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【十二の星の華】シャンバラを守護する者 その3

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【十二の星の華】シャンバラを守護する者 その3

リアクション

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 洋館の中では様々なトラップが侵入者を待ち構えていた。

「エル殿、この辺は火薬の匂いがするであります!」
 ルナールはふんすんしながらエル達に注意を促した。
 超感覚で前に嗅いだホイップの匂いをたどりながら洋館を歩いていたのだ。
「火薬ってことは……爆発!?」
 エルがキョロキョロと辺りを見回すが、特に仕掛けらしきものは見当たらない。
「大丈夫そうだね」
 ミレイユはそのまま廊下を進もうとした。
「あっ! ダメであります!」
「えっ?」
 足が床に触った途端に爆発音とピンクの煙が辺りに充満した。
「げほっ、ごほっ」
 ホワイトは慌てて口を手でふさいだが、吸い込んでしまった。
「……大丈夫か?」
 心配してデューイが声を掛けたが、そこにいたのはホワイトではなくピンクのウサギだった。
 何故かあほ毛がある。
「……まさかホワイトさん……ですか?」
 シェイドが言うと、ウサギはつぶらな瞳で見つめてこくりと頷いた。
「………………なんて恐ろしい罠なんだ!」
 エルはそう叫んだ。
「なんだかお笑いっぽい匂いが……」
「それはきっと言ってはいけない事です」
 七枷 陣(ななかせ・じん)小尾田 真奈(おびた・まな)の言葉にそうかと1つ頷いた。
「イルミンスールに作られた台風対策本部の方は……今、あの火事のあった集落の南西に避難場所がつくられてるみたいだ」
 携帯をチェックしてエル達は先へと進んで行った。
 それから10分ほどでホワイトウサギは元に戻る事が出来た。

「あれ? 行き止まりだね」
 廊下の突き当たりでサトゥルヌスは首を傾げた。
「でも、この辺りに何かあると思うのです!」
 ナイトはそう断言をする。
「ん〜……」
 周りの壁をこんこんと叩いて行く。
 突き当たりの壁まで来ると音が軽くなった。
「おくにはまだ通路があるのです!!」
 ナイトが興奮して叫ぶ。
「ちょっと下がってて」
 そう言うと、懐から何かを取り出し、壁へと投げた。
 壁へとぶつかる音のあとから爆発が起こり、壁が吹っ飛ばされた。
 壁の奥から通路を発見。
「うん、先に進もうか」
「はいです!」
 2人は壁の残骸をまたいで先へと進んで行った。
「さっきのあほ毛付きウサギも良い感じでしたが、男らしい破壊の仕方も捨てがたいですね!」
 背後にはカメラを構えた羽入 勇(はにゅう・いさみ)が居たのだ。
 先ほどのをカメラに収めていたらしい。
「さ、次の被写体へゴー!」
 勇はどこぞへと向かって行った。

「あった〜。ここに石像があったんだね」
 ロザリアスは石化ホイップのいる場所を突き止めると何を思ったのか、周りを探り出した。
 隣の部屋からホイップのいる部屋の真上の屋根裏に行けることを確認するとそこに潜んだのだった。

 洋館に入ってからずっとディテクトエビルで曲がり角や扉の向こうを警戒している藍玉 美海(あいだま・みうみ)は、今度こそと警戒を続けているが生物による罠は今のところない。
「美海ねーさま、この扉のノブにどうやら細工がされてるみたい」
 部屋の扉を調べていた久世 沙幸(くぜ・さゆき)が話しかける。
「どんな仕掛けですの?」
「ノブを回すとこの鍵穴から小さな針がいくつも出てくるよ」
「あら、ではその針に毒でも塗ってあったら大変ですわね」
 沙幸はコクコクと頷く。
「とりあえず、このボンドで鍵穴の中の針を固めちゃうね」
「……それって中にちゃんと入れますの?」
「えっ?」
「鍵穴の中をボンドで固めることになるんでしょう? そしたらノブも回らなくなると思いますわよ?」
「あ……」
 美海の言葉に沙幸が固まった。
「じゃ、じゃあコレ!」
 取り出したのは金槌だ。
 それをドアの横に移動してからノブに叩きこんだ。
 ドアノブは大破し、ついでにドアも壊した。
「よしっ!」
「敵がいなくて良かったですわ」
 美海は部屋の中を覗いてそう呟いたのだった。

「お茶の間のヒーロー(自称)参上です!」
 1人でポーズをつけてからクロセルはドラゴンアーツを発動させ、扉を破壊。
 その後、部屋の中に入ってから外に面する壁も大きな音で破壊した。
 クロセルはそのまま外へと出た。
「外に罠がないとは限りませんよね……誰も外のトラップまでやっている様子が無い……一番のりですね!」
 外を騒がしく駆けまわり外のトラップを発見しようとするクロセルの姿があったが、残念な事に外にトラップはないようだった。
「そんな……! ヒーロー(自称)のいるところ、必ずトラップがあってしかるべきですよ!」
 誰かに向かって怒りだしたのだった。
 勿論、そんな様子を勇にばっちり撮られている。

「助かった」
「困ったときはお互いさまッス!」
 シャンデリアは逃れることが出来たが、次のかなだらいは油断していたのかまともに頭に食らってしまい目を回していた総司をサレンが起こしたのだ。
「ついでッスから一緒に行くッス!」
「ああ、宜しく頼むぜ」
 サレンの申し出を総司は受けた。
「……あ?」
 その直後、総司は足の裏に何か違和感を感じた。
 何かのスイッチが入ったような音がする。
 突如、隣にいたサレンの真上の天井が開き、どろどろの液体がサレンを包んだ。
「な、な、なんッスか!?」
「すまないっ!」
 総司は慌てて、自分の制服を脱ぐとサレンを拭いた。
「なんなんッスか、コレ!!!」
 なんと拭いた側からサレンの服が融けていく。
「おおーーーっ!」
「見るなッスーーー!」
 胸を手で隠しながらサレンは総司を殴った。
「ぷるるん……胸……最高……がくっ」
 総司はまた目を回した。

「俺が先行する」
 洋館に入ってすぐに光学迷彩を使用した恭司が先に行き、罠のチェックをしようと向かう。
「おーほっほっほ! ホイップ様ーっ! 今、行きますわー!」
 それをロザリィヌがぶち壊し、確認していない扉を率先して開けてしまう。
「俺が行くと何度言えば……」
「関係ありませんわーっ!」
「あ、そこ多分トラップが……」
 ロザリィヌが開けようとする直前に葵が言ったが、遅かった。
「ぎゃーーっ!」
 上から大きな分銅が落ちて来て、ロザリィヌを潰した。
「わ、わたくしに構わず先に行ってくださいませー! 必ず……ホイップ様を救ってくださいませ……頼みましたわよ」
 言うだけ言って気絶したようだ。
「じゃあ、遠慮なく」
「葵ちゃん、それはあんまりですよ……」
 葵はそのまま歩き出し、それをエレンディラが突っ込んだ。
(……アイスタイガーの毛を取りに行った時も罠が仕掛けてあったな……)
 罠に掛かったロザリィヌを皆で助けながら黎はそんなことを考えていた。

「ホイップたん発見!」
 上から入ったウィルネストから報告が入り、みんな3階のある部屋に集まったのだった。