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星座の闘衣を纏いし戦士達!

リアクション公開中!

星座の闘衣を纏いし戦士達!
星座の闘衣を纏いし戦士達! 星座の闘衣を纏いし戦士達!

リアクション



クライマックス! 三人の山猫座と真の天馬座



 そして、フリューネ一行が合流し、ルミーナたちがそれに追いついた時、事件は起こった。
「ということで、事態は激しく展開しています。果たして、これからどうなるのでしょうか?」
 飛空艇でビデをカメラを回しながらそうレポートを続けるのは六本木 優希(ろっぽんぎ・ゆうき)。六本木通信社ニルヴァーナ支局の支局長であった。そして、その下には相棒で山猫座のリッター麗華・リンクス(れいか・りんくす)
「山猫の麗華参上!」
 そう、麗華が叫んだことがきっかけだった。
「私も山猫座ですが……」
 それは、水神 樹(みなかみ・いつき)
「ボクもだよ!」
 そう元気よく言ったのは黒乃 音子(くろの・ねこ)だった。
「さん……にん? おのれ! キャラがかぶるだろうが!」
 麗華は思わずそう怒鳴ってしまった。
 上空では優希がそれを実況している。
「まあ、何人にようとも構わないけどさ!」
 音子はそう言ってから、「ボクはフリューネを守るだけだし!」
 と付け加える。
「私も、闘衣を渡すわけには行きませんので」
 樹がそう言ってフリューネを守る位置に立つ。
「であるか……白薔薇嬢(フリューネ)に恨みはないが、ルミーナ嬢直々の依頼だからな、闘衣はいただくぞ!」
 そう言って麗華が二人の山猫に対し身構える。
「では、あなたがやられるということで」
「お約束、ということかな?」
 樹と音子はそう言うと闘気を燃やし、瞬間姿を消した。
「なっ!」
 驚く麗華。
 樹の技はリンクスカモフラージュ、音子の技はにゃんこウォークと別名だが、気配と姿が、蜃気楼のように消えてしまうという同じような技だった。
 だが、攻撃するときには隠していた気配も姿も出さねばならない。麗華はそんな一瞬の間を見抜き、「リンクスダンス」との言葉とともにその場から姿を消す。
 攻撃を仕掛けようとした樹と音子はとっさに向かい合いながら(樹は背後、音子は正面からの攻撃)、繰り出しそうになった拳を止める。
「なっ!」
「どこに!?」
 驚く二人に麗華は「ここだ」と答える。
 二人が声の方をに視線をやると、いつの間にかフリューネの近くにいて、闘衣が再び収まった箱を持ち上げていたところだった。
リンクスハント
 そしてクロスボウ型のリンクスアイから二本の矢を放ち、フリューネとその周囲を牽制すると、全力でフリューネを殴りつけようとする。
 だが、そこでその矢が急激に軌跡を変え、麗華へと襲いかかった。
「ばかな!」
 驚愕しつつ避けようとする麗華。
 だが、その矢はどんな体さばきで躱しても、何度も軌跡を変えて追い続けてきた。
「目覚めているの?」
 ルカルカは我知らずそう呟いた。
「いや、取り戻している……といったほうが正確なようだ」
 その呟きに、ダリルは有機コンピュータとも呼ばれる頭脳で推測を重ねた上での直感で、真実を見ぬいた。
「どういうこと?」
「みろ、フリューネを」
 ルカルカの疑問に、ダリルは視線を動かし、ルカルカが追随する。
 その視線の先には闘気を燃やし、その闘気によって長い黒髪が重力に逆らうように天へと舞い上がりながらも、どこか遠くを見ているフリューネの姿があった。
「あれは……」
「射手座の闘衣の力……彼女の本来の力だろう」
「なるほど、あれがフリューネの星座というわけですか」
 二人の会話に紛れ込んだのは、水瓶座のシャーロットだった。
「シャーロット! いつの間に?」
 驚くルカルカ。
「まあ、つい先程です」
 さらりとそう答えるシャーロット。
