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秋のスイーツ+ラブレッスン

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秋のスイーツ+ラブレッスン

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「う……ん、ここはどこだぁ?」
 眠い目を擦って体を起こそうとした柳玄 氷藍(りゅうげん・ひょうらん)はお腹に冷たい感触に違和感を覚えた。次に背中にも、ひやりと冷たい床で寝てしまっている感覚が伝わってくる。
「お目覚めですか? 氷藍様」
秋葉 つかさ(あきば・つかさ)が氷藍の顔を覗き混んだ。いきなりつかさの顔が視界に飛び込んできてびっくりしてしまう。
起き上がろうにも、四枝が固定されていて動けない。冷たい床だと思ったものは、ステンレス製の料理台だった。
「氷藍様は放課後、お疲れで寝てしまったので運ばせて頂きました。お菓子教室なるものに参加しているのですが、何故お菓子の器が見つからず。もう少しで飾り終わりますよ」
 冷たいと感じていたものは、ホイップクリームとそれに乗せられたフルーツのせいだ。
「俺が貼り付けにされてちゃ俺が食べれないじゃないかぁ……」
 つかさはヒプノシスで氷藍を眠らせて、起きないことをいいことにケーキの土台に使わせていただいた。美しいお菓子は土台がちゃんとしてないとだめなのです、などと言って、眠っている間も身をよじる氷藍を見てにやにやと楽しみながら女体盛りを楽しんでいた。
「ここには葡萄がいいですね。……ほら、できあがりましたよ」
 つかさは胸の先端に葡萄を乗せた。パシャッと携帯電話で写真を取ると、氷藍に見せる。上半身から太腿にかけて、たっぷりクリームとフルーツで綺麗に飾られていた。
「どうするつもりだよ、これで芸術展とかに出すつもりじゃあ……」
「ふふ、それもいいですね。けど、これは私と氷藍様だけのお楽しみですからね。」
 ぺろりとつかさは肩に乗ったクリームを舐めとる。氷藍はくすぐったい舌の感触に、「うぁっ……」と思わず声を漏らしてしまった。
「可愛い声を出して……、やっぱりお菓子の器には最適でしたね。ほら、氷藍様も」
 つかさはクリームとフルーツをスプーンですくい取ると、口元へ持っていって食べさせてやった。
「甘い! もう少しくれー」
「口移しでもよろしいですよ?」
 甘いものが食べられれば氷藍のご機嫌は取り戻せるようだ。妖艶な雰囲気を醸し出しながら、二人だけの空気は片付けを促す合図まで続いた。

 周りの男子諸君は目のやり場に困って大変だ。見たら見たでパートナーに怒られる始末。それなのに視界に入ってくるわ声は自然と耳に入るわ。
 主催側は、直接他の参加者に危害を与えてるわけでもなし……と見逃した。



「今日こそ美味しいお菓子をごちそうしますわ!」
 ウイシア・レイニア(ういしあ・れいにあ)は、今度こそ! と破壊的な料理を克服するため、意気込んでいた。毎回ひどい目に合わされている猪川 勇平(いがわ・ゆうへい)は心配というか、恐怖すら覚える。
「おまえの努力は認めるよ……。見ててやるから、頑張ってくれよ」
 顔を引き攣らせて笑う勇平。一緒に作るのだから、少しはマシなものにしたい。
「よし、指示するから、それまで動くんじゃないぞ」
「む、それは私を馬鹿にしているのですか?」
「違うって、ああほら、生地に整腸剤を入れようとするなああっ」
 心配なのであらかじめ内服薬を入れておけばいいのでは、とウイシアは思っていたらしい。急いで勇平は薬を取り出した。危ない危ない……どうなることやら。

 勇平たちのやり取りを横目に、非不未予異無亡病 近遠(ひふみよいむなや・このとお)はパートナーがそこまでひどくないことにほっと胸をなでおろす。
「パフェ作りますわよ〜。名前の通りパーフェクトに!」
ユーリカ・アスゲージ(ゆーりか・あすげーじ)は秋の食材をふんだんに使ったパフェを作るべく、色々なクリームを作ったり材料を切ったりしていた。
「マロンクリームはこんな感じでよろしいでございますか?
ユーリカを手伝っているアルティア・シールアム(あるてぃあ・しーるあむ)は、混ぜているマロンクリームの状態を見せた。
「ええ、けどもうちょっと栗を追加して欲しいですわ。濃厚にね」
「そうですね、濃厚の方が美味しいでございますね」
 アルティアは数個栗を素早く茹でると、クリームに追加していく。イグナ・スプリント(いぐな・すぷりんと)はユーリカの作っていたリンゴのクリームに手を伸ばし、指ですくってつまみぐいしていた。もちろん、ユーカリには手をぺしんと叩かれた。
「あ、ダメですよ、途中なのに」
「でもこれ下の方に詰めるのだろう。混ざる前に味見をしておきたくて」
「これからアイスにするから、食感変わりますわよ。それまで楽しみにしてくださいませ」
「……ってこと。邪魔しちゃ悪いですよ」
近遠はできるまで他回ろうか、とイグナを連れてそこらを歩くことにした。

