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【十二の星の華】空の果て、黄金の血(第1回/全2回)

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【十二の星の華】空の果て、黄金の血(第1回/全2回)

リアクション

 赫夜は飛行艇から、ひらり、と飛び降りるとほとんど音も立てず、展望台に乗り込むことに成功する。
 続いて赫夜達と「王座の間」に向かう為に中央を突破するため、刀真が赫夜たちの前に漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)を抱き抱えて飛び降りる。
 しかし、そこで月夜が一言。
「刀真…飛空挺がないと私達、帰れない…」
「…まあ、静麻が何とかしてくれるって。安心しろ」
「わかった…静麻に任せていれば大丈夫ね…プレッシャーにならなきゃいいけど。ねえ、佑也さん、聞いて欲しいことがあるの」
 月夜は、赫夜、佑也、正悟、刀真、にゃん丸、リリィに【パワーブレス】をかけた後ハンドガンで刀真の隙を消す様に援護しながら、佑也に話しかける。
「月夜さん、なにかな?」
「赫夜は、真珠のことで頭がいっぱいになりかけてると思う。…大切な人が傍にいたら女の子は頑張れるの、だから佑也はできるだけ赫夜の傍にいてあげて」
「月夜さん…君って人は…わかったよ、ありがとう!」
 佑也は改めて、みんなが赫夜や真珠のことを強く思っていること、そして自分の力にもなろうとしてくれていることを悟って目頭が熱くなる。
(…泣くな、俺。泣くのは、全てが片づいて、みんなで学園に戻った時だ!…)

「さあて、中央部のみなさん、初めまして、俺はお前らを殺す者だ」
 刀真は目にも止まらぬ速さで、光条兵器を使って籠手型HCの戦術プログラムを起動すると、白兵武器に金剛力をプラスして使って攻撃、スウェーと殺気看破で防御する。そして赫夜と、特に傷が未だ癒えていないにゃん丸を要人警護で護りつつ、殺気看破をかけてややる。
正悟は心の中でつぶやく。
(俺がやるべきことは、俺と刀真さんで残りのメンバーを消耗させずに最終地までたどり着かせる事…出来る限り前から来る相手がいれば俺が対応しつつ、トラッパーやピッキングを利用し罠も注意し、佑也さんと赫夜さんが進む道を切り開いてやる…!)
 いくらバッソとダンツオの派閥に別れていてもさすがに中央部の隊士は数も力量も、個々がスキルが高い。それを悟った正悟は
「先に行ってくれ! 赫夜さん!」
「正悟殿!」
「そうだ、後から俺たちも駆けつける!」
 刀真が叫ぶ。
 既に戦っていたアルマゲストたちも、駆け寄ってくる。
 そこに、大型飛行艇から駆けつけたラルク・クローディス(らるく・くろーでぃす)も参戦すると、アリア・セレスティ(ありあ・せれすてぃ)天穹 虹七(てんきゅう・こうな)も駆けつける。
 虹七は
「……赫夜おねえちゃん、無茶しないでね」
 赫夜のスカートの裾を引き、必死な眼差しで訴えます。
「赫夜おねえちゃんが怪我したら、ことちゃん絶対悲しいの……」
 その姿にはっと赫夜は我に返ったような顔をする。
(散々、みなから言われていたことなのに、気がつかないうち、私はまた、ひとりで突っ走る気でいた…最後には私さえケセアレに殺されれば済む話だと思っていた…)
「…虹七ちゃん、解った! あなたを悲しませるようなことは絶対しない!」
「虹七ちゃんの言うとおり、無理しないでね、赫夜さん」
 アリアも同調する反面、複雑な心中であった。
(と言っても……今の赫夜さんの表情を見れば、私も姉だから気持ちは痛いほど分かる。同じ立場だったら、とても冷静じゃいられない。貴女の背中は私が必ず守るから)
「前だけ見ていていいよ。妹を想う気持ちはきっと力になっているはず…大丈夫。私達になら、必ず出来るよ」
「みんなで一緒にことちゃんを助けよう。ね?」
「赫夜、このお嬢さんとオチビさんの言う通りだ。…いいこと言うな、可愛いオチビさん。…赫夜、いいか、絶対ひとりで突っ走るなよ? 孤立は向こうの思う壺だ…ただ、あんたにはそのナイトがしっかり付いているだろうけどな」
 ラルクが佑也ににやっと笑いかけると、佑也の頬が少しだけ、紅潮する。
「ラルク殿…アリアさん」
 一瞬、爆発が起こる。ダンツオの命令で重火器が展開されたのだ。
「きゃあ!」
 吹き飛ばされそうになった虹七をラルクはしっかと抱き留め、虹七をアリアに託す。
「ラルクさん、ありがとうございます!」
「危なかったな、お嬢ちゃん」
「おじちゃん、ありがとう」
「おじちゃんか…たはは…重火器が展開されたと言えど、敵味方入り乱れた状態だ。そうそう、つかえはしまい。今のうちだ、いけ! 赫夜!」
ラルクはそういうと、自分の体躯を活かし、大声を出して敵を引きつける。
「は! 精鋭なんざ名ばかりだな!? どうした? この俺が怖くて怖気づいてるのか? かかってこい!」
 そういうと、アルマゲストたちと敵を防ぎ、道をつくる。
 佑也と赫夜が斬り込んでいくと、その後ろを、アリア、虹七も付いていく。
「道をあけろ。十万億土を踏みたくないならな」
 いつもは優しげな風貌の佑也から笑みは消え去り、冷たい意志すら感じさせる。
 その佑也が先頭を切って、次々と隊士たちをなぎ倒していく。
「先は長いよ、無駄な消耗は抑えましょう!」
 アリアも戦闘中は赫夜と背中を合わせ、サポートに回り、攻撃よりも、赫夜の背後を死守する。
「赫夜!」
 アリアは星双頭剣を振るう赫夜の変わり、小回りの利く光条兵器で素早い敵は率先して自分が受け持って倒していく。
 アリアは軽量級、赫夜は重量級を自然と担当するようになる。
(言葉がなくても、赫夜と心が繋がる感じがするわ…!)
 それは赫夜も一緒だったのか、一瞬、目が合うと、赫夜はニヤリ、とアリアに笑って見せた。それがアリアの心に喜びと興奮を与える。
(私たち、ほんとの友達になれたんだね…!)
 パワーブレスで赫夜達をサポートする虹七。
(ことちゃん、待ってて!! 必ず、いくよ!)