「とりあえず、フリューネを完璧に目覚めさせたければ? まあ、元に戻るのも目覚めるとも言うから合っていますか……とりあえず、そのためには、かつての射手座と戦った山羊座があるいはあるいはまるで何もかも知っているかのような双子座が動かなければならないでしょう」
「どこまで知っている?」
 シャーロットの言葉にそう尋ねるダリル。だがシャーロットは、素知らぬふりして「ダリルほどでは」と答えると
「黄金位の闘衣は記憶を蓄積する……それが鍵です」
 と言うと、どこへかと姿を消した。
「ふむ……そういえば俺たち以外の黄金位がいないな……」
 言われてみればいつの間にやらエスフロスと吹雪が消えているし、ルースに動きを封じられて、ここに来られないはずのシャーロットがいて、追いつくべきはずのルースがいない。そして、ダリルの手に一枚のメモが残されていた。そこには
【かつての双子座? 出現。(真偽不明。その他冥王や月女神、戦女神を名乗るものも)ルース、枢機卿に報告。撤退命令出る。程々に引き返すべし】
 と書かれており、ダリルはかつての双子座との文字に眉をひそめる。
「どうしたの?」
 ルカルカの疑問の声に、ダリルは表情を消して「予定を巻く必要が出たようだ」と言った。
 その間、麗華は自らが放った矢に追い込まれながらも、小型飛空艇以上の移動速度と驚異の身のこなしでそれをかわし続けている。樹と音子はその矢の後ろから麗華を追いかけているが、追いつけない。という状況になっていた。
 そんな状況を変えるべく、ダリルは【空間操作】でフリューネをその矢の正面に移動させる。
「あっ……」
 小さな声とともに、二本の矢に貫かれるフリューネ。刹那、フリューネ陣営から悲鳴が上がる。誰も、何が起きたか理解できなかった。ルミーナでさえも。
 ただ、優希だけが仕事柄そのままに「まるでフリューネさんが瞬間移動したかのように矢の前に飛び出し、そして射抜かれました!」と叫ぶだけ。
「ちょ、オレがフリューネを射る前に、別の矢に射抜かれただと?」
 そんな声を上げたのは弥涼 総司(いすず・そうじ)。矢座のリッターで、恋愛を司り、射手座同様に弓矢も操る。
「マダ死ンデハイナイ。射手座ガ弓矢ノ力デ死ンダリ、心ヲ操ラレルナド在リ得ナイ」
 そう言ったのはロドペンサ島洞窟の精 まりー(ろどぺんさとうどうくつのせい・まりー)。現在の天馬座のリッターだ。
「やはり、天馬座がいたか……」
 その二人を見て、ダリルはそう言った。
「心を操れないって、じゃあオレ様の計画は?」
「不可能」
 何やらやましいことを考えていた総司に、まりーはそう言い切った。
「そんなぁ……」
 しょげる総司に、まりーは「矢座ナラバ、アノ矢ダケデモ、ナントカシテ」
 と要請する。
「傷は直せねえぞ?」
「イイカラ」
 渋る総司に問答無用で迫ると、総司は矢を操りフリューネの肉体をこれ以上傷つけないように抜いた。
「フリューネ!」
 リネンが、ようやく事態を理解し、フリューネに駆け寄る。
「よくもフリューネを! ゴールデンハルパー
 ペルセウスの曲刀を模した真空波の一撃を放つ回し蹴り。だが、それは強化された麗華の回避力の前に回避されてしまう。
「誰が、誰がこんなことを!」
 リネンの叫びに、ダリルが「枢機卿だ」と答える。
「えっ?!」
「ルミーナや他のリッターに直接の命令を出したのは枢機卿だ、と言っている」
 驚く一同に対して、ダリルはそう告げる。
「なんと、この闘衣を巡る争いの黒幕は枢機卿……って、ええ! 枢機卿ですか!?」
 優希ですら、驚きのあまり自分の感情が入ってしまったようだ。
「なん、だと……」
 麗華が、驚き動きを止める。そこに
リンクスクロー
ねこパンチ
 追いついた二人の山猫座の一撃が入る。
 樹の無数の拳が麗華に防御を促し、音子の拳がその防御ごと貫く。
「麗華が吹き飛ばされました! って、麗華、麗華、大丈夫!?」
 優希の動揺に対し、麗華は倒れながら軽く右手を上げた。
「枢機卿からの命令で何がおかしいのです? 枢機卿ならば当然ではないですか?」
