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第七章 宴の後のセレナーデ
「すみませんでした!」
 終了後、ソララは社長さんやスタッフ、迷惑を掛けた人達に謝って回った。
「奈夏さんも、ご迷惑をおかけしました」
「うん本当に……うそうそ、私何もしてないし、てか何も出来なかったし」
「エンジュさんにもお世話になりました」
「……いえ、こちらこそ」
「はい握手握手。これで二人はもう友達だよ」
 ニコニコするティナを不思議そうに見やるエンジュ。
「他の誰も奈夏さんの代わりは出来ません。でも、出会って関わって関係を作っていく事は出来るんですよ」
「ちなみに私達ももう友達だから」
 瑠璃やミリアに畳み掛けられ、エンジュはソララと繋いだままの手をじっと見つめた。
「あなたの歌も……良かった……」
「そう……聞こえたの……聞いてくれたのですね」
 通りがかったベルに声を掛けると、少し驚いた後でそっと微笑んでくれた。
 それに何かが何処かが、反応した。
 多分これが「嬉しい」という気持ちなのだろう。
 それをエンジュは実感として感じていた。
「うんうん、やっぱりエンジュは笑った方がいいわね」
「ええ、そう思いますわ」
「……」
 そんなエンジュを、美羽やベアトリーチェ達に囲まれたエンジュを眺め、奈夏はどこか落ち着かない気持ちでいた。
 エンジュの世界が広がるのは喜ぶべき事、の筈なのに。
「……痛い」
 忘れていた膝小僧の痛み、急に思い出したそれに、奈夏はその場にしゃがみ込んで。
「どうしたの、お腹減っちゃった?」
「……あ、多分、そんな感じだと」
「よし、最後の一杯あげちゃう☆ 冷めても美味しい、詩帆特製の麻婆豆腐だよ!」
 この後、元来超甘党の奈夏があまりの辛さに口から火を吹いて悶絶し、慌てたエンジュ達が祭りの後の一騒ぎを起こしたのは……言うまでもなかった。



「ソララちゃんお疲れ! この後、時間ええか?」
 音楽祭が大成功を収め、一騒ぎやら諸々の雑ごとも片づいた後。
 ようやく一息ついたソララを由乃 カノコ(ゆの・かのこ)は連れ出した。
「いらっしゃい」
 待っていたのはゴンドラと、カノコのパートナーであるロクロ・キシュ(ろくろ・きしゅ)だった。
「……美味しいです」
 野外ステージ近くで見つけた小さな湖に浮かべたゴンドラ。
 ロクロを船頭としたゴンドラの上で、カノコからティータイムに誘われたソララは、ホッと息を吐いた。
 目まぐるしかった音楽祭、やはり思うよりずっと気が張っていたのだろう。


コールトリフ
 ためいきはしを
 むこうみずに

 ゴンドラ乗りたるロクロが口ずさむ上手とも下手ともヘタウマとも言い難い絶妙に微妙なメロディが、優しく響く。
「カノコもうた、好きやで」
 知らず自らも、ロクロの船頭歌に合わせてのんびり【幸せの歌】を口ずさんでいたカノコは、ソララの視線に気付き少しだけ恥ずかしそうに微笑んだ。
「いやさすがにぎょうさんおる人前で、しかもあないなトコでは歌えやんけどなー! カノコさんも逃げるわー!」
 見上げた先、遠く小さく屋外ステージの屋根が見えた。
「ソララさんはこれからが頑張りどころやと思うねな、人生の先達としてはの。そやけ、頑張ってな。うぃうぃ!」
 少し照れたような顔に、これがカノコが言いたかった事なのだと不意にソララは悟った。
 頑張る……それはこれから先もずっとずっと、持ち続けていかねばならない気持ちなのだから。
 多分それは、とても大変で。
 それでもこれから先、もしまた辛くて逃げ出したくなる時がきても、と思う。
 その時はきっと、今日の事を思い出そうと、そう思うから。
「頑張ります、これからも」
 夜を行くゴンドラの上。
 いつしか三つに増えた歌声が、寄り添い重ない合い、夜に静かに静かに溶けて行った。


コールトリフ
 ためいきはしを
 むこうみずに
 コールトリフ
 つきのうつしを
 たゆたうまに
 コールトリフ
 しんとうとうと
 ながるままに

きしならすなはつかげ
 こげよ こげよ

コールトリフ
 ためいきはしを
 むこうみずに
 コールトリフ
 つきのうつしを
 たゆたうまに


担当マスターより

▼担当マスター

藤崎ゆう

▼マスターコメント

 こんにちは、藤崎です。
 音楽祭です楽しかったです。
 ではまた、お会い出来る事を心より祈っております。

▼マスター個別コメント