 ネージュ・フロゥ(ねーじゅ・ふろう)はスイートポテトを作るべく、蒸かした芋を裏ごししているところだった。
「お砂糖とってくれる?」
「はいっ」
樹乃守 桃音(きのもり・ももん)は言われた通りに砂糖を差し出した。小さいながら踏み台を使って手伝いをしている。
「わぁ、可愛い助手さんね」
イランダ・テューダー(いらんだ・てゅーだー)は机からちょこんと顔を出している桃音を見ながら言った。パウンドケーキを作るのに、生地を混ぜている。
「ボクはおねえちゃんのお手伝いなのですよ」
 にこっと笑う桃音は、とことこと行き来しながらイランダの作業も手伝ったりした。
「じゃあ後は木の実を刻んで……、ちょっとお裾わけしてくる!」
近遠たちのグループの元へネージュは細かくした木の実を持っていった。どこか出かける寸前だったらしく、タイミングがいい。
「へぇ、珍しい木の実もありますね、トッピングに最適です」
 お礼はパフェ食べさせてね、とネージュは笑う。美味しそうなパフェも気になって仕方ない。持ち場に戻ると、イランダは先ほどより気合を入れて作っているようだった。
「どうしたの?」
「あの、ケーキ作ってたら北斗のこと思い出しちゃって……! 私の方が美味しく作れるって証明してやるの」
 パートナーの柊 北斗(ひいらぎ・ほくと)に、ケーキを作ってもらったのは嬉しいが、さらっと作れたらしく、それが悔しかった。思わず「これで勝ったと思うなよーーーー!!」なんて台詞を吐いてしまったからには、美味しいものを作らなければ。
 甘く煮たフルーツを入れた生地を型に入れて焼く。ネージュもぐるぐるととぐろのような形を作ると、軽く焼いた。桃音の尻尾の形を表したものだ。
「できた! 『桃音のすいーとももんブラン』」
 これは桃音がモデルなの、と周りに試食と同時に紹介していった。食べてもらう度に、「かわいい〜」と桃音は頭を撫でられて照れている。
「よし、私もパウンドケーキできた! 見返せるかな?」
「おねえちゃんのもイランダのもボクは凄く好きです。美味しいです〜」

「あっちはフルーツパウンドケーキか。なら俺はプリンにしてやるか」
健闘 勇刃(けんとう・ゆうじん)はパートナーの天鐘 咲夜のためにプリンを作っていた。プリンアラモードにしようと思ったけれど、ゼリーみたいにプリンの中に入れてしまおう。
リンゴ、梨、葡萄などを細かく切って、混ぜ合わせたプリン生地に入れていく。最初プリンってどうやって作るんだっけ、と思いつつ、途中周りのお菓子得意そうな女子に聞いてまわった。咲夜と一緒だったらいいのにと思う。
「よし、型に入れて……、冷やすだけ」
 冷蔵庫へと運んでいくときに、冷凍庫の傍で咲夜の姿を見つけた。さっき携帯電話のメールで「近くにいる」なんて返事を貰ったと思ったら、同じ場所にいたのだ。
「プリンを作ったけど、よかったら食べないか?」
「健闘くん! お菓子作ってたんですか? 私もアイスを作ったんです」
 調理室内でお互いを見つけた二人は、冷やし固まるまで調理室の端でおしゃべりしていた。
 できたらお互いの作ったものを交換。美味しくて、話が弾んだ。
猪川 勇平が食あたりで気分を悪くしていたらしく、口直しに咲夜はアイスを分けてやった。



【終章】

 隣の部屋ではできたお菓子の試食会に移り、お菓子を堪能する。見た目の綺麗なものは写真を取ったりしていた。ルカルカなど、大漁に作った者は友達に分けて回ったりと忙しくしていた。
作らなかった人も一緒に後片付けに入る。
 料理が上達したりしなかったり、いつもとは違うグループで固まったりして、暗くなる頃にはお開きとなった。

担当マスターより

▼担当マスター

かむろ 焔

▼マスターコメント

マスターを務めさせて頂きました、かむろ焔です。皆様シナリオに参加くださりありがとうございます!
美味しそうなお菓子ばかりで執筆中食べたくなりました。リンゴや梨、栗などが多かったですね。
執筆中風邪を引いてしまったので栄養価の高い秋食材のお菓子は最適ですね。
当シナリオを楽しんで頂けたら幸いです。
またシナリオガイドを見かけましたらその時はよろしくお願い致します。

追記:お名前を間違えてしまい修正致しました。すみません。