 ルミーナは、何がおかしいのかわからない。
「まだわからないのかい、ルミーナ! なぜリッターを束ねる枢機卿がリッターと闘衣を欲しがる! っていうか起きろ、フリューネ! おねんねしてる場合じゃないよ!」
 そう言いながら菫が命のうねりを使用する。もはや敵味方などない。全員を回復させる。
「ぼ、僕も!」
 伊織がヒールをかける。
「ロレンツォ、私達も協力しようよ」
「そうですね」
 逃走して、それからこっそり元に戻っていたロレンツォに、アリアンナが語りかけ、二人でヒールをかける。
 そんな治療のかいあって、フリューネはなんとか息を吹き返す。
 安堵する一同。
「マダ、目覚メナイノカ」
 まりーがそう言うと、ダリルが
「もっと危機が必要なようだ。この程度では危機ではないと、闘衣が判断したのだろう」
 と、ルカルカに対して解説した。
 そして、目覚めたフリューネに「フリューネ・ロスヴァイセ、射手座の闘衣をつけろ。さもなくば殺す」と告げた。
「ルカルカも相手になるよ。それからルミーナ、撤退命令が出たから帰って」
「撤退命令……ですか?」
 疑問符を浮かべるルミーナに、突如現れた女性が答える。
「緊急事態ですわ。冥王、月女神を名乗る敵対勢力、かつての双子座を名乗り本物の黄金位の闘衣を持っている人物などが現れました。リッターの皆さんは、直ちに力を合わせてこれに対処してくださいませ」
「あなたは?」
 隼人の問に、女性は「戦女神ですわ。とにかく、リッターは力を集結してくださいな」と答えると、こう付け加えた。
「人間の時の名前は、マルティナ・エイスハンマー(まるてぃな・えいすはんまー)といいますわ」
 そのエルティナの言葉に
「戦女神はすでに現れたと聞いているけど?」
 とルカルカが言うと「彼女は倒れましたから……それに、女神は一人ではありませんの」と答える。
「なるほど……。本当らしいな。この双子座からも頼む。みな戻って危機に備えてくれないか?」
「まりーハ、フリューネガ心配」
 ダリルの言葉に、まりーがそういう。
「そうだな、フリューネがひとりきりというのも、都合がわるい。天馬座の三人で俺たちにかかってくるといい。回復を使えるものも残っていい。それ以外は急いで戻ってくれ」
「ですが……」
 ルミーナがなおも問いかけると、「蟹座と水瓶座経由で、あとそこの女神様も含めれば3つのルートで確認している。枢機卿から出た撤退命令だ。従え」とダリル。なおも引き下がろうとするルミーナに、「緋刃の舞(ブラッディワルツ)お見舞いしようか? 死なない程度に?」
 とルカルカが冷たく問いかける。
「ちょっと待てよ!」
 とルミーナの恋人の隼人が声を荒げると。それまでずっと隠れていた。兄の風祭 優斗(かざまつり・ゆうと)が姿を表して「落ち着け」と諫める。
「どこにいたんだ?」
 隼人の問に、優斗は言葉を濁しながらも「それでもレバレッジに何かをするなら、弟の代わりに僕が相手をしますよ」と詰め寄る。
「兄さん! やめてくれ! これはルミーナが天然なだけだ、多分……」
 途中で気勢が衰える隼人。
「天然ってなんですか!?」
「ん〜。正直なだけ、真面目なだけとも言えるし、育ちの良さのせいってのもあるけど、裏を疑うってことをしなさすぎだ。みんな急にルミーナが変わったから心配してたんだぜ。誰かに操られてるんじゃないかって。さっきのコメント聞いてある意味安心したけど……」
「どういうことですの?」
「だから、ルミーナが正気ってことが確信できたからさ」
 疑問符を浮かべるルミーナに答えた隼人に帰ってきたのはさらなる疑問。
「もういい、隼人。帰ろう、撤退しよう。ルミーナさんも。みんなに迷惑をかける訳にはいかない」
 はっと隼人が周囲を見るとみな白けていた。
「そ、そうだな。おとなしく撤退しよう。みんなに迷惑をかける訳にはいかない」
 二人がそう言うと、ルミーナもようやく考えを改めた。
