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第四章 偽のリーダー

「どうだ?」
 夜刀神 甚五郎(やとがみ・じんごろう)は、ブリジット・コイル(ぶりじっと・こいる)に声をかけた。
「ワタシと同型機では無いようです」
 ブリジットは、機能停止させた機晶姫を見ながら、甚五郎の質問に返した。
「そうか」
「これは、無理やり行わせて、しかもテロ式の運次第の自爆など見過ごすわけには行きませんね。的確に対象を破壊してこその自爆であると知らしめねばなりません」
 ブリジットが更に話し、先を急ごうとした。
「よし! 気合で首謀者を吹っ飛ばすぜ」
 甚五郎が後に続いた。

「力のラヴェイジャーのようだよね」
「いや、大剣士の可能性もあるな……どちらにしても情報通りなら力任せの短絡思考な戦いだと助かるんだが」
 自分と同じ大きさの青い水晶で出来た両刃の大剣を背負った大柄な男、バイスに気づかれないギリギリで呟いた騎沙良 詩穂(きさら・しほ)の元に柊 恭也(ひいらぎ・きょうや)が現れた。
「詩穂が先頭で攻撃を受けるから援護、お願いね?」
「わかったぜ」
 二人は、バイスの元に歩いていた。
 目を瞑っていたバイスの元に着いた二人は、詩穂が法と秩序のレイピアと混沌の楯を持ちシールドマスタリーで防御の体制を取った。
恭也が傀儡【銀星】を操りながら、
「よぉオッサン、タバコでも一本どうだ?」
 バイスに声をかけた。
「いらん……ここにたどり着けたのは、騎士が一人と人形師が一人か?」
 目を開けたバイスは、背負っていた大剣を掴み、詩穂に向かって走り出した。
 詩穂は大剣を盾で裁きながら敵の動きを頭に叩き込んだ。
 恭也はバイスが詩穂の盾に弾かれた時、大振りで隙が出来た時に傀儡を動かし、攻撃した。
 しかし、どれも大剣を持っていないかのように動いて避け、軽々と片手で大剣を動かすと傀儡の攻撃を尽くいなした。
「予想以上に早いな、大丈夫か?」
「ええ、それに力任せというよりかわ、計算されたような動きで隙がないよ」
 二人が、想像と違う動きをするバイスに戸惑っていると、
「皆さん! 避けてください!」
「気合だ!」
 後ろの方からブリジットが六連ミサイルポッドとマスケット・オブ・テンペストからミサイルと銃弾を放った。
 二人は、攻撃を避けると、バイスの方に向かって爆発した。
「これで行けるか……おいおい、大剣士か梟雄じゃないのか」
 煙が引いた跡には、氷の壁が現れ、全ての攻撃を無力化していた。
「この程度で我を倒そうとは……な」
 大剣を地面に突き立てたバイスは、ブリジット達の所まで届く衝撃波を発生させ、四人を吹き飛ばした。

