かりが点いててさ。窓辺に角のある、変な人影が見えたんだ」
「遠目からだったんだね?」
「ああ、近くじゃないから影っぽい感じで見えたよ。ぞっとしたね。なんだか妙な悲鳴っぽいみたいなものも聞こえたとかってお前言ってたよな?俺はそこまで近いとこにいなかったから」
「ああ、聞いた聞いた。なんか吼えてるみたいな声だったぜ。ウオーとか、アオー、みたいな」
もう一人の生徒が言った。
「昼間人目を忍ぶような人影が……って言う話は?」
リオンが聞く。
「いや〜、どうかなあ。俺らは話したけど、他はどうだったか」
「アレーナ何とかってやつが、行方不明がどうのとか言ってなかったっけ?」
もう一人の学生が言った。
「そうか、どうもありがとう。おかげで助かったよ」
2人が立ち去ったあと、リオンがのほほんとした口調で言った。
「……聞いただけだと、本当にホラーっぽいですねえ」
「でも、実際に人影っぽいってことは、誰かいたんだろうね」
「人かどうか……どうなんでしょうねぇ?」

 佑一とミシェルは、あまり話したくなさそうな実験室管理担当の教員から、何とか情報を引き出していた。佑一は教員に問いかけた。
「あの実験室で、薬の管理はどうだったんでしょう?それと実験ミスが多かったとかいう話はどうですか?」
ミシェルの質問に、教員は驚いたような顔を向けた。
「爆発があったのは、棚の傍じゃなかったし、鍵はきちんとかかっていた。薬剤も減っていなかったよ。その辺はきちんと記録にあるはずだ。ミスが特に多いなんて話しは聞いたことがないよ」
「その、実験室で事故を起こしたって言うのは授業中だったんですか?」
ミシェルがたずねる。
「いや、放課後だ。勝手に設備を使った上、床と天井が破損したので厳重注意の上、停学処分になったはずだ」
「その生徒の名前は?」
「アレーナ・ヴェルデだ」