「わかりましたわ。撤退します。あなた方にご迷惑をかけるわけにもいきませんもの」
 ルミーナがそう答えると、申し合わせたかのようにみな撤退を始める。
「やれやれ……で、どうするんだい双子座さん?」
 菫の問に、「黄金位の闘衣はすべての装着者の記憶を蓄え、代々受け継いでいる。フリューネが装備すればすべてが分かる」と答えた。
「分かったわ。装備すればいいんでしょう?」
 そう言ってフリューネは闘衣の箱に手を掛ける。だが……
「開かない!? 一度は開いたのに!」
 その言葉通りは箱は固く蓋を閉ざし、開かない。
「闘気を練り込んで高めて!」
 と、突然そう言いながらルカルカがフリューネに斬りかかる。
「ああっ!」
 肌を切り裂かれ、悲鳴を上げる。
「集中して、第七の知覚を覚醒させなさい!」
 次々と連続で攻撃を繰り出すルカルカ。
ペガサス烈光拳!!
 まりーが援護に入る。
「あまいっ!」
 だが、ルカルカは余裕を持って回避する。
「流石ハ黄金ノリッターデス」
「こんなのに勝てるの!?」
 リネンの言葉に
「フリューネが目覚めれば」
 とダリルは答える。
「さて、俺も行こう」
 こうして黄金二人VS青銅三人の戦いが始まった。
 ダリルとルカルカのコンビネーションは完璧に近い。だが、天馬の三人も負けていない。戦闘技術で言えば、劣りはしない。
「これが、闘気の差?」
 ギャラリーの声に
「第七知覚に目覚めているかいないかの差だな」
 とダリルは闘いながら答える。
 黄金二人は、フリューネだけを攻撃する。他の天馬二人には手を出さない。だから天馬は連携してその攻撃をはじくが、エネルギーの違いで防御するだけでもダメージを受けた。
「コレカラハ属性ノ時代デス」
 まりーの繰り出す左右の拳に、炎や氷が宿る。
 さすがにこれには黄金リッターもびっくりした。
 そして繰り出される三重の流星や彗星。
 それでもエネルギーの差は大きい。
 傷つくフリューネ。施される治療。そして幾度かの攻防の末……
 極限の攻防の末に、精神力・集中力が高まり、己の内側を意識するようになったフリューネは、今までにないほどに闘気を燃やした。その瞬間
「箱が、開いた!」
 伊織の言葉通り、突如として射手座の闘衣の収まった箱が開く。
 そして、自らの意志で、フリューネに装着される射手座の闘衣。
「ああああああああああああっ!!!」
 膨大な記憶と、莫大なエネルギーが、フリューネに流れこむ。
「あ……あ……この、この記憶は……急いで、急いで枢機卿のところにいかないと!」
 そしてフリューネに促されるまま、残りのリッターたちも集結するのだった。


担当マスターより

▼担当マスター

樹 和寿

▼マスターコメント

 お久しぶりです。最後の方、あんなんなってますが続くらしいです。
 今回はあくまでも闘衣を守り切るところまでしか想定しておりませんでしたが、アクションの影響を受けて大幅に変わりました。そして文字数が想定の倍近く行きました。と、内ネタはここまでにして、この系列のシナリオシステムについて少々解説を。
 それは、「神を名乗るのも自由。ただしアイテム「星座の闘衣」を装備していなければ主張のみ」という点。神の闘衣は黄金位以上なので、「星座の闘衣」をアイテムとして装備していないと黄金位の取得ができないルールですので、「星座の闘衣」がないと正式な神は名乗れませんが、神と主張することはできます。あと、同じ星座が複数人いたように神も何人もいても問題ありません。
 ですので、このあと戦女神を名乗る存在がNPCとして出てきたとしても、戦女神として今回主張なさったPCさんはそのままでも問題ありません。
 そして、第七知覚とか黄金の闘衣は記憶を蓄積するとか、このあたりのネタが継承されるかはマスター次第なので、このネタで別のマスターがシナリオを出しても採用されるかはわかりませんのでその点はご注意ください。
 それでは、またお会いしましょう。