第五章 新のリーダー

「いたた、強い魔法も使えて、力持ちって……でも、動きは読めたよ!」
 立ち上がった詩穂は、盾を再度構え、
「隙を作るから攻撃お願いね」
 バイスに走り出した。
「何度やっても無駄だ」
 バイスは大剣で払い切りしようとすると、詩穂は法と秩序のレイピアを使い、切り返した。
 大きな隙が生まれた所に恭也が傀儡で攻撃、しかし、バイスは払った形のまま後ろに下がると、ブリジットの射撃も軽々と避けてしまった。
「隙が出来ても人数が少ないぜ……よし、ここは」
 恭也が傀儡を引き再度、バイスに突撃させた。
「何度やっても無駄だ」
 バイスは恭也の傀儡の腕を切断した。
 すると、腕が中から光りだし爆発した。
「驚いたか? 人形自体が一つの爆弾だった訳よ」
「ほう、考えたな」
 片腕を失った傀儡を引き戻した恭也は切断面をバイスに見えるように動かした。
 切断面からは、機晶爆弾が見えていた。
「しかし、当たらなければどうということはない」
 バイスが再度、衝撃波を飛ばした。
「この衝撃波をどうにかしないといけませんね」
 四人が思案していると、
「俺様が援護してやるぜ!」
「詩穂! その隙に一緒に攻めるわよ!」
 右の通路からアッシュが、左の通路から瑛菜が走りながら叫んだ!
「部長! わかったよ!」
 瑛菜の掛け声に応じて詩穂が立ち上がり駆けていった。
「行くぞ! アゾート! 火術!」
 アッシュは後ろから付いて来ていたアゾートに声を掛けると、二人は同時に火術で出した炎をバイスの足元に放つと、煙でバイスの視界を塞いだ。
「「はぁ!」」
 瑛菜と詩穂がそれぞれ、バイスに攻撃を仕掛けた。
「甘い!」
 バイスが大剣を振るいながら再度、衝撃波を発生させると、煙ごと瑛菜達を吹き飛ばした。
「甘いのはお前だ!」
 更に駆けていた淳二が衝撃波を避けると、バイスに斬りかかった。
 バイスは軽く淳二の剣を弾き飛ばすと、返しで淳二を切りつけようとした。
「「はっ!」」
 吹雪とブリジットが同時に狙撃するとそれぞれ、二つの銃弾は両肩に当たった。
「お前もくらえ!」
 怯んだバイスに淳二が握り拳で思いっきり殴り飛ばした。
「敵を殴るのが好きな人ですね」
 遅れて、丙達が現れた。

「目的はなんなの!」
 瑛菜が傷ついたバイスに叫んだ!
「テロ活動だと、占い師から聞かなかったのか?」
「そんな訳がねぇだろ! あの黒髪の行動、どう考えてもそこら辺のテロリストがやることじゃねぇぞ!」
 バイスの答えにアッシュが返した。
「バイス、もう潮時ですよ。」
 突如、奥の部屋から火の鳥が飛んできて、バイスと瑛菜達に襲いかかってきた。
 瑛菜達は後ろに飛んで、火の鳥を避けた。
 火の鳥は、バイスを包み込むと消えた。
 火の鳥が消えた場所にはバイスと黒髪の男が黒い法衣姿で立っていた。

「遅かったか」
 ウルスラーディ達が瑛菜達の元に現れた。
「おや、海京の母とその御一行ですか? 久しぶりですね」
 黒髪の男は、トメを見せ喋った。
「遅いも何も今、敵の頭を再度、捕まえ直前だぜ?」
 アッシュがウルスラーディに声かけながらバイスをさした。
 ウルスラーディの後ろにいた朋美が前に立ち、
「リーダーはその大剣使いじゃなくて、そっちの黒髪の男だよ」
 黒髪の男を指差しながら言った。
「はぁ! 何でそんな事する必要があるんだよ?」
「占い師は、そこまで喋っていましたか……それにしては、気づくのが遅いですね?」
 アッシュ達が驚いていると、黒髪の男は朋美の方を見た。
「リーダーは、そこにいるバイスとばっかり思ってたもんでね、誰も聞いてなかったんだよ」
 ウルスラーディが朋美を庇うように動き質問に返した。
「それでも二対多数だ、負ける事はないだろ?」
 アッシュが黒髪の男を見みた。
「それが、占い師の起こしたテロ活動の幾つかがそこの男が単独で村を一瞬で潰したのがあるらしいんだよ」
「そこまで話していましたか。まあ、バレてしまっているのでいいですが」
 朋美の話に黒髪の男は答え、
「そろそろ、自己紹介をしましょう。ライといいます。そろそろお開きにしましょう……その前に」
 ライと名乗った男は剣を抜くと、
「ぐふっ!」
「お前! 仲間を!」
 バイスの心臓に向かって突き刺した。
 淳二がライに向けて叫ぶと、
「バイスは大柄でね。野蛮な集団に見えるようにとリーダーのふりしてもらっていましたが……ミスが多い、今回の件といい、地図なんか持ち歩いているから場所が特定された」
 ライはバイスを蹴って剣を抜いた。
「テロごっこもこれでおしまいです。面白かったですよ。今度、会える時があれば、その時は」
 ライは、本を開きながら魔法を唱えると、遺跡の隙間から水と壁や床を砕きながら植物の蔦や根が現れ、アッシュ達を遺跡の入口